文房具
2021/6/18 18:50

「替刃式カイコーンPRO」を最速本格レビュー! 人気の開梱カッターがプロ仕様になったらどう変わった?

何度も言うが、筆者は生活物資の大半を通販で購入している、通販の超ヘビーユーザーである。そんな我が家には、毎日少なくとも1個、多い日だと10個ほどの荷物が届くこともある(コロナ禍で外に出る機会が減った分、通販の利用頻度が超加速した)。

 

それだけの量の荷物をバリバリサクサクと開けるためには、やはり専用の開梱ツールが必須。

 

そんな開梱ツールの中でも人気が高いのが、オルファの「カイコーン」である。2020年には、雑誌『GetNavi』で限定ブラックカラーバージョンが付録になったこともあって、持っているという人も多いかも知れない。ダンボールだけでなく、フィルムシュリンクや厚紙封筒タイプのパックなど、様々な梱包に対応した万能性の高い製品だ。

↑万能開梱ツールとしてお馴染み、オルファの「カイコーン」

 

もちろん筆者も、このカイコーンを普段からガチ愛用しているのだが、ヘビーに使っているためか、部分的にちょっと物足りなさも感じていたのである。「カイコーンPRO的な上位モデル欲しいよー」とあちこちで訴えていたら……なんと本当に発売されちゃったのだ。「替刃式カイコーンPRO」が。

 

しかも触ってみた感じ、従来モデルで物足りないと感じていた部分が全部潰されていて、文句の付けどころが見えない。えっ、もしかしてコレ最強じゃね!?

 

もはや不満なし!?“PRO”は最強の開梱ツールかも

2021年7月5日発売予定のオルファ「替刃式カイコーンPRO」(以下、PRO)は、パッと見の印象だと「従来のカイコーンが一回り大きくなった」感じ。たしかに、カイコーンのシュモクザメっぽい特徴的なシルエットは、相変わらずである。

オルファ
替刃式カイコーンPRO
オープン価格(市場価格1000円前後・税別

 

しかし握ってみると、その違いは歴然。カイコーンが厚さ約4.5mmのペラッとした板状だったのに対して、PROは約15.2mmと、大型カッターナイフのようにゴツくて分厚いボディに。

 

これで、作業時にグッと力を入れて握りやすくなった。いかにもプロツール然としてしっかり握れるボディは、まず嬉しい進化ポイントだろう。

↑従来から3倍以上も分厚くなってゴツッと握れるPROボディ。力を入れた作業でも安定感がある

 

そもそもなぜ力を入れて握りたかったかというと、それがカイコーン最大の不満点だった“スリッター問題”につながる。

 

カイコーンは、先端の尖った部分(スリッター)をダンボールの合わせ目に貼られた梱包テープに突き刺し、引き裂くようにして開梱する仕組みだ。そしてこのスリッターが樹脂製ということで、硬めのPPテープなどに刺すには、なかなか力が必要だったというわけ。

↑スリッター(開梱刃)は、樹脂製のボディ一体型から、金属に変更

 

そこでPROでは、このスリッターを金属化。さらに先端も鋭角になったことで、フィルムテープでも布テープでも、ザクッ、ズバーッ! と気持ち良く開梱できるようになったのだ。

 

あくまで体感的な話だが、樹脂スリッターと比べると、テープに突き刺すのに必要な力が半分以下になったぐらいに感じる。これは非常にありがたい。どれぐらいありがたいかって、ぶっちゃけ、我が家(自宅内3か所)に配備されているカイコーンを、すべてPROに置き換えようと即決したぐらいのレベルだ。

↑スリッターを合わせ目に突き刺してテープを引き切る。これが思った以上にラクになっていて驚いた

 

↑あとは、側面にカッター刃を入れて残ったテープを切れば……

 

↑あっという間に開梱作業完了!

 

もうひとつ、スリッターの位置が先端から後端に移動したことで、「スリッターを刺す」から「カッターで切る」の動作の間に、いちいち握り替える必要がなくなったのも、地味に便利である。

 

物理的に作業時間が●秒短縮できました! というほどの話ではないが、軽い力で作業できる・握り替える手間がない、という気分的な部分での快適性は、確実に大幅にアップしていると思う。

 

使い切り→替え刃式で、刃も大きくバージョンアップ

冒頭でも述べたとおり、カイコーンの優れた点は、ダンボール・フィルムシュリンク・封筒パック・硬いPPバンドなど、流通しているだいたいの梱包方式に対応できる万能ぶりだ。

 

で、その万能性の根幹となっているのが、左右に張り出した金属刃である。さすがオルファの刃だけあって、切れ味は抜群。かつ、先端ガードのおかげで刃が手に触れることもないため、非常に安全だ。

↑先端ガード(刃の先にある黒い滴型のパーツ)によって、子どもが勝手に触っても傷を負う危険は少ない

 

とは言っても、テープの粘着剤が刃に付着するなどで次第に切れ味は落ちていくので、切れなくなったら本体ごと取り替える(使い切り)というシステムだった。よほどヘビーに使うのでない限りはそれなりにもつし、替えるとしても市場価格で140円ぐらいのものなのだが。でも、SDGsが騒がれる昨今、捨てずに済むならそれに越したことはないだろう。

↑スライダでロック解除して引き抜くだけで、分解できる。テープの粘着剤が付着すると一気に切れ味が落ちるので、替え刃式への変更は大歓迎だ

 

ということもあってか、PROは替え刃式に変更されている。ボディの表裏にある赤いスライダを同時に引きつつ、先端をつまんで抜けば、替え刃パーツは簡単に取り外せる。戻すときは新しい替え刃を押し込むだけ。非常に簡単だ。

 

ただ、実はプレスリリースでこれを知ったときにまず考えたのは、「替え刃にするのはいいけど、刃がガタついたらイヤだな」ということ。刃がガタつくと切りづらいし、突然抜けたりすると、安全性の面でも不安。それならいっそ、使い切りの方がマシとも言えるぐらいだ。

↑替え刃パーツだけの状態でも、刃が手に触れない安全仕様。こういうところも気が利いている

 

↑替え刃は2個入りで400円前後。よりお得な10個パックもあるとのことで、購入確定だ

 

しかし、実機を触って安心した。この替え刃、めっちゃガッチリ固定されている! 刃の先をつまんで揺らしてもほぼガタつかず、これなら作業時の切りづらさは感じないはず。

 

刃をくわえて固定するボディ先端は硬いFRP製で、安定感は抜群。そこにかなり大きなカエシのついた替え刃パーツをバチン! とはめ込んでしっかりロックするので、すっぽ抜けも心配しなくて良さそうだ。

↑刃が長くなったおかげで、これぐらいの厚みにも問題なく切り込める。ダンボールカッターとして役立つ機会も増えた感じ

 

さらには、刃周辺もいろいろとバージョンアップされている。まず、露出している刃の長さが約4mmから約7mmへと変更。これは単純に、カットが可能な幅が広くなったと言うこと。つまり、一般的なダンボールを2枚重ねてカットして分解、なんてこともできるようになったわけだ。

 

そもそも刃自体も、厚さが0.6mmから0.7mmと約17%アップ。もともと厚めのがっちりした刃ではあったが、それがさらに頑丈になったのである。

↑先端ガードの形状比較。PRO(右)の方がパーツのサイズは大きいが、先端が削り込まれていることで、より使いやすくなった

 

もうひとつ、シュモクザメの目にあたる刃のガードも、よく見ると先端の上下を削りこんだ、より鋭い形に変更されている。

 

このガードは、尖った先端を切りたい場所に差し込むことで、刃のガイド役も果たしているのだが、当然、鋭いほうが差し込みやすくて使いやすい。本当に、細部にわたって改良されているなーという印象だ。

 

こういった細かいところまでしっかり改良されているあたり、PROに対するオルファの“本気”が感じられる。実際に使いやすさも大幅にアップしているので、もし「安価なのを取り替えつつ使う」ことにこだわりを感じているのでないかぎり、買うなら断然、PROがオススメだ。

 

ほんとコレ、開梱ツールの決定版と言っても過言じゃないと思う。

 

 

「きだてたく文房具レビュー」 バックナンバー
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