開梱ツールとしてのダンボールカッターには、コンシューマー向けとプロ向けの区分が明確に存在する。売り場でそういう分類がされているわけではないものの、その違いは分かっている人からすれば一目瞭然なのだ。
※正確には、一般向け/開梱に慣れた人向け、という区分だが、ここでは端的にコンシューマー/プロとしておく。
違いはどこで見分けるかと言えば、刃の大きさだ。プロ向けのダンボールカッターは、比較的刃が大きい。コンシューマー向けダンボールカッターの刃は、開梱時に中身にまで切り込んでしまわないよう、だいたい数mmほどの小さなものになっている。誰が使ってもミスしにくい仕様なのだ。
プロ向けは形状も、ナイフ然としたものが多い。大きな刃を使ってワンアクションでザックリと大きく効率的に切れる代わりに、注意しないと中身に傷をつけてしまうこともあるだろう。でもそこは「プロだったら上手いやり方ぐらい心得てるよな?」という話なのだろう。
Wギザ刃でザクザク開梱できるダンボールカッター
今回紹介するダンボールカッターは、間違いなくプロ向けの方。「ダンボールカッターmini DK-4」(以下、DK-4)は、国産ハサミのアイコンとも言える「ALLEX 事務用はさみ」でお馴染みの林刃物から2022年4月に発売された製品だ。
林刃物
ALLEX ダンボールカッターmini DK-4
540円(税別)
グリップから伸びた刃は刃渡り約45mm。やや荒めのトゲトゲしたギザ刃だが、さらにそのギザ刃自体が全体的にギザギザと波打つWギザ刃仕様なのが、最大の特徴だ。フッ素コートされた黒さもあって、やや禍々しい(まがまがしい)というか、“中二マインド”をくすぐる格好良さである。
そもそもダンボールは硬くて厚いため、カッターナイフなど鋭い刃物で切ろうとすると、どうしても力がかかってしまう。そこを無理に切ろうとすると、一気に勢いよく刃が走ってしまい、大怪我の元になりがちだ(切れ味の悪い包丁が危険なのと同じ)。
だから、ギザ刃をギコギコとノコギリのように動かして少しずつ着実に切っていくのが、安全で、正解と言えるのだ。
さらに刃全体が波打ったWギザ刃仕様なら、ダンボールを切り始める際のフック感が非常に高い。刃を軽く当てただけで「あっ、いまダンボールに食い込んだ!」という感覚が手に伝わってくるし、実際にそこからズレることなくサクッと刃が入っていくのは、とても気持ち良いのだ。
また、約1.3mmというゴツい刃厚も重要なポイント。少しばかり強引な切り方になっても、分厚く頑丈な刃に任せてゴリ押しできる、という安心感がある。
開梱に使うときのコツは、刃を水平に近いところまで寝かせてテープに当てること。あとはそのまま角度を変えずに最後まで引けば、テープはきれいに切ることができる。もちろん、この切り方なら中身へのダメージもまず心配無用。
Wギザ刃は表面ツルツルのクラフトテープやPPテープでも食い込みが良好なので、こういう切り方をするのが効率的なのだ。
フッ素コートに関しては、ひとまず1週間通して開梱に使用したが、粘着剤がベトついて困る、という事態は起こらなかった。
ただ、思ったよりも刃の目に紙粉が詰まりやすい傾向もあるように感じた。紙粉が詰まると当然切れ味も落ちるので、小まめに取り除くのがいいだろう。キッチンペーパーで目に沿って何度か拭ってやれば、詰まりは解消できるはずだ。(ギザ刃とはいえ怪我には注意)