仕事が重なってしまい、机でメモを取る暇もないぐらいに走り回らなければいけないこともあるだろう。そんなとき、思った以上に役に立つのがウェアラブルメモの「wemo」だ。これは、腕に巻き付けて使うシリコン製のバンドで、板面に油性ボールペンで書き込めて、消しゴムで消字ができるというもの。メモ帳を取り出す手間なく、素早く情報が書き取れるので、特に忙しいビジネスワーカーにはマストと言っても過言ではない便利アイテムなのだ。
何より、最大のメリットは常に視界に入る場所(手首)に情報を残しておける、という点だろう。例えば、書き留めておいたToDoも手首にメモがあるおかげで、うっかり忘れの防止効果がとても高い。実際、筆者もイベント運営などでバタバタと仕事を進める際には何度も助けられた。
一方で、wemoは「長袖に弱い」という弱点があると感じていた。当然だが、手首に直接巻き付けて使う仕様なので、長袖のシャツやコートを着ているとwemoに袖が被って見えなくなってしまうのだ。また、書く時にも袖をまくるという余分なワンステップが生じてしまう。優秀なツールだけに、この弱点はもったいないなぁ、と常々感じてきた。
救急の現場を想定したプロ仕様ウェアラブル・メモが誕生
この “長袖被っちゃう問題” に対応してくれたのが、2024年2月に新発売された「wemo PRO」である。
コスモテック
wemo PRO バンドタイプ
2300円(税別)
対応と言っても、実は従来のwemoより、長さが約1.7倍、厚みが約1.5倍にサイズアップされたというだけ。ところがこれが、意外と侮れない。このサイズアップによって、wemo PROは思った以上に使いやすくなっていたのだ。
まず、長さが400mmにまで伸びた(幅は同じ)ことで、着衣の上からでも問題なく手首にwemo PROを巻き付けられるようになった。「袖の下にメモが隠れるなら、袖の上に巻いちゃえばいいじゃん!」という、プリミティブな解法である。
従来のwemo(長さ238mm)も着衣の上から巻けないことはないが、フリースのような厚手の服の袖には寸が足りず、ぐいぐいと無理に巻き付けるせいで、やや浮いたようになってしまい安定しなかった。
対して400mmのwemo PROは、救急隊員などが現場で使うことを想定している(!)とのことで、頑丈な作業服や、消防用の防火衣の上からでもしっかりと巻き付けられる長さになっている。これなら、だいたいの服は問題なく使えるだろう。
服の袖に巻き付けてしまえば、当然ながら板面が袖で隠れてしまう心配はない。つまり、情報が視界に収まりやすいというwemoシリーズのメリットが、袖の長短に関わらずきちんと確保できるというわけ。これはかなり意味のあるサイズアップと言えそうだ。
がっちりした厚みで筆記時の安定感もアップ
さて、装着性については前述の通り解消されたが、筆者にはもうひとつ、「衣服の上から巻くと、フカフカふわふわして書きづらいのでは?」という懸念があった。しかし、実際に書いてみると、そんなことは全くない。むしろ、wemoより書きやすいぐらいである。
これにはどうやら、厚み約1.5倍というサイズアップが効いているようだ。がっちりと厚みが増しているのに加えて、約1.7倍になった長さを活かし袖周りを一周以上巻けるので、シリコンで包まれた板バネがベコベコと沈んだりしない。安定感はかなり良好だ。基本的に、wemoでメモを取りたいシーン=慌ただしい状況なので、咄嗟に書こうとペン先を置いた板面がベコッと沈むと、その書きづらさにイライラするのは間違いないだろう。忙しい上に苛立ちまで覚えるのは非常にツラい。ゆえに、この厚みはかなり重要な要素である、と言いたい。
ちなみに、wemo本体に装着可能な純正の「wemoペン」というアイテムがあるのだが、wemo PROはこの厚みのせいで取り付けづらくなってしまった。仕方ないこととは言え、都度ポケットからペンを取り出すというモーションが増えてしまい、メモの効率は少し落ちてしまうのが残念だ。何より筆者はwemoペンのギミック感が好きだったので、使えないのは勿体ないように感じるのだ。というわけで、今後はぜひ、この厚みに対応した「wemoペンPRO」の登場を期待したい。
物欲をくすぐるオーバースペックともいえるタフネス性能
そして、救命の現場でも使える仕様ということで、wemo PROはタフネス仕様となっている。マイナス3℃~180℃の耐寒・耐熱をはじめ、酸やアルカリ、ガソリンなどが付着しても書き消し機能に影響が出ない耐薬品・耐油性、5000回以上の書き消しが可能な耐擦過性が保証されている。
一般的な生活ではまず使うことがないだろうオーバースペックだが、「オーバースペックは無駄だから嫌い!」という人もあまりいないだろう。衣服の上からでも巻ける、という要素だけでも十分にありがたいが、こういったスペック厨マインドをくすぐるタフネスさも加われば、より「欲しくなる理由」につながるはずだ。