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2024/10/1 22:58

ジェットストリーム一強に待った!次世代の“超低粘度油性ボールペン”にゼブラ「ブレン」がS油性インクで生み出すシナジーって?

ここ数年のボールペントレンドで中心にあったのは、間違いなく、高発色でサラッと軽い書き味のゲルボールペンだったはずだ。相対的に、それまでの低粘度油性ボールペン人気は、明らかな萎み傾向にあった。実際、最新のボールペン人気投票でも、ベスト10の中で油性は三菱鉛筆「ジェットストリーム」ただ1本(それでも13期連続1位だけど)なのである。

 

ところが、今年になって風向きが変わってきた感がある。

 

三菱鉛筆「ジェットストリーム ライトタッチインク」や、ぺんてる「フローチューン」といった、従来よりもさらになめらかさの強い“超低粘度油性ボールペン”とも言うべき製品が次々と市場に現れ、注目を集めているのだ。さらには「ジェットストリーム」のライバルと目されていたゼブラ「ブレン」までが、新たに超低粘度油性インクを搭載したモデルを発表したのである。

 

あのブレないボールペンが新型油性インクで登場!

2018年、ゼブラ「ブレン」が発売された当時は、油性インクと水性インクの特性を併せ持つ混合型のエマルジョンインクを採用したボールペンとして注目を集めていた。

ゼブラ
ブレンU 0.5mm/0.7mm
各220円(税別)

 

↑ボール径はクリップ基部に印字されている。0を省略して「.5」「.7」という、珍しい表記だ

 

しかし2024年8月に発売(一部店舗では7月末に先行発売)されたゼブラ「ブレンU」は、エマルジョンインクではなく、新たに開発された低粘度のS油性インク搭載ということで、いま話題となっている。

 

さらにルックスも、名前を聞かなければ「ブレン」のシリーズだとは分からないほど大幅に変更されている。

↑従来型「ブレン」(写真上)との比較。言われなければ同じシリーズだと気付かないかもしれない

 

従来型「ブレン」は、工業デザイナーの佐藤オオキ氏率いるnendoの手によるデザインで、だ円を取り入れた軸形状や、クリップ一体型のノックノブなどが特徴だった。

 

対して新しい「ブレンU」は、そういった雰囲気要素をほとんど廃して全体をシンプル化。軸径も従来から1mm以上スリムになっている。デザインからの「ブレン」ファンというユーザーも多かったはずで、これはもしかしたら賛否が分かれるかもしれない。……というか、たぶん分かれる。

↑厚さ6〜7mmぐらいまでは留められて、破損の心配も無いバインダークリップ

 

そんな中でもクリップの金属化は、誰からも支持される変更点と言えるだろう。というのも、従来型「ブレン」の樹脂クリップはかなり板圧が薄く、手帳カバーなどに挟むだけで簡単に折れてしまうトラブルが多発していた。一部では「使うと折れるクリップ」なんて言われていたぐらいだ。

 

しかし、金属クリップ+コイルバネを内蔵したバインダークリップになったことで、多少の厚物ではビクともしない頑丈さを得たわけで、これは確実な使い勝手アップとなっている。

↑相変わらず安定感抜群のブレない書き味。一度ハマると他のペンが使いにくくなるほどだ

 

「ブレン」シリーズのメイン機能ともいえる“筆記時のブレ抑制”は従来通り。口金の出口でリフィルを固定するダイレクトタッチや、押し込まれたノックノブが揺れ動かない機構などのブレンシステムはこれまで通り働いてくれているので、高い筆記時安定性は維持されている。

↑口金内部のダイレクトタッチ機構。これがペン先のガタつきを抑えて安定させる

 

特にペン先のカチャカチャという微細振動を抑制した書き心地は、剛性の高い高級車のフィーリングに近く、快適そのもの。この辺りは、見た目がどれだけ違っても、やはり「ブレン」シリーズのペンといったところだろう。

 

筆圧をかけずに軽く書ける新しいS油性インク

最も大きな差分といえるインクの変更だが、やはりエマルジョンインクからS油性インクになったことで、なめらかさはかなりアップしたように感じられる。従来のエマルジョンインクも決してタッチが重かったわけではないが、しかしやはり低粘度油性のS油性インクの方が確実に軽い。

↑書き味の軽さを最大限に体感できるのが、手持ちのメモなど不安定な紙面への書き込みだ

 

そしてこの軽さが活きるのが、ハンドメモや手帳を手持ちしての筆記だ。

 

油性ボールペンは、紙の上にペン先のボールを押し付けたまま転がすことでインクを引き出すという仕組み。つまり、手持ちのメモだと紙面がふわふわと安定せず、ボールが転がりにくい。結果としてシンプルに書きづらいということになる。

 

対してS油性インクは摩擦係数がとても低いため、紙に軽く当たっているだけでもボールが転がって、インクを出すことができる。不安定な紙面に無理に筆圧をかけようとする必要もなく、本当に軽く書くことができるというわけだ。

↑発色が良いとされてきたエマルジョンインクよりも、さらにクッキリと黒い。油性インクとしてはかなり良好な発色と言える

 

それに加えて、発色の良さも大きなポイントだ。

 

エマルジョンインクと比較してもかなり鮮やかに黒々と発色するため、筆跡の可読性もかなり高い。筆跡が薄いと、どうしても筆圧をさらにかけてゴリゴリと書いてしまいがちだが、しかし逆に、軽く書いても筆跡が濃く出るなら、自然に筆圧も抜けて、さらに軽く書くことができるようになるはず。このあたりは、高発色と低粘度/低摩擦の良いシナジーと言えそうだ。

↑ブレない低粘度油性はペン先を紙に当てたところからズレないので、手帳へ細かな文字を書き込むにもわりと使いやすい

 

また、極端に摩擦係数の低いインクは紙に当たったときにペン先のブレを増幅して手に伝えることがあって、これが何度も繰り返されるとそれなりのストレスになってしまう。

 

であれば、低粘度油性インクとブレないブレンシステムの組み合わせそのものが、元からかなり相性が良いとも言えそうだ。

↑ブレンシリーズのリフィルは共通なので、入れ替えも問題無し

 

ところで、この稿の始めの方で「従来型の「ブレン」ファンからはデザイン面で賛否が分かれそう」と書いたが、ご安心を。従来型「ブレン」用エマルジョンインクのNCリフィルと、S油性のSYリフィルはサイズ・径とも共通で、入れ替えが可能なのだ。

 

なので、「S油性は気に入ったけどデザイン的には前のブレンがいい!」という場合は、リフィルだけ換装しちゃってもなんの問題も無し。自分の気に入るように組み合わせてしまおう(メーカー公認)。