日本文具大賞2020でグランプリに輝けなかった傑作たち

ink_pen 2020/9/8
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日本文具大賞2020でグランプリに輝けなかった傑作たち
きだてたく
きだてたく
きだてたく

1973年京都生まれ、東京都内在住。フリーライター/デザイナー。 小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の子がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文房具を持ち込んで自慢すればいい」という結論に辿り着き、そのまま数十年、何一つ変わることなく現在に至る。自称世界一の色物文具コレクション(3000点以上)に囲まれながらニヤニヤと笑って暮らす日々。ウェブサイト「デイリーポータルZ」では火曜担当ライターとして活躍中。

毎年開催されている、文房具の見本市「国際文具・紙製品展」(通称ISOT)の会期初日に発表されるのが、業界最注目の「日本文具大賞 グランプリ」である。

 

このアワードは、事前に機能部門・デザイン部門に各5アイテムが優秀賞としてノミネートされ、さらにそれぞれ1点のグランプリが選ばれるシステム。(選出はデザインディレクターの川崎和男氏を筆頭に、2020年は5人の審査委員によって行われた)優秀賞の中からどれがグランプリになるか? は、この時期の文房具好きのマストな話題といって間違いない。(そして筆者は毎回予想を外す)

↑日本文具大賞表彰式の様子

 

第29回となる今年のグランプリは、すでに他メディアの報道などでご存知の方も多かろうが、機能部門が「ホントの紙ねんどつくるキット」(相馬)。デザイン部門が「毎日使いたいガラスペン BRIDE/GROOM」「インクポット BOUQUET」(ハリオサイエンス)という結果となった。

 

これらグランプリ製品については、放っておいても各メディアで目にする機会があるだろうから、今年もこのGetNavi webの文房具連載では、筆者の個人的な「えっ、これグランプリ取れなかったの!? なんで?」的セレクトを3点紹介したいと思う。そう、つまりは今年も予想を外したということである。

 

1. 機能部門はこれだ! と思っていたLEDデスクライト

機能部門で個人的に推していたのが、蛇の目ミシンが販売する英国デイライト社製の充電式LEDランプ「Halo Go(ハローゴー)」。

 

ざっくりと言ってしまえば、手元が明るいコードレスの充電式LEDデスクライト+手元が拡大できる拡大鏡だ。充電時間は6時間、連続利用は最大で8時間となっている。

↑機能部門優秀賞の蛇の目ミシン「Halo Go」

 

ポイントになるのがLEDライト部分で、太陽光に近い6000Kの色温度と、Ra95+の高演色性を持っている。

 

“演色性”というのは、その光でモノ本来の色に見えるかどうか、という数値。太陽光をRa100として、それに近いほど自然な発色になる。医療現場や美術館で使われる照明の水準が90以上ということで、これはなかなかの高性能だ。もちろん同等の高演色デスクライトは他にもあるが、充電タイプで1万900円(税別)いう価格はかなりレア。

↑レンズ直下は確実に影のできない明るい視界。細かい作業中だと、これはすごくありがたいのだ

 

もうひとつの特徴である拡大鏡は、メインが2.25倍の直径9cm大型フレネルレンズ。さらにその中に4.0倍の小型レンズが埋め込まれているので、用途によって使い分けることができるのだ。

 

この2.25倍というのが、細かい作業にちょうど良くてかなり重宝する。プラモデルの細かい部品を組み立てるときや、マニュアルの小さな文字を読むときなんかは、広い視界と拡大率のバランスが取れたものが使いやすいのである。

 

それが両手フリーで使えて、なによりレンズ周囲からLEDが照らしてくれるので手元に影もできないし。老眼甚だしい身としては、こういうツールが本当にありがたい。

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