ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回は、トラブルを早期発見し、愛車と自分の身体を守るための「乗車前点検」についてレクチャーしていきます。
【バイクを落として音をチェック】
トラブルを早期発見し、愛車と自分の身体を守る。乗車前点検は決して怠れない。 まずは、1.のように自転車を5~10センチほど持ち上げて軽く地面に落としてみる。そこで異音やガタを感じたら、今度はハンドルを持ち上げ軽くゆすりながらハブ、ボトルケージ、ボルトの緩みがないかをチェックする。
1.ハンドルを持ち上げ、軽く落としてみる。ガタッという音がしたらヘッドが緩んでいるかもしれない。
サドルを持ち上げ落としてみて、クランク、スプロケットから異音がしないかを確認。チェーンが外れてしまう場合は、伸びているかもしれない。
【ハンドルのガタをチェック 】
逆に締めすぎから異音が生じることもある。そんなときは2.のようにハンドルを左右に何度か大きく切ってみよう。そこで偏った重さを感じたらヘッドパーツのベアリングのリテーナー(保持金具)が削れてしまっている疑いがある。特にシールドベアリングの場合、グリスが溶けて錆が発生することもある。
次に前ブレーキをかけた状態で前方に荷重をかけ、異常がないかをチェックする(3)。同様に後ろブレーキをかけて後ろ方向もチェックしよう。
2. ブレーキを持ち、ハンドルを左右に大きく動かしてみて、スムーズに動くかチェックする。
3.ブレーキブラケットに手を添えて、ハンドルに上から力を加え、取り付けトルクが十分か確認。体重をかけてしっかり押してみる。
【ブレーキのチェック 】
ブレーキ類の点検はまず、ブレーキレバーの引きしろを調整する。少しの引きでブレーキがかかりすぎてしまうと急ブレーキとなり危険だ。逆にレバーがハンドルに当たるまで引いても利きが悪いときは、ブレーキワイヤーが緩んでいる可能性がある。微妙な調整が求められる。
ブレーキシューはサドルに座った位置から見て偏りがないかをチェックするとわかりやすい。左右均等で平行に向いているのが基本だ。
4.ブレーキをかけてみて、引きしろをチェック。左右の引きしろが違う場合は合わせる必要がある。
ブレーキを握った状態で、自転車を前後に動かす。ブレーキが利いているかのチェックを行う。
5.ブレーキシューの左右のクリアランスを確認。左右同じ開き幅が理想。
6.間違った作業例。左右の開き幅が均等でないと、ブレーキがリムに当たり、常にブレーキがかかったままになってしまう。
7.間違った作業例。リムの高さとシューの位置が合っているか確認。写真のように、しっかりリムに当たっていない場合は調整が必要。
【クランク、BBのチェック 】
BBが緩んでいると、自転車をゆすったときに異音が生じる。8.のように力を込めてしっかりチェックしよう。
サドルの緩みはすぐにわかるが、問題なのは、逆に固く締めすぎている場合だ。体重がかかり、ネジに破損が生じるとボルトが折れる恐れがある。走行中の事故となるだけに非常に危険。頻繁にいじるのも控えたいが、ときどきサイクルショップの熟練者に見てもらうのもいいだろう。
8.クランクを持ち、動かしてみて、ガタの確認。大きい力がかかる部分なので、ガタが出やすい。
9.クランク部分は、左右上下に動かしてみて緩みがないかをしっかり確認する。反対側も忘れずに。
【ペダルのチェック】
10.ペダルを手で動かしてみて、しっかり締まっているかを確認。クリートの固定力も問題ないか確認する。
【サドルのチェック 】
11.サドルの前後を持って、左右に力を入れ、シートピラーがしっかり締まっているかチェック。
12.やぐらに上下から力を加え、サドルにガタがないか、シートクランプがしっかり締まっているか確認する。
【クイックリリースレバーを確認】
クイックリリースはちゃんとエンドに入っているかどうかを確認し、しっかりと締め付けること。慣れてしまえば簡単な乗車前点検だが、簡単だからこそおろそかになりがち。安全走行に欠かせないことなので必ず習慣化させよう。
13.クイックリリースレバーがしっかり締まっているかを確認する。リア、フロントともに行う。
【ディレイラーをチェック 】
14.クランクを回してみて、チェーンがしっかり動くか、ディレイラー付近から異音がないかなどを確認。
【ギヤをチェック 】
ギヤは、15.のようにそれぞれのギヤにチェーンを移してスムーズにチェンジできるか、異音がしないか何度か繰り返しチェックしよう。チェーンが前後で斜めになるので普段なら使わない「インナートップ(フロントがインナーでリアがトップの状態)」、「アウターロー(フロントがアウターでリアがローの状態)」にもギヤを入れて、チェーンやディレイラーがスポークに接触しないか、正常に動くかを確認する。
15.クランクを回しながらギヤチェンジ。前後ディレイラーがなめらかに動くか、各ギヤで異音がないか確認する。
【空気圧をチェック】
タイヤにもよるがロードバイクの適正空気圧は8気圧前後。バルブをきちんと締めていても、次第に空気は抜けていく。ほんの些細な違いでもスピードやペダリングに大きく影響する。エアインジケーター付き空気入れで正確にチェックしよう。
16.最後にタイヤの空気圧を確認。乗車前は毎回確認、補充が鉄則。自分のタイヤの適正空気圧を知っておこう。