ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回のテーマは、「クイックリリース」。こちらはレバーを解除するだけで簡単に脱着できる固定システムのこと。ロードバイクではホイールなどに使われています。メンテナンス時や輪行(分解して一般の交通機関で運ぶこと)の際に重宝するシステムですが、使い方を間違えて事故や破損を起こすことがないよう、以下でしっかり学んでいきましょう。
【レバーを開放する】
前輪、後輪のハブの中をシャフトで通しレバーを締め付けてホイールを留めているパーツがクイックリリース。スパナなどの工具を使わずに簡単に車輪が脱着できるので、パンク修理などがスムーズに行える。
クイックリリースの構造はいたってシンプル。これは、カンパニョーロの創立者であるトゥーリョ・カンパニョーロが発明したシステムだ。
現在、主流となっているクイックリリースはレバーを倒すだけでタイヤを固定できる。それ以前は、ナットで固定していたため、ホイールを外すのに手間がかかり、パンク修理が一苦労だったという。いずれにしろ、タイヤを固定する部分なので、しっかり固定しないと、走行中にタイヤが外れるなど重大事故につながる危険性がある。
レバーの多くに、「OPEN」「CLOSE」という文字が刻印されているので、走行前には必ず確認したい。
タイヤを外すだけなら、シャフトを抜き取る必要はないので緩めるだけでいいが、間違えて抜き取ってしまった場合は、タケノコバネの向きに注意。バネは大きなほうが外側にくるようにセットする。反対向きにしてしまうと、タイヤがしっかり締まらないうえに、バネやクイックリリースの破損の原因となる。
1.まずレバーを起こす。しばらく動かしておらず、固く締まっている場合も、無理をせずゆっくり起こしていこう。
2.レバーを起こしたら、レバーは指ではさんだまま動かさず、ナット側を緩めていく。軽く回るはずだ。
3.緩めていくと、フロントフォークとクイックリリースの間に隙間ができる。
4.写真は悪い例。ホイールを外すだけならシャフトを抜き取る必要はない。抜いてしまうと、向きがわからなくなる恐れがあるので注意しよう。
5.クイックリリースを分解したところ。構造はいたってシンプルだが、取り付け時はタケノコバネの向きに注意。間違えると締まらなくなる。
【レバーを締める】
ホイールをエンドに差し込むときはクイックリリースを内側に締めすぎると装着ができない。最大まで緩め、隙間を広げて差し込もう。また、上から押しつける必要はないので、溝に入れたらそのまま手を離すだけでいい。次に、ナットを締め込んで、レバーを倒して固定する。手のひらにレバーの跡が残るぐらいの固さが固定の目安だ。ただし、固いほど良いというわけではなく、きつく締めすぎた状態で、レバーを起こすとクイックリリースが破損する恐れがある。
レバーの位置は、前輪は地面に水平にして後ろ向きに、後輪はシートステーとチェーンステーの間にセットするというのが基本。こうすることで、障害物に接触しても引っ掛けてレバーが開いてしまう可能性が低くなる。レバーを回転させてフレームに固定しても、実際には固定力がないため走行中に緩む。車輪にガタが出たり、はずれたりするので、ここはしっかりと作業手順に従おう。
6.締めるときもナットを回す。レバーを支えている指を離しても下に倒れないぎりぎりの締め付け加減が理想。
7.⑥の状態で静止したところから一度下にレバーを倒し、手前へ90度回転させて持ち上げる
8.前輪のレバーは、地面に水平にして、後方へ締める。走行時に異物を引っ掛けないようにするためだ。
【リアのクイックリリース】
9.後輪側のクイックリリースも同様の操作で開放・締め付けできる。ただし、ナットは締めずにクイックリリースのみで行う。強く力をかけすぎないようにしよう。クイックリリースを締める方向は、前方ななめ左上が望ましい。