【弥彦線の秘密⑨】吉田駅から先、観光客も乗り込んだものの
燕駅周辺で廃線を確認した後に、再び弥彦線に乗り込む。燕市街を抜けると田園風景が広がるようになる。
西燕駅を過ぎると、さらに田んぼが多くなり左右に広がる風景の中を弥彦線は走る。このあたりは直接ちょう架式の区間で、トロリー線が1本の架線が続く。
国道116号の高架をくぐり左カーブ、越後線との接続駅、吉田駅へ到着した。
吉田駅で弥彦駅行きに乗り換える。直通列車が少ないのが残念だ。特に午後、東三条駅15時以降に発車の列車すべてが、吉田駅での乗り換えが必要となる。接続はあまり良いとはいえず、13〜30分以上の待合せ時間が生じてしまう。
まあローカル線の旅。あまり焦ってはいけないのかも知れないが。
【越後線の秘密⑩】観光客に忘れ去られた印象が強い弥彦線
吉田駅を発車した電車は、越後線の線路と平面交差。越後線の線路とクロスしつつ弥彦方面へ向かう。
右に民家、左に田園風景を見つつ走ると、右に大きな鳥居が見えてきた。こちらは弥彦名物の一つで高さ30mの大鳥居。上越新幹線の開業にあわせて造られ、完成当時は日本一の高さだったとされる(現在は三位)。
大鳥居は県道29号線が下をくぐっているが、下からは先に弥彦山が見える。最寄りの矢作駅からは徒歩で約7分。興味のある方は訪れみてはいかがだろう。ただし、この大鳥居から彌彦神社までは約4km弱あり、ちょっと歩くのがきつい距離だ。
矢作駅を発車した列車は左右に緩やかにカーブしつつ、今回のゴールとなる弥彦駅を目指す。正面にそびえる弥彦山が次第に、間近に迫ってくる。
弥彦山は標高634mとそれほど高い山ではないのだが、広々した新潟平野から、突如、湧き上がるようで非常に目立つ。
それこそ、関東平野一円から富士山が見えるように、新潟平野からは遮るものがなく、弥彦山を様々な箇所から望むことができる。弥彦山には彌彦神社のご祭神、天香山命(あめのかぐやまのみこと)が祀られている。
人の心を揺さぶるような威厳を持ち、いわば神々しいという形容詞が似合う山というのは、時代が大きく移り変わろうとも、不変の存在なのだろう。
そんなことを思いつつ列車は弥彦駅へ到着した。一部の列車を除き、すぐに折り返す列車は少ない。発車の時間を利用して、弥彦駅をじっくり巡りたい。
【弥彦駅周辺情報】自然公園や足湯など魅力がふんだんに
弥彦駅近辺でも、見どころはふんだんにあった。まずは駅前広場に足湯がある。2018年夏に生まれた足湯で「湯のわ」と名付けられる。弥彦湯神社温泉の湯が足湯に満ちている。利用は無料。ただし、タオル1枚を持参することをお勧めしたい。
駅前、すぐのところには広大な自然公園、弥彦公園もあった。
さて肝心の彌彦神社は? 弥彦駅から徒歩で15分ほどの距離にある。
さらに神社の奥にある弥彦山へ登るロープウェイ山麓場までは20分ほどかかる。そのせいなのか、彌彦神社へは、マイカーや東三条駅からタクシーで訪れる人が多いようだった(路線バスの平日のみで本数は5本のみ)。
今回、弥彦駅に下車して、数少ない下りる人の行方を目で追ったが、彌彦神社へ向けて歩く人は少なかった。
弥彦線を利用する人が少ないという理由には、現代人は、あまり歩かなくなっているということも理由にあるのだろう。高齢化が進む影響もあろう。さらに弥彦線の各駅には都会の駅のように、エレベーター、エスカレーターがない。足が弱まった高齢者にとって、跨線橋を上り下りする乗り換えが大変なのである。
かつては、彌彦神社へ向かうほとんどの参拝者が弥彦駅から歩いたはずである。歩いてこそ、発見できる土地の良さも感じられることがある。時代の変化に納得しつつも、ちょっと残念な思いが残った。
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