平穏そのものなハンズオフ走行! 「2.0」の完成度はハイレベル
とはいえ、この新型スカイラインにおける最大のトピックは、やはり日産車で初めてプロパイロット 2.0がハイブリッド仕様に搭載されたことでしょう。2.0のゆえんは、高速道路の複数車線で手厚い運転支援が受けられるようになったことに求められます。その代表格がハンズオフ機能。3D高精度地図データが整備された高速道路に限られるなど、使用するには一定条件のクリアが必須ですがステアリングから手を離したままの走行が可能になりました。
また、2.0ではカーブの大きさに応じた自動減速や標識の速度表示に対応した車速の自動調整、停止後約30秒以内なら自動で追従走行を再開する機能(従来型プロパイロットは3秒)が追加。さらにハンズオフとの併用はできませんが、ステアリングによる車線変更支援(自動操舵)まで搭載されています。つまり、従来のプロパイロットを含めたこれまでのアクティブクルーズコントロールと比較すると、2.0には格段に自動運転に近い能力が与えられているわけです。
もちろん、現状だと決して自動運転とはいえません。高速道路でも対面通行区間や分岐・合流が多い地点、トンネル、工事区間などの走行時やワイパーの作動状態によってはハンズオフが機能しませんし、制限速度が70㎞/h未満の場所や低速走行時(60㎞/h未満)は車線変更支援も得られません。しかし、走行中の“手放し”が許される機能が市販車に初搭載されたという1点だけでも大きな進歩であることは間違いないでしょう。
では、実際に使ってみるとどうなのでしょう? 今回は短時間ながら高速道路で試乗する機会が設けられていたのですが、その出来映えは新時代を予感させるに十分なものでした。事前にナビゲーションで目的地設定をしておけば、ステアリング右にあるスイッチ操作だけでハンズオフから車線変更支援まで体感可能です。当然といえば当然ですが、ハンズオフ走行時でもクルマは車線内の中央を正確にキープ。フラつくことはもちろん、路面状況に応じて行なわれているはずの細かな舵角修正すら意識させません。今回は80㎞/hに速度制限されたルートだっただけに、遅いクルマを追い越す際に使用する車線変更支援を試す機会はほとんどありませんでしたが操舵制御も穏やか。これならハンズオフ併用でも問題ないのでは? と思わせるほど自然なアシストを披露してくれました。
唯一、気になった点を挙げるなら標識の制限速度表示に忠実過ぎることでしょうか。これも当然の話ではあるのですが、たとえば制限速度が極端に変わる状況だと律儀に反応して急激に速度を落とすので、何が起きたかとハッとさせられる場面がありました。また、なまじ完成度が高いだけに遵法精神の高い速度設定にもどかしさを感じる場面もあります。もちろん、作り手の立場としてはこれもまた当然の措置ですが、ユーザーの立場で考えるともう少し融通が効く設定の方がありがたみが実感しやすいでしょう。
ちなみに、プロパイロット2.0の作動時は車内の赤外線カメラがドライバーの顔の向き、目の開閉状態などを常時チェック。よそ見の時間が長いと警告を発するなど、安全対策は入念に施されているので動画サイトで話題になった某アメリカ車のような問題は起こり得ません。