【くまでんの秘密⑫】評価が高いLRT計画もなかなか進まず
熊本電鉄のホームページを開くと、「LRT化計画」が提案されている。LRTとはライトレールトランジット(Light rail transit)のこと。軽量軌道上を軽量化した鉄道車両を走らせる交通機関で、日本でも路面電車のライトレール化、さらに従来の鉄道路線を利用、一部の路線を変更して利用する例が見られる(富山ライトレールなど)。
国土交通省九州運輸局と熊本県が2004年に策定したプランでは、熊本電鉄のLRT化を提案、さらに熊本市交通局(熊本市電)の水道町電停付近まで路線に延ばして乗り入れ。また御代志駅より先の大池まで延長し、より利便性を高める案が盛り込まれた。しかし、当時の事業費で100億円という費用がかかり、事業目処は立たなかった。熊本電鉄独自では、とても成就不可能なプランであり、行政の支援が不可欠とし、さらに同社は鉄道線の廃止まで持ち出している。その後、市電との乗り入れ案やLRT化は凍結されたままとなっている。
長年にわたり赤字が続く慢性的な問題。熊本電鉄では運行時間を早朝と深夜帯まで拡大させるなど自助努力を進めているものの、沿線人口の減少、利用者の減少などに直面している。鉄道事業のみならず、バス事業も難しい局面に立たされているとされる。
苦境にあえぐ熊本電鉄は今後どうなるのだろうか。存続のためには行政の支援を欠くことができないだろう。鉄道好きとしては何とか頑張って欲しいと願うしかない。ローカル線の旅を楽しませていただいたものの、地方の鉄道が直面する難しい問題を見てしまったように感じた。
【ギャラリー】