【水島臨海鉄道の謎⑩】水島港方面へ向かう廃線跡は何だろう?
水島駅の先、路線は2手に分かれる。左側は貨物専用線の港東線で、この先、東水島駅へ向かう。右にカーブする側が三菱自工前駅方面だ。水島駅の先まで高架線が続き、車窓からは進行左手に水島港が見える。
筆者が乗車した列車は朝一番ということもあって三菱自工前駅行きだった。ただ、早朝の到着のため、終点まで乗車した乗客は、ほんの数人だった。起点の倉敷市駅からは所要27分で到着した。運賃は片道350円だった。
三菱自工前駅に降りて、駅周辺をぶらぶらする。まずは東側、水島港方面から。
臨港第一踏切の手前に、かつて分岐ポイントがあり、路線が走っていた形跡が残る。道を越えて線路が一部、残っているが、これが三菱自工前駅から水島港に隣接する西埠頭駅まで延びていた西埠頭線(0.8km)の跡だ。この路線は正式には2016年7月15日に廃線となった(実際にはこの数年前から休止状態だった)が、今も線路が一部分、敷かれたままとなっている。
三菱自工前駅の西側へ線路がまっすぐ延びている。前述したように、駅の800m先に倉敷貨物ターミナル駅がある。貨物ターミナル駅に隣接して車両基地や整備工場があり、平行する通り沿いからも基地内の車両を眺めることができる。
三菱自工前駅に到着した旅客列車は、一部の列車がすぐに折り返す。また整備や乗務員交代のため、同基地へ入ってくる列車もある。貨物列車の出入りも目にすることができる。ちなみに、車両基地の先にも工場内へ入っていく線路が延びている。この線路はJFEスチール西日本製鉄所内まで敷かれていた引込線で、現在は使われていない。
各地のローカル線を乗り歩いて、気付かされることだが、水島臨海鉄道の沿線でも複数の路線が廃線となり、駅周辺ではかつての賑わいが薄れている様子が見受けられた。社会が高齢化とともに、地方では若い世代の流出が止まらない。伴う地方経済の疲弊と、弱体化……。ローカル線の旅を楽しみつつも、簡単に片付けられない現実がかいま見られ、寂しい気持ちにさせられた。
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