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2019/12/31 10:30

フランス流のラグジュアリーはいかが? 最新コンパクトSUV「DS 3 クロスバック」に乗ってみた

まさに最新フレンチ・ラグジュアリー、ともいうべき快適性が際立つ!

現状、日本に導入されているDS 3 クロスバックのパワートレインは3タイプあるグレードを問わず1.2L直列3気筒ガソリンターボ+8速ATのみ。今回の試乗車は最上級のグランシックでしたが、その走りもプレミアムなコンパクトSUVとして満足できる出来栄えでした。

走り出して最初に気付くのは、プレミアムなクルマらしいボディのしっかり感。DS 3 クロスバックにはPSAグループの新世代骨格、CMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)が採用されていますが、従来のPF1プラットフォーム比で剛性が30%向上しているという謳い文句にウソ偽りはなさそうです。また、しっかり感はあっても乗り心地にしなやかな繊細さを感じる点もフランス車らしい魅力のひとつ。乗用車ベースのSUVの場合、路面からの細かな凹凸を拾う、悪くいえばザラザラとした乗り心地を示す個体が少なくないのですが、DS 3 クロスバックにそんな悪癖はなく滑らかなで上質なライド感が満喫できます。

 

サスペンションはフロントがストラット、リアはトーションビームというコンパクトカーでは定番の構成ですが、前述の秀逸な乗り心地に加え操縦性も侮れない水準にあります。特にスポーティな設定ではありませんが、背の高さを意識させない漸進的なロール感やステアリング操作に対する正確な応答性、さらに“粘り腰”で十二分な安定性を確保するリアの動きと相まって、乗り手さえその気になればスポーティな走りにもしっかり応えてくれます。

 

グランシックでも車重は1280㎏、ということで1.2Lターボがもたらす動力性能も必要にして十分というところ。組み合わせるトランスミッションがワイドレンジな8速ATなだけに、日常的な走りではシームレスな加速と優れた静粛性を実感。音や振動、という点では不利な3気筒のネガを意識することはありません。もちろん、高回転になれば相応に室内に飛び込む音は大きくなりますが、決して不快な音質ではないので積極的にエンジンを回す歓びも見出せます。2020年内には日本にもピュアEV仕様の「E-TENSE」が導入されるというDS 3 クロスバックですが、純粋な実用性や質感という点ではこのガソリン仕様を選んでもユーザーが後悔することはないはずです。

↑日本仕様のパワーユニットは、いまのところ1.2Lの3気筒ガソリンターボのみ。これに8速ATを組み合わせます

 

となれば、結論は明らか。DS 3 クロスバックは、コンパクトSUVとして間違いなく狙い目の1台です。プレミアムブランド、ということでお値段は相応に高くなりますが輸入車で主流のドイツ勢に対するオルタナティブとしても自信を持ってオススメできます。いまや各メーカーからさまざまな選択肢が提案されているSUVカテゴリーにあって、とりわけ個性を重視したいユーザーにピッタリなことは言うまでもないでしょう。

↑走りはフランス車に対する期待を裏切らない、しなやかな乗り心地と懐の深い操縦性が魅力的です。絶対的な動力性能も必要にして十分

 

SPEC【グランシック】●全長×全幅×全高:4120×1790×1550㎜●車両重量:1280㎏●パワーユニット:1199㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:130PS/5500rpm●最大トルク:230Nm/1750rpm●WLTCモード燃費:15.9km/L

 

撮影/菊池貴之

 

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