【ごめん・なはり線の秘密③】車両は9640形。読みはくろしお
ここでごめん・なはり線を走る車両の紹介をしておこう。ごめん・なはり線の車両はすべてが9640形だ。「9640」は「くろしお」と読む。土佐くろしお鉄道という会社名に合わせているのである。
車両は全長20m。ステンレス製の車体を持ち、JR四国の1000形気動車と連結して運転ができる構造となっている。座席は大半の車両がセミクロスシート仕様だ。使われる10両のうち、2両が特別仕様車で、9640形1S・9640形2Sという車両番号となっている。この車両、国内でここのみという形をしている。どのような車両なのか、次に見ていきたい。
【ごめん・なはり線の秘密④】ぜひ乗りたいオープンデッキ車両
特別仕様の9640形1Sと9640形2Sには海側(南側)にオープンデッキがある。オープンデッキには手すりがあるものの、ガラス窓が付かない。デッキに出ればトロッコ客車のように吹く風を直に感じることができる。車両は左右非対称のちょっと不思議なスタイルである。
同車両は時刻表に運行時刻が掲載されている。オープンデッキ付き車両は主に「しんたろう号」、「やたろう号」という列車名で運行されている。ごめん・なはり線内(JR線内の利用は不可)では、オープンデッキに出ることができ、その魅力が楽しめる。他社には無い車両だけに一度は体験してみたい車両だ。
【ごめん・なはり線の秘密⑤】各駅のキャラクターに注目したい!
筆者はごめん・なはり線に乗車するために起点の後免駅へ向かった。後免駅の改札口を入り0番、1番ホームへ向かう。そこでかわいらしいキャラクターに出会った。
キャラクターの名前は「ごめん えきお君」。駅員をモチーフにしたキャラクターだ。ごめん・なはり線の全駅には、こうした駅独自のキャラクターが、駅の構内や入口などに立つ。
キャラクターを描いたのは故やなせたかしさんだ。アンパンマンの作者で知られるやなせさん。生まれは東京ながら、父母の故郷、高知県香美市香北町(かみしかほくちょう)へ移り住み育った。東京へ出た後も故郷への思いが強く、四国そして高知の鉄道会社へ自らの素材を複数提供している。具体的な列車の例としてはJR四国の「アンパンマン列車」であり、「瀬戸大橋アンパンマントロッコ」だ。
やなせ氏の出身地のそばを走るごめん・なはり線。やなせさんが描いた駅のキャラクターたちは、その名前も興味深い。
後免町駅は「ごめん まちこさん」。隣の立田駅(たてだえき)は「たてだ そらこちゃん」といった具合。「たてだ そらこちゃん」は近くに高知龍馬空港があることから、この名前になったそうだ。こうしたキャラクターのいわれをたどる旅もおもしろい。