乗り物
2020/10/18 18:30

1960年竣工の「貨物船」から商船の興味深い歴史をひも解く

【貨物船再発見⑧】横浜の港が繁栄した歴史の足跡をたどる

横浜港が賑わったころの名残は、港のさまざまな場所で見ることができる。桜木町駅から日本郵船歴史博物館へ、さらに氷川丸のある山下公園へ歩いてみてはいかがだろう。コースを組んでみた。

 

桜木町駅→ 0.2km(徒歩約2分)→ 日本丸 → 汽車道1.2km(徒歩約13分)→ 旧横浜港駅プラットホーム → 1.0km(徒歩12分)→ 日本郵船歴史博物館 → 1.2km(徒歩15分)→ 山下公園・氷川丸

*全行程3.6km徒歩約45分

 

桜木町駅から港側に出ると、かつて桜木町駅から先、港湾部まで線路が延びていた旧横浜臨港線の線路跡がある。今も線路の一部が残されていて、廃線跡を偲ぶことができる。

 

臨港線は桜木町駅からまず2つの人工島を造って線路が延びていた。途中、小舟が通ることための水路部分にあり、鉄橋を架けられていた。そのルートを生かした遊歩道「汽車道」をのんびりと歩くことができる。残る線路にはウッドデッキがかぶせられ歩きやすい。

↑桜木町駅から先、臨港線の路線跡が遊歩道「汽車道」となっている。橋桁に付く銘板には1907(明治40)年、米ブリッジ製とあった

 

線路が残る遊歩道はホテルナビオス横浜の建物をくぐり、万国橋交差点まで延びている。さらに港側へ歩いて行くと、商業施設「MARINE & WALK YOKOHAMA」と「横浜赤レンガ倉庫」の間に旧横浜港駅プラットホームがある。ホーム近くには線路も残っている。ここは新港と呼ばれる地区で、1911年(明治44)年、臨海部初の路線が敷かれた。旧横浜港駅へは旅客列車も運行されていた。同駅で下車した人たちは、出国手続きを行い、桟橋から船へ乗船し、海外を目指したのだった。

 

旧横浜港駅のプラットホームからは赤レンガパーク越しに、現在、旅客船が多く寄港する横浜港大さん橋国際客船ターミナルを望むことができる。

↑新港にある旧横浜港駅プラットホーム(旅客昇降場)。1920(大正9)年には同駅へ向けて東京駅発の汽船連絡列車も運転が始まった

 

臨港線の線路は、旧横浜港駅の横に立つ横浜赤レンガ倉庫の前を抜けて、さらに山下公園へ延びていた。

 

現在、路線の跡は汽車道や山下埠頭線プロムナードとなっていて、多くの人たちがのんびり散策している。歩いている人たちのどのぐらいの方が、かつて、この遊歩道を旅客列車や貨物列車が走っていたことを知っているのだろうか。

 

そして企画展が開かれている日本郵船歴史博物館。1936(昭和11)年築の建物で、ギリシャの神殿を思わせるような16本の列柱が特徴。ルネサンス様式とも称される建物だ。威厳のある建築で、横浜港への船の出入りが多かった時代、多くの人が忙しく出入りしていたことだろう。このビルを見るだけでも価値があると感じた。

 

こうした横浜の歴史を感じさせる施設と変貌ぶり。鉄道好き、船好きにとっては、ちょっとノスタルジックな気持ちになってくる臨港エリアでもある。

↑日本郵船歴史博物館がある横浜郵船ビル。正面にはギリシャ神殿のような列柱が均等の間隔で立ち並ぶ

 

 

※参考文献:大澤浩之著「紙模型でみる日本郵船 船舶史1885-1982」星雲社、池田良穂監修「プロが教える船のメカニズム」ナツメ社

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