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2020/11/8 20:00

えちぜん鉄道「三国芦原線」10の魅力発見の旅

【魅力発見の旅⑩】レトロな三国港駅。駅近くの港からは……

あわら湯のまち駅からは列車は西へ向かって走る。三国港駅までは、旧国鉄三国線とほぼ平行して線路が敷かれていた。太平洋戦争中に国鉄線は休止され、芦原駅(現・あわら湯のまち駅)〜三国港駅間は、当時の京福電気鉄道の路線のみ営業が存続、旧国鉄線は線路がはがされ、鉄不足を補うため供出されていた。戦後、同区間の国鉄路線は復活されることなく、京福電気鉄道の路線のみが残された。国鉄の列車が京福電気鉄道の路線に乗り入れて運行されることもあったとされる。

 

あわら湯のまち駅を発車した電車は水居駅(みずいえき)、三国神社駅と小さな駅を停車して、三国駅へ。この三国駅は2018年3月に新しい駅舎ができたばかり。観光案内所もあり、地元、坂井市三国の玄関口として整備されている。東尋坊方面への路線バスもこの駅の下車が便利だ。

 

この三国駅は、三国港駅と東尋坊口駅へ向かう路線の分岐駅になっていた。太平洋戦争中の1944(昭和19)年まで、京福電気鉄道の路線が東尋坊口駅まで1.6km区間に電車を走らせていた。だが、この年に休止、1968(昭和43)年に復活することなしに正式に廃止されていた。

↑三国駅〜三国港駅間にある眼鏡橋。三国港駅からもよく見える。大正期の造りで国の登録有形文化財に指定されている

 

さて筆者は三国駅では降りず、終点の三国港駅へ。途中下車しつつの旅立ったため、時間はかかったが、福井駅から直通の電車に乗れば、三国港駅へは約50分で到着する。なかなか三国港駅は見どころ満載の駅だった。まずは駅舎。この駅舎は2010年に改修されたが、元の木造平屋建ての建物の部材を使って建て直したもので、なかなか趣深く写真映えしそうだ。

 

さらに三国駅方面にはレンガ造りのアーチ橋が架かっていた。この橋は「眼鏡橋(めがねばし)」の名前で親しまれ、旧国鉄三国線の開業時に造られたものだった。アーチのレンガが螺旋状に積まれた構造のトンネルで、こうした構造は「ねじりまんぽ」と呼ばれる。アーチ端部分が鋸歯状(きょしじょう)の段差仕上げがなされていて、この時代特有の姿を今に残している。歴史的にも貴重なため、同眼鏡橋は国の登録有形文化財に指定されている。

↑終点駅、三国港駅の構内。駅舎は2010年に立て替えられたもの。逆側を見るとわずかだが引込線らしき線路が残っていた(左上)

 

↑三国港駅に平行するように旧国鉄三国港駅のホームの遺構が残っていた。すぐ目の前は県漁連の荷揚げ施設などがある

 

三国港駅の構内踏切を渡ると古い石組みが残る。同施設の解説プレートがあった。読んでみよう。

 

「このホームは国鉄三国支線時代の遺構です。(中略)三国港駅は大正2年に荷扱所(貨物専用)として出発し、翌年、駅に昇格しました。貨物積み込み線の横はすぐ海で、船からの積み替えが容易にできるようになっていました」。

 

今でこそ、旧ホームの裏手に県道が通るものの、すぐ裏手に港があった。そこから望む西側の空は、夕日で真っ赤にそまり、とても神々しく、まるで旅のフィナーレを飾るかのようだった。

↑九頭竜川の河口にある三国港。駅のすぐ目の前にこの風景が広がっていた。こんなドラマチックな夕景に出会えるとは

 

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