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2020/12/31 17:30

今年は208やルーテシアが入ってきたので「欧州コンパクトカー」Best 5を決めてみた

2020年は7月にプジョーの208が、11月にルノーのルーテシアが導入されるなど、ヨーロッパのコンパクトカーの主力モデルが相次いで上陸。都市部の石畳、山岳路、そして高速道路と、ヨーロッパの道はかなりシビアだ。そんな環境で生まれ鍛えられたヨーロッパのコンパクトカーのなかから、気になる3台をそれぞれチョイス。プロたちがナットクした珠玉の5台がコレだ!

※本稿は「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【採点した人】

5人それぞれで1位から3位を選出。1位10点、2位7点、3位5点のポイントとし、獲得ポイントの合計で1位から5位までの順位を決定した。

岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト):若いころにはホットハッチを乗り継いだことも。世界のあらゆるカテゴリーのクルマを網羅し豊富な知識を持つ。

清水草一さん(モータージャーナリスト):生涯購入したクルマは合計50台。フェラーリのみならず、使い勝手が良く走りの楽しい小型車も愛する。

安藤修也さん(自動車ライター):モーター誌をはじめ、一般誌、マンガ雑誌などで手広く活動中。数年前に欧州の道路を1000km走破した経験を持つ。

塚田勝弘さん(自動車ライター):フリーランスとして新車、カー用品を中心に執筆・編集に携わって約16年。元・GetNavi本誌のクルマ担当。

上岡 篤(GetNavi本誌クルマ担当):小気味良く走るヨーロッパのコンパクトカーは大好き。最近は乗ることが少なくなったMT車を渇望している。

 

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【第5位】★獲得ポイント:10

 乗った人を必ず魅了するゴーカートフィーリング

MINI MINI 3ドア

267万円〜470万円

意のままに操ることが可能なワイドトレッドやショートオーバーハングが魅力の、MINIの伝統を最も良く受け継いでいる3ドアモデル。アプリを通じて広がるMINI Connectedの採用など、伝統のなかにも革新が宿っている。

SPEC【COOPER S】●全長×全幅×全高:3860×1725×1430mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:1998cc直列4気筒●最高出力:192PS/5000rpm●最大トルク:28.5kg-m/1350〜4600rpm●WLTCモード燃費:14.5km/L

【ポイント内訳】安藤修也 3位(5ポイント)/岡本幸一郎 3位(5ポイント)

 

普遍的なアイコンだが一番の魅力は走りにあり

MINIの代名詞にもなっている「ゴーカートフィーリング」という言葉がある。乗車位置が低いため、まるでゴーカートのように路面の状況を克明に感じ取れるリアリティのある乗り味。そして、ボディ四隅にタイヤが配置されていることで、キビキビとした軽快な操舵フィーリングが味わえる。誰もが一度は欲しいと思うクルマだが、支持される理由はキュートなルックスだけではない。実際に運転してみるとそれが間違いだと気づく。そう、このクルマはなにより走りが楽しいのだ。(安藤)

↑COOPER S搭載の1998cc直噴ターボエンジン。余裕あるパワーとトルクでパワフルな走りを実現する

 

【第4位】獲得ポイント:17

まるでレーシングカー!? これぞ羊の皮をかぶった狼

フォルクスワーゲン ポロ GTI

386万円

ラジエーターグリルやブレーキキャリパーの赤色が特徴のポロGTI。力強い走りを生み出す2.0Lの直噴ターボエンジンのパワーを6速DSGトランスミッションが受け止めて最適な駆動力を発揮し、快適な走行を実現する。

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440mm●車両重量:1290kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6kg-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.8km/L

【ポイント内訳】清水草一 1位(10ポイント)/上岡 篤     2位(7ポイント)

 

2リッターターボの気持ち良さにビックリ仰天

ポロGTIには本当に驚いた。2.0Lとそれほど大きな排気量でもないエンジンが、まさかこんなに気持ちイイなんて〜! アクセルを床まで踏み込むと、まるでレーシングカーのようなサウンドがあぁぁ〜〜〜〜! 実際にはそれほど速くありませんけどね、運転の楽しさは天下一品! それでいてボディはポロそのものなので、同社のゴルフよりもコンパクトで取り回しが良くて室内の広さもちょうどいい。まさに欧州コンパクトカーの王道ですな! これに乗っときゃ間違いないぜ。(清水)

↑ノーマルに加えエコ、スポーツ、カスタムの各モードを選択可能。ステアリング、エンジン特性も変更される

 

【第3位】獲得ポイント:19

パワフルさとサウンドはフィアット500とは別モノだ!

ABARTH アバルト

595 300万円〜400万円

フィアット500をベースに、強烈なパワーを生み出す1368cc直列4気筒ターボエンジンを搭載したホットハッチ。しっかりと固められた足周りやホールド感が高い専用のシートにより、スポーツ走行の楽しさを実感できる。

SPEC【コンペティツィオーネ・5MT】●全長×全幅×全高:3660×1625×1505mm●車両重量:1120kg●パワーユニット:1368cc直列4気筒+ターボ●最高出力:180PS/5500rpm●最大トルク:23.5kg-m/2000rpm(スポーツモード時25.5kg-m/3000rpm)●JC08モード燃費:13.1km/L

【ポイント内訳】安藤修也 2位(7ポイント)/塚田勝弘 2位(7ポイント)/上岡 篤 3位(5ポイント)

 

スポーツモードON時の圧倒的なトルクは強烈!

ナリはフィアット500だが、その中身はまったくの別モノであるアバルト。エンジンに火を入れればブロロンッ! とうなる覚醒的なサウンドに心躍らされる。圧巻は、スポーツモードボタンをONにした瞬間。メーターのグラフィックが変化し、過給圧計のSPORTの文字が点灯。数値はノーマル時と比較して2.0kg-mのアップでしかないが、トルクは圧倒的に異なる。街なかで似合うのはフィアット500だが、ワインディングロードを駆け抜けるなら断然アバルトである。(上岡)

↑インパネのSPORTボタン。押すとスポーツモードに切り替わり、数値以上のトルク感アップを実感できる

 

【第2位】獲得ポイント:22

クラスを超えた中身が光る実力派フレンチコンパクト

ルノー ルーテシア

236万9000円〜276万9000円

力強くスポーティで、シャープな印象を与えるフロント部を中心に優美なデザインを実現した新生ルーテシア。手に触れるインテリアの多くにソフトパッドを使用し、上質さと滑らかな触感をもたらしている。

SPEC【インテンス テックパック】●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm●車両重量:1200kg●パワーユニット:1333cc直列4気筒+ターボ●最高出力:131PS/5000rpm●最大トルク:24.5kg-m/1600rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】岡本幸一郎 1位(10ポイント)/清水草一 2位(7ポイント)/塚田勝弘 3位(5ポイント)

 

前作のRSを凌ぐ動力性能で速さはホットハッチ並み

見た目も中身もクラスを超えた1台。内装では本革シートやソフトパッドまで採用し、前後席も十分に広く、391Lを確保する荷室容量など実用性にも優れる。

 

日産や三菱とのアライアンスに基づいた新規プラットフォームによる走りは軽快で快適。それにメルセデスを加えた仲で開発されたエンジンは1.3Lながら相当に速い。静粛性も高く、乗りやすくて快適なうえ、刺激的な走りを楽しめるのだから思わず感心してしまう。日産のプロパイロットにルノー独自の制御を盛り込んだという先進運転支援装備も充実している。 ユニークなデザインに加えて優れた要素を身に付けた、超実力派のフレンチコンパクトだ。(岡本)

↑低回転域から24.5㎏-mの最大トルクを発生させる直噴ターボエンジン。余裕のある走りを実現している

 

↑運転モードが選択できる「ルノー・マルチセンス」。エンジンの出力特性やステアリングフィールも変更可能だ

 

 

【第1位】獲得ポイント:32

街なかでの小気味良さと高速域の安定性を備えた傑作

プジョー 208

239万9000円〜423万円

躍動感のあるフォルムに、3本爪のモチーフを前後ライトに採用したスポーティな外観、新世代の「i-Cockpit」を採用した内装が目を引く。衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどの先進装備も充実。

SPEC【208 GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm●車両重量:1170kg●パワーユニット:1199cc直列3気筒+ターボ●最高出力:100PS/5500rpm●最大トルク:20.9kg-m/1750rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】塚田勝弘 1位(10ポイント)/上岡 篤 1位(10ポイント)/岡本幸一郎 2位(7ポイント)/清水草一 3位(5ポイント)

 

昔の“猫足”ではなくても木綿豆腐のようなしなやかさ

新型208は、Bセグメントで現在ベストといえる走りを堪能できる。小径ステアリングもあってフットワークは軽快そのもので、高速域の安定性も兼ね備えている。交差点ひとつ曲がっただけで楽しいと思える味付けを濃厚に感じさせながら、ボディはあくまでミシリともいわずしっかりしたものだ。

 

208も含めて最近のプジョーは、“猫足”と表現された昔のしなやかな乗り味一辺倒ではないが、以前のドイツ車へのコンプレックスを感じさせた硬さもない。100PS/20.9kg-mの1.2Lターボは数値以上に力強く感じるし、トルコン付のATはダイレクト感のある変速マナーで、楽しさとスムーズさを兼ね備えている。(塚田)

↑PSAグループ最新の「CMP」を採用。軽量化や、空力性能の向上、駆動系や足周りの転がり抵抗の低減を叶える

 

↑「インターナショナルエンジンオブザイヤー」に5年連続で選出。燃費も改善し、WLTCモードは17.0km/L

 

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