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2022/4/5 18:05

コンパクトサイズでも存在感は十分! ダイハツ「ロッキー」はハイブリッドも魅力的だった

1LクラスのコンパクトなSUVとして、兄弟車のトヨタ「ライズ」とともに人気を博しているダイハツ「ロッキー」。そんなモデルにハイブリッドモデルと、1.2Lのエンジンを搭載したモデルが新たに加わりました。特にハイブリッドモデルは、自社製の「e-SMART HYBRID」と呼ばれるユニットを搭載した意欲作です。

 

【今回紹介するクルマ】

ダイハツ/ロッキー

※試乗車:Premium G/Premium G HEV

価格:166万7000円〜236万7900円(税込)

 

コンパクトでも小さく感じない外観と室内

5ナンバーサイズのコンパクトなSUVである「ロッキー」。コンパクトSUVとしてはトヨタの「ヤリス クロス」と比較されることも多いですが、ヤリス クロスは3ナンバーサイズであることを考えると、ロッキーは並ぶもののない存在です。外観デザインは、SUVらしい車高を確保し、デザインもフェンダーの張り出しを強調したラインなど存在感のあるもので、見た目で小ささは感じません。

↑大きめのライトを中心にデザインされたフロントフェイスは迫力があるもの

 

↑ハイブリッドモデルはグリルのデザインも変更され、エンブレムはブルーとされる

 

↑兄弟車のトヨタ「ライズ」(右)も基本設計は同一ながらフェイスデザインは異なる

 

車内に入っても、意外なほど狭さは感じません。運転席からの視界が広く確保されていることが、車室内を広く感じるのに一役買っているようです。リアシートに移っても、前席との隙間が確保され、足元もヘッドスペースも狭さを感じさせないものです。ファミリーカーとして購入しても、後席から不満が出ることはないでしょう。

↑SUVとしてはコンパクトなサイズですが、視界が広い分狭さは感じない

 

↑リアシートは足元・ヘッドスペースともに十分確保されている

 

ラゲッジスペースは後席を使用した状態で369L(2WD/ガソリンエンジン車)と十分な容量を確保。アンダーラゲッジが深く、キャンプなどの荷物も詰め込むことができます。2段階可変式のデッキボードも設置でき、荷物を上下に分けて収納することも可能です。

↑深さのあるラゲッジスペース。コンパクト車を得意とするダイハツのノウハウが感じられる

 

↑ハイブリッド車と4WD車はアンダーラゲッジのスペースがやや狭くなる

 

↑デッキボードを設置し、6:4分割式のリアシートを倒すとフラットなスペースを作れる

 

ダイハツが自社開発したハイブリッドユニット

従来のパワーユニットは996ccの3気筒ターボのみでしたが、新たに1196cc3気筒NAエンジンと、ハイブリッドが追加に。特に注目されるのがダイハツが自社開発したハイブリッドユニットで、エンジンを発電機として用い、駆動はモーターで行うシリーズ式とされています。トヨタからの提供ではなく、自社で新たにハイブリッドシステムを開発したのは、将来的に軽自動車への搭載も視野に入れているためでしょう。搭載される「e-SMART HYBRID」では1196ccのエンジンを搭載していますが、発電機として使用するシリーズ式なら軽自動車にも転用しやすそうです。

↑「e-SMART HYBRID」のパワーユニット。新型の1.2Lエンジンを発電機として搭載する

 

↑ハイブリッド用のバッテリーは後席のシート下に搭載する

 

↑こちらは新型の1196cc3気筒NAエンジン。最高出力は87PS/6000rpm

 

駆動はモーターで行うため、出だしから機敏な加速が味わえます。バッテリー電力のみでの走行距離は限られていて、アクセルを少し踏み込むとすぐにエンジンがかかりますが、システムでの燃費はWLTCモードで28km/Lなので、1.2Lエンジンの20.7km/L、1Lエンジンの17.4km/Lと比べるとかなり伸びています。

↑メーターの表示は3種類から選べ、ハイブリッドシステムの運転状態がわかる

 

モーターの最高出力は106PS、最大トルクは170Nmとシリーズの中では最もパワフル。一般道から高速道路まで走行しましたが、コンパクトな車体をしっかり加速させ、追い越し加速でも余裕のあるものでした。アクセルに対するレスポンスの良さは、モーターならではのもので俊敏な加速が味わえます。アクセルを戻すと、回生ブレーキが効く設定で、停止までは行かないものの、ある程度はワンペダルでの走行も可能。加減速の多い街中では便利なシステムです。

↑信号待ちからの加速はモーター駆動の真骨頂。交通の流れをリードできます

 

1.2Lエンジンも試乗しましたが、こちらも低速トルクに余裕があり、NAエンジンらしい吹き上がりも感じられて一般道から高速道路まで不満は感じません。ハンドリングはSUVらしいストロークの長さが感じられ、それでいて車体はコンパクトなので狭い街中での取り回しも良好。SUVに乗りたいけれども、普段は細い道を走る機会も多いという人には、またとない選択肢でしょう。

↑SUVらしい視点の高さでキビキビ走れる取り回しの良さが魅力

 

コンパクトカーを得意とするダイハツらしい完成度の高さで、独自のシェアを築いている「ロッキー」。ハイブリッドが選択肢に加わったことで、さらに魅力を増しています。ハイブリッドモデルになると、価格的に「ヤリス クロス」も視野に入ってくるところですが、5ナンバーサイズに収まるボディは大きなアドバンテージ。夫婦でクルマを共用し、SUVがほしいけれど普段は奥さんが運転する機会が多いというような人には、ありがたい選択肢となるでしょう。

 

SPEC【Premium G/Premium G HEV】●全長×全幅×全高:3995×1695×1620mm●車両重量:980kg(1070kg)●パワーユニット:水冷1.2L直3気筒12バルブDOHC横置●最高出力:64kW[87PS]/6000rpm(60kW[82PS]/5600rpm【モーター78kW[106PS]/4372〜6329rpm】)●最大トルク:113N・m[11.5kgf・m]/4500rpm(105N・m[10.7kgf・m]/3200〜5200rpm【モーター170N・m[17.3kgf・m]/0〜4372rpm】)●WLTCモード燃費:20.7km/L(28.0km/L)

※()内はPremium G HEVの数値

 

撮影/松川 忍

 

 

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