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2022/11/9 20:45

新型「エクストレイル」試乗。“技術の日産”をいかんなく発揮した傑出の走り!

日産がシリーズハイブリッドである「e-POWER」を世に登場させて6年。4代目となる新型「エクストレイル」に搭載された新エンジンは、その集大成とも言える素晴らしい実力を発揮してくれました。運転して楽しく、外部からの給電も不要で使い勝手は抜群! それは、久しぶりに「技術の日産」の実力を見せつけられたと言っていいでしょう。

 

【今回紹介するクルマ】

日産/エクストレイル

※試乗グレード:G e-4ORCE(4WD)

価格:319万8800円~504万6800円(税込)

↑日産「エクストレイル」G e-4ORCE(4WD)※オプション装着車

 

新開発「VCターボ」エンジンをe-POWERに初採用

実は、4代目の新型エクストレイルは、北米で「ローグ」として1年以上も前にデビューを果たしていました。パワーユニットは新型エクストレイルと同じ1.5リットル直列3気筒ガソリン「VCターボ」エンジンを搭載しましたが、ローグではこれをそのまま駆動用として使っています。それに対して日本はこのエンジンをe-POWERの発電専用としました。つまり、日本でのデビューが遅れたのは、このe-POWER化に時間がかかっていたというわけです。

 

このエンジンについて少し説明すると、その仕様は新開発のKR15DDT型1.5リッター3気筒直噴ターボエンジンで、ターボ機構にVC(Variable Compression)と呼ばれる可変圧縮比機構を採用したのが最大の特徴となっています。その仕組みは、ピストンとクランクシャフト間に特殊なリンク機構を備えることで圧縮比を変化させ、出力を回転数に応じて変化させるというものです。このエンジンは日産が長年かけて開発してきた、いわば「技術の日産」が誇る自慢のユニットであり、これを新型エクストレイルでは発電専用エンジンとして搭載したのです。

 

さらに驚くのは、 4WDである「e-4ORCE(イーフォース)」に組み合わせたモーターのスペックです。フロントには最高出力204PS(150kW)と最大トルク330N・m、リアには136PS(100kW)と195N・mを発生するモーターを搭載し、これで4輪を駆動します。このスペックからして、もはやハイブリッドの領域を超えていることがわかります。それどころか、フロントモーターだけでもバッテリーEVである日産「アリア」のフロントモーターと同じレベルなのです。これを聞いただけでも、このシステムがいかにスゴイかが伝わってきますよね。

 

ボディサイズは全長4660mm×全幅1840mm×全高1720mmで、ホイールベースは2705mmとなります。ライバルと比較すると、トヨタ「ハリアー」(全長4740mm)やマツダの「CX-60」(全長4740mm)よりは小ぶりで、「RAV4」(4600-4610mm)よりは少しだけ長い。SUVとしては使い勝手の上でもバランスがとれたサイズと言えるでしょう。また、シートは前後2列5名乗車が標準で、「X」グレードにのみ3列7名乗車が用意されました。特に3列シート仕様はライバル車にはないだけに、ミニバンからの乗り換えユーザーにもおすすめできるラインナップ。

↑G e-4ORCEは、前後とも235/55R19 101サイズのタイヤを履く

 

にわかに1.5リッター3気筒ハイブリッドエンジンとは信じられず

試乗したのはその中から2列シートの最上級グレード「G」の「e-4ORCE」でした。グレードと駆動方式を含め、もっとも高価なグレードとなります。

↑SUVらしく高い視認性とインターフェースの扱いやすさが印象的だった

 

走り出してまず驚くのがその静かさと振動の少なさです。さらにアクセルを踏み込んでもその静かさとスムーズさはほとんど変わりません。メーターではエンジンがONとなっていることを伝えているので、思わず「これって1.5リッター3気筒だったよね?」と同乗者に確認してしまったほどです。

 

しかもエンジンは駆動輪と直接つながっていないはずなのに、アクセルの踏み込みに合わせてリニアに車速が上がっていき、重さが1.8t近くあるボディをアッという間に高速域まで引っ張り上げてくれたのです。その加速感は、踏み込んだアクセルに応じてエンジンがどんどんモーターにパワーを与えていっている感じ。これはまさに従来のシリーズ型ハイブリッドとは次元が違うパフォーマンスを感じます。その完成度はもはや脱帽という他はない! そう実感したほどでした。

 

ここまでのフィーリングを実現したことについて開発担当者は、「欧州のアウトバーンでも十分なパワーが出せることを目標に、VCターボとの組み合わせを練り上げました」と話していました。つまり、速度制限がない高速域でも通用する実力を持たせて完成させたのが新型エクストレイルのe-POWERだったのです。

↑カーナビで目的地を設定しているときは、メーター内やヘッドアップディスプレイにも案内が表示される

 

加えてe-4ORCEの搭載に伴ってプラットフォームは刷新されており、電子制御ステアリングも気持ちよく曲がることを念頭に置いて設定しているということです。実際、峠道を走行しても狙ったコースをたどってくれるし、その結果、まるで運転がうまくなったような感覚にとらわれました。乗り心地もフラットで、19インチのタイヤを組み合わせながら路面の凹凸にもしっかりと対応してくれていました。従来のエクストレイルでは“タフギア感”をアピールポイントとしていましたが、新型ではそこに上質感を加えたのです。まさに走りにおいては傑作の領域にあると断言して間違いないでしょう。

↑ボディカラーは2トーンカラー含め、12色から選択可能

 

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