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2023/1/7 21:15

2023年の鉄道はどうなる? 惜別の路線と車両、話題の新線・新車ほか11大トピックをお届け!

〜〜2023年に予定される鉄道のさまざまな出来事〜〜

 

神奈川県と大阪での新しい路線や駅の開業や大きな災害で傷ついた路線の復旧、おなじみの車両の引退などが予定されている2023(令和5)年。1月から予定されている鉄道をめぐる出来事を追っていきたいと思う。

 

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【その1】48年間走った東急の名物車両の引退(1月予定)

年始早々、首都圏でおなじみの車両が消えていく予定だ。

 

◇東急電鉄8500系電車

東急電鉄の8500系が1月で運行終了の予定とされている。8500系の特徴でもある甲高いモーター音も1月で聞き納めになりそうだ。

 

東急電鉄の8500系は田園都市線をメインに、東京メトロ半蔵門線、東武スカイツリーラインを長年走り続けてきた。登場したのは1975(昭和50)年と古く、1991(平成3)年までに東急車両製造によって400両と大量の車両が生み出された。

 

製造当初のステンレス車体は米バッド社が提供する技術を元に造られていたが、1981(昭和56)年から東急車両製造が独自に開発したステンレス車体を使い軽量化が図られた。その後にステンレス車体を持つ電車が多く新造されたが、同社の技術が活かされた車両が多い。8500系が鉄道車両史で果たした役割は大きいのである。

↑最後の一編成となった8500系37編成。おなじみだった赤帯でなく、青帯が37編成の目印となっていた

 

最後の一編成となったのは8500系37編成で長年「青帯Bunkamura号」と親しまれてきた。最後の時が近づきつつある現在は「ありがとうハチゴー」のヘッドマークを付けて走っている。

 

◇長野電鉄3500系電車

東急電鉄8500系は本家、東急電鉄でこそ引退となるが、実は国内の多くの鉄道会社に譲渡され、今も主力として活躍し続けている。中でも多くが活躍しているのが長野電鉄だ。

 

長野電鉄では元東急8500系が主力として活躍する一方で、1月19日で消えていく車両がある。それが長野電鉄3500系だ。この車両も元は営団3000系で、日比谷線を走り続けた首都圏で長く活躍した地下鉄電車である。営団3000系の登場は1961(昭和36)年春のこと。当時のセミステンレスの車体らしく、コルゲート板と呼ばれる波板が特徴だった。

↑長野電鉄の最後の3500系となったN8編成。営団地下鉄では1963(昭和38)年度に製造された電車だった

 

1994(平成6)年に営団地下鉄では引退となったが、1992(平成4)年から長野電鉄へ徐々に譲渡が始まりすでに30年。営団地下鉄当時を加えれば半世紀以上運行していたが、徐々に引退していき、ついに、最後のN8編成も運行終了の予定となった。60歳の〝ご長寿〟電車には本当にお疲れさまでしたと声をかけたい。

 

【その2】長年親しまれた特急形車両が消える(3月17日)

2023(令和5)年3月18日、JRグループや、多くの大手私鉄でダイヤ改正が行われる。その前日に運行終了となり、引退となる車両形式が複数ある。

 

◇JR北海道 キハ183系特急形気動車

キハ183系特急形気動車は、国鉄時代の1980(昭和55)年に導入された。北海道用に開発された車両で、国鉄時代に製造された車両に加えてJR北海道に継承以降も新たに増産された。道内の特急列車に長らく使われ続けてきたが、初期のスラントノーズと呼ばれた高運転台の車両はすでに引退となり、後期タイプの車両が残され、特急「オホーツク」と「大雪」として走ってきた。

↑札幌駅と網走駅を結んできたキハ183系運行の特急「オホーツク」。3月18日からはキハ283系に置換えられる

 

3月18日からは、キハ283系特急形気動車に置換えの予定となっている。ちなみにキハ283系は特急「おおぞら」などの列車に使われてきたが、すでに「おおぞら」の運用からは離脱、転用され「オホーツク」「大雪」での運用となる。残るキハ183系は、前後に展望席がある1000番台のみで、こちらは現在、JR九州の特急「あそぼーい!」として活躍している。

 

◇JR東日本651系特急形電車

JR東日本の651系は、常磐線用に1989(平成元)年春に導入された交直流特急形電車で、主に特急「スーパーひたち」として運用された。デビュー当時は「タキシードボディのすごいヤツ」というキャッチコピーがつけられ、高運転台の車両ながら国鉄形特急電車とは異なるユニークな姿で目立った。

↑菜の花が咲くなか上野駅に向けて走る651系特急「スワローあかぎ」。この春はこうした情景を見ることができるのだろうか

 

後継のE657系の導入で、常磐線から高崎線などを走る特急「草津」「あかぎ」「スワローあかぎ」に転用され走り続けてきたが、3月17日が651系の最終運行日になる予定で、翌日からはE257系に置換えられる。同時に「スワローあかぎ」という特急名は消滅し、「草津・四万」「あかぎ」という特急名で運行されることになる。

 

【その3】新横浜線開業で新横浜駅がより身近に(3月18日)

3月18日には、JR全社とともに大手私鉄などの鉄道会社も一斉にダイヤ改正が行われる。それに合わせて東西の新線が開業する。

 

まず、相鉄・東急新横浜線から見ていこう。3月18日に運行が始まるのは東急東横線の日吉駅と羽沢横浜国大駅間の営業距離10kmの区間だ。内訳は相鉄新横浜線の羽沢横浜国大駅〜新横浜駅間(営業キロ4.2km)と、東急新横浜線の新横浜駅〜日吉駅間(営業キロ5.8km)で、新横浜駅を境にして相模鉄道、東急電鉄それぞれの電車の相互乗り入れが行われることになる。

↑すでに新横浜駅への習熟運転が始められている。報道公開日に乗入れて来たのは東急5050系の「Shibuya Hikarie号」だった

 

↑報道陣に公開された相鉄・東急新横浜線の新横浜駅。東海道新幹線・新横浜駅の接続駅として利用する人も多くなりそうだ

 

東京メトロ南北線、都営三田線の両路線の電車も相鉄・東急新横浜線へ相互乗入れ予定で、中でも都営三田線の乗入れ本数が多くなることが発表されている。来春からは都営三田線、相鉄線内で両線の電車と出会う機会も増えそうだ。

 

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【その4】大阪駅(地下ホーム)開業でより便利に(3月18日)

現在、近畿圏を走る特急「はるか」と特急「くろしお」は、大阪駅に停まらず、新大阪駅と大阪環状線の間を行き来して走る。やや不便を強いられてきたが、3月18日に大阪駅に停まるようになり、環境が大きく変わることになる。

↑大阪駅(地下ホーム)は現在の大阪駅とは最短50mの近さ。駅前広場や連絡デッキも2年後に完成予定 2022(令和4)年2月22日撮影

 

特急「はるか」「くろしお」は長い間、大阪駅の西側にある梅田貨物線の路線を走ってきた。この梅田貨物線を東側に移設し、「うめきた」の地下に通して地下ホームを設ける工事が春に完了し、大阪駅(地下ホーム)としてオープンする。

 

新駅開業後には特急2列車だけでなく、これまで新大阪駅〜久宝寺駅(きゅうほうじえき)間で運転されてきた「おおさか東線」の電車が大阪駅(地下ホーム)に乗入れ予定だ。これにより、大阪圏の電車利用がかなり変わることになる。

 

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↑梅田貨物線を走る特急「パンダくろしお」。写真の線路の先に地下新線と大阪駅(地下ホーム)が造られ同特急も新駅停車となる

 

【その5】留萌本線一部区間が廃線に(4月1日)

昨年は赤字ローカル線の廃線論議が高まりをみせた。年々路線の維持が全国規模で厳しくなっていくなかで、今年はまず、北海道内の複数のローカル線の廃止が予定、あるいは予想されている。

 

1本は留萌本線(るもいほんせん)で、石狩沼田駅〜留萌駅間35.7kmが4月1日に廃止となる。留萌本線は2016(平成28)年12月5日に留萌駅〜増毛駅(ましけえき)間16.7kmが廃止されており、徐々に路線自体が短くなっている。残る深川駅〜石狩沼田駅間14.4kmも2026(令和8)年には廃止の予定とされる。留萌本線自体も3年後には全線が廃線となるわけだ。

↑1910(明治43)年に開業した留萌駅。この春に113年にわたる歴史を閉じることになる

 

なお、石狩沼田駅〜留萌駅間の営業終了日は当初の予定が9月だったが、繰り上がり3月31日となった。国土交通省北海道運輸局が急転直下昨年12月1日に発表したもので、「公衆の利便を阻害するおそれがないと認める」ことが廃止予定を早めた理由だった。国土交通省およびJR北海道としては、廃止が近づいてくると起こりがちなトラブルを少しでも避けたいという思いが見え隠れする。消えていく路線を訪れて乗りたい、見たい気持ちも分からないでもないが、トラブルを避けるためにも最後は静かに見送りたいと思う。

 

北海道の鉄道は開拓、および石炭の輸送のために敷設された路線が多い。そうした使命を終えたこともあり、幹線を除いて消えていく路線が多くなっている。さらに最近は自然災害で路線が寸断され、そのまま廃線となるところも出てきている。

 

根室本線の富良野駅〜新得駅(しんとくえき)間81.7kmは、2016(平成28)年8月31日に同地を襲った台風10号による降雨災害で、東鹿越駅(ひがししかごええき)〜新得駅間が不通となり代行バスが運転されてきた。昨年初冬には、富良野駅〜新得駅間のバス転換を地元自治体が容認し、あとは廃止日をいつにするか、決定を待つのみとなっている。いつ廃止になるのか、気になるところだ。

 

↑根室本線の下金山駅(しもかなやまえき)付近を走る下り列車。ルピナスの花に囲まれた走行風景も過去のものとなりそうだ

 

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【その6】人気の観光列車「SL銀河」が運行終了(春の予定)

JR東日本の人気観光列車「SL銀河」は、2014(平成26)年4月12日から岩手県の釜石線の花巻駅〜釜石駅間を土日中心に走り続けてきた。牽引機はC58形蒸気機関車239号機で、客車はキハ141系気動車という組み合わせで、機関車と気動車の協調運転という形で運転されてきた。

 

キハ141系気動車は元JR北海道の車両で、50系客車を気動車に改造した珍しい車両だ。余剰となっていたJR北海道の気動車を購入し、協調運転することで、蒸気機関車の負担をなるべく減らすべく投入された車両だった。

 

最終運転日は明確にされておらず、この春までの運転とされているが、運行終了の理由としてあげられたのは客車の老朽化だった。本家のJR北海道でも新型電車の導入により、室蘭本線などを走るキハ141系の引退が予定されている。キハ141系という形式自体が消滅ということになりそうだ。

↑釜石線の名所ともされる宮守川橋梁(みやもりがわきょうりょう)を渡る「SL銀河」。こうした光景も春かぎりで見納めとなりそうだ

 

【その7】東武特急スペーシアの新型車両が登場!(7月15日)

今年も鉄道各社から新型車両が登場の予定だ。そんな新型車両の中で最も注目されているのが、東武鉄道の新型特急電車だ。

 

「SPACIA X(スペーシア X)」と名付けられた特急形電車で、発表されたイメージパースを見てもその斬新なデザインに驚かされる。特に先頭1号車と6号車が目をひく。運転席周りは丸みを帯びたスタイルで、下部の排障器(スカート)部分は100系スペーシアの形をよりアップデートさせた。さらに窓枠は江戸文化として伝えられてきた組子や竹編み細工を現代流にアレンジしたという。

↑「スペーシア X」の前面照明は39のドットで構成されたLEDライト、側面窓は沿線・鹿沼の伝統工芸・組子をイメージ 写真提供:東武鉄道

 

東武鉄道の特急といえば100系スペーシア、500系リバティのイメージが強い。そこに7月15日に新たな特急電車が加わり、浅草駅〜東武日光駅・鬼怒川温泉駅を走るようになる。ちなみに100系スペーシアが登場したのが1990(平成2)年6月1日のこと。すでに30年以上の年月がたっている。「スペーシア X」の導入が進むにつれて、100系の置換えが進むのだろう。東武特急にも新旧交代の時期が近づいている。

↑先頭車に設けられる「コクピットラウンジ」。ドリンクやスナックを楽しめるスペースとされる 写真提供:東武鉄道

 

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【その8】熊本地震で傷ついた南阿蘇鉄道が全線復旧(夏の予定)

毎年のように列島を襲う自然災害により鉄道路線が傷き、豪雨災害とともに地震による路線の不通も起こる。

 

熊本県の立野駅(たてのえき)〜高森駅(たかもりえき)間17.7kmを走る南阿蘇鉄道高森線は雄大な阿蘇カルデラを走る風光明媚な路線だった。2016(平成28)年4月16日に起きた熊本地震の本震により多大な被害を受け、全線で運休になった。3か月後の7月31日に一部区間の中松駅〜高森駅間で運行再開は果たしたものの、立野駅〜中松駅間が長期にわたり不通となった。

↑不通となった南阿蘇鉄道の路線。右上は被害が大きかった阿蘇下田城ふれあい温泉駅の駅舎 2017(平成29)年5月29日撮影

 

立野駅で接続するJR豊肥本線(ほうひほんせん)は2020(令和2)年8月8日に全線が運転再開したが、南阿蘇鉄道の路線は橋梁などの被害がより深刻で、復旧工事が長期化していた。難工事もようやく目処がつき、夏ごろに全線が復旧予定だ。不通だった一部区間ではすでに確認運転も始まっており、この夏、7年ぶりに南阿蘇の鉄道旅が楽しめることになりそうだ。

↑立野駅の近くにかかる立野橋梁を名物トロッコ列車が渡る。同橋梁も大きな被害をうけた 2015(平成27)年7月23日撮影

 

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【その9】新しいLRT「宇都宮ライトレール」が開業(8月の予定)

8月には新たなLRT((ライト・レール・トランジット/次世代型路面電車システム))の路線が栃木県で開業の予定となっている。運行は宇都宮ライトレール株式会社で、地元自治体や民間企業が出資する第三セクター方式で運営される。開業する路線は、宇都宮市の宇都宮駅東口停留場と芳賀町(はがまち)の芳賀・高根沢工業団地停留場間の14.6kmで、JR宇都宮駅と、宇都宮市東部および隣接する芳賀町にある工業団地などを結ぶ路線となる。

 

全国の路面電車の路線の中で、既存の在来線を活かしてLRT路線とする例はあったものの、すべての区間が新しく建設されるのは初めてのこと。マイカーに頼りがちな地方都市の、新たな移動手段として期待されている。

↑JR宇都宮駅(左側)に隣接して設けられる宇都宮駅東口停留場。すでに線路も敷き終わっている 2022(令和4)年12月25日撮影

 

すでに停留場づくりやレール敷設は終わっていて、試運転も徐々に進められている。昨年11月19日には宇都宮駅東口で試運転電車が脱線するトラブルもあったが、運転開始までには不具合が修正されるだろう。

 

宇都宮ライトレールは将来、宇都宮駅の西側へ延長され、JR宇都宮駅と東武宇都宮駅を結ぶ計画もある。路線バスの利用を余儀なくされてきた市内交通だけに、延長されればより便利になり、利用者も増えていきそうだ。新しいLRT路線がどのように活かされていくか注目したい。

 

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↑平石車両基地に搬入された新車HU300形。オレンジと黒というおしゃれな車両が宇都宮市内を走ることになる

 

【その10】小田急の看板車両「VSE」が消えていく(秋ごろの予定)

小田急電鉄のVSE(50000形)といえば、小田急のフラッグシップモデルとされ、先頭に展望席が付く人気のロマンスカー車両だ。登場は2005(平成17)年3月19日のことで、まだ18年目と、車歴は比較的浅い。鉄道車両は約30年のサイクルを目処に置換えられることが多いが、昨年の3月11日に定期運行が終了となり、その後に臨時の団体列車などで走ってきたが、いよいよ秋には引退となるとされている。

↑独特なフォルムで走り続けてきたVSE(50000形)。車体を微妙に傾けカーブする姿も見納めに 2022(令和4)年11月12日撮影

 

早めの引退となった理由としては、車体に使われたダブルスキン構造の車体の補修や修正が難しいことと、車両と車両の間に台車をはく連接構造や、車体傾斜制御など取り入れた構造の維持、更新が難しいことなどがあったとされる。

 

同じ前面展望席を持つGSE(70000形)では連接構造が採用されなかった。小田急電鉄ではロマンスカーに連接構造を採用した車両が使われてきたが、VSE(50000形)が連接構造を持つ最後のロマンスカーとなったわけである。将来VSE(50000形)は海老名駅前にある「ロマンスカーミュージアム」内で、歴代ロマンスカーと並んで展示保存されることになりそうだ。

 

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【その11】木次線名物「奥出雲おろち号」が運転終了(11月下旬?)

「奥出雲おろち号」は木次線(きすきせん)の名物列車である。DE10形ディーゼル機関車と12系客車の組み合わせで、春から秋まで週末や観光シーズンを中心に走り続けてきた。

↑スイッチバック駅・出雲坂根駅を発車する「奥出雲おろち号」。終点の備後落合駅まで行く数少ない列車としても活かされてきた

 

木次線といえば、出雲坂根駅の3段スイッチバックと、さらに三井野原駅(みいのはらえき)まで至る風景が秀逸で、「奥出雲おろち号」は木次駅〜備後落合駅(びんごおちあいえき)間の片道が下り約2時間30分、上り3時間と長丁場にもかかわらず人気となっていた列車だった。

 

この名物列車も車両の老朽化で2023年度いっぱいでの運行終了が発表されている。年度いっぱいと言っても、木次線は雪深い路線ということもあり、来年3月中の運行はできないと思われる。年内11月下旬までの運行で見納めとなりそうだ。ちなみに、来年春以降には観光列車の快速「あめつち」が木次線の出雲横田駅まで乗入れる予定だ。しかし、終点の備後落合駅までの運転予定はないそうで残念である。

 

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【その12】日本で唯一のスカイレールが消えていく(年末の予定)

最後のトピックも廃線の話題となる。広島市の安芸区(あきく)に「スカイレール」という珍しい乗り物がある。

↑広島市安芸区内を走るスカイレール。車両はゴンドラリフトに近い(右下)。モノレールに近い構造で鉄道の仲間とされている

 

スカイレールが走るのは、山陽本線瀬野駅最寄りの、みどり口駅とみどり中央駅間1.3kmの区間で、路線は「スカイレールサービス広島短距離交通瀬野線」と名付けられている。瀬野駅と駅の北側にある丘陵地の住宅団地を結ぶために1998(平成10)年8月28日に造られた。

 

スカイレールは懸垂式モノレールの構造に近く、車両はロープウェイやゴンドラリフトの乗車する四角い部分(客車と呼ぶ)に似たものが使われている。形が近いロープウエイやゴンドラリフトは、急傾斜の登坂に強いものの、強風が吹くと運行できない弱点があった。その弱点を克服したのがスカイレールだった。最急勾配は263パーミル(1000メートルの距離で263メートル登る)と、ケーブルカーを除き国内で最も険しい斜面を上り下りする鉄道施設でもあった。

 

日本初の乗り物として開発されたスカイレールだったが、導入を追随する企業はなく、同路線のみとなってしまった。維持費や採算面から継続することが難しいと判断され、2023年末での廃止が予定されている。代わって電気バスが導入される予定だ。革新的な技術だったが一般化しなかったわけである。

 

これまで見てきたように、2023年も鉄道に関わるニュースは盛りだくさんとなりそうだ。一方で予測がつかないのが自然災害である。今年こそ穏やかな一年になることを祈りたい。