ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、現代ミニバンの王者とも言えるヴェルファイアを紹介。兄弟車であるアルファードとの違いとは?
※こちらは「GetNavi」 2024年2.5月号に掲載された記事を再編集したものです
【PROFILE】
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
【今月のGODカー】
TOYOTA
VELLFIRE
SPEC【Zプレミア・ターボガソリン車】●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm●車両重量:2180kg●パワーユニット:2393cc直列4気筒+ターボ●最高出力:279PS(205kW)/6000rpm●最大トルク:430Nm/1700〜3600rpm●WLTCモード燃費:10.3km/L
655万円〜892万円
アジアを代表する高級車
安ド「殿! 今回は殿も高く評価されている、ヴェルファイアの2.4Lターボエンジン搭載モデルです!」
永福「うむ。ミニバンの王者であるな」
安ド「ミニバンの王者と言えば、どちらかというと兄弟車のアルファードのほうという気もしますが」
永福「たしかにヴェルファイアの先代モデルは、販売台数でアルファードに大差をつけられ、消滅すら噂された」
安ド「でしたよね」
永福「しかし新型は、ヴェルファイアが王者の名にふさわしい」
安ド「それはデザイン的に、ということでしょうか」
永福「違う」
安ド「新型アルファードのグリルは魚の鱗みたいでギョッとするので、僕はこのヴェルファイアのほうが好きなんですが……」
永福「グリルのデザインは、魚の鱗のようなアルファードのほうが断然迫力があり、全体のフォルムにもマッチしている。それに比べるとヴェルファイアの横桟グリルは凡庸だ。しかしアルファードには、2.4Lターボエンジン搭載モデルがない。このエンジンはヴェルファイア専用だ」
安ド「つまり、エンジンがミニバンの王者なんですね!」
永福「エンジンもそうだが、スポーティで乗り心地の良い専用の足まわりも、王者にふさわしい」
安ド「たしかに、車両重量も重心の高さもそれほど気にせず、スイスイ走れました」
永福「先代と比べたら、ボディ剛性やサスペンションのセッティング、エンジンレスポンス、すべてにおいて段違いだ」
安ド「そんなにですか!」
永福「そんなにだ。先代アルファード/ヴェルファイアは、一般ユーザーから芸能人や経営者などのセレブにまで大人気だったが、ボディ剛性が足りなかったから、乗り心地がドタンバタンした」
安ド「でも、みんなすごく快適だって言ってましたけど」
永福「それは本物の贅沢を知らないからだ」
安ド「そうなんですか!」
永福「あれが快適というなら観光バスで良い」
安ド「まあ、観光バスも快適ですけど……」
永福「観光バスが飛ばすと、乗客は気持ち悪くなるだろう?」
安ド「アッ、そうか!」
永福「新型ヴェルファイアは、飛ばしても快適なのだ」
安ド「そういうことなんですね!」
永福「真の高級車はこうではくてはいけない」
安ド「じゃ、新型ヴェルファイアは、ミニバンの王者と共に、真の高級車になったんですね!」
永福「アジアを代表する高級車と言えるな」
安ド「日本じゃなくアジア代表なんですか?」
永福「アルファード/ヴェルファイアは、日本国内だけでなく、アジア全域で大人気なのだ」
【GOD PARTS 神】フロントグリル
従来からの進化型でありながら大人っぽい雰囲気を獲得
アルファードとの一番の違いはグリルのデザインです。アルファードは縦横両方向に区切られていて刺激的な面持ち、一方ヴェルファイアは従来の高級ミニバンの集大成的な横仕切り&メッキの超大型グリルになっています。この抑揚のある全体的なボディラインには、アルファードのグリルのほうが合っている気がします。
【GOD PARTS 1】パワーサイドサンシェード
高級車らしさを感じさせる所作
下から上へあげるタイプのサンシェードはよくありますが、こちらはウインドウ上側から下降してくるタイプです。当然電動で、途中で止めることも可能。「障子を閉じるときのマナーを参考にした」ということで、ゆっくり静かに閉まります。
【GOD PARTS 2】スーパーロングオーバーヘッドコンソール
すべてのスイッチを天井に集約
照明や空調のスイッチ、収納などがすべて天井センター部分に集約されていて、ムーンルーフは左右独立式になっています。白いラインのところはカラーイルミネーションLEDで、車内を好きなカラーに彩ることができます。
【GOD PARTS 3】リアバンパー
下方向にグッと力が入っているイメージ
リアバンパーの左右および下部がメッキパーツで縁取られていて、非常に踏ん張り感のあるデザインにまとめられています。アルファードにはこれがなく、のっぺりした面で構成されています。
【GOD PARTS 4】パワーユニット
燃費の良さを取るか走りの良さを取るか
2.5lハイブリッドと2.4lターボエンジンの2種類が用意されています。カタログ燃費値が約7㎞/ℓも違いますが、このクルマに乗るような人はあまり燃費を気にしないような気もします。
【GOD PARTS 5】パワーバックドアスイッチ
ボディ側面に配置した優しさ
車両のリアランプ下側面にあるスイッチで、バックドアを電動開閉できます。操作の際に車両横に立つことで、開ける際に後方に下がったりする必要がなくなります。先代にはなかった便利な装備です。
【GOD PARTS 6】リアスポイラー
兄弟で共通した帽子のつば
リアウインドウには帽子のつばのようにかぶさる形でリアスポイラーが付けられていて、左右両端はまるで鬼の角のようにちょこんと盛り上がっています。ちなみにココのデザインはアルファードと共通です。
【GOD PARTS 7】エグゼクティブパワーシート
上には上があるプレミアムシート
「Zプレミア」グレードでは、肌触りのよいプレミアムナッパーレザーを使用し、最大530㎜も前後スライドできる豪華シートが採用されています。しかし「エグゼクティブラウンジ」グレードのシートはもっと豪華です。
【GOD PARTS 8】ワンタッチシーソースイッチ
前後の矢印があって直感的に使える
トヨタ初搭載というシーソースイッチが、リアのスライドドアの取っ手に付いています。前後方向を示すボタンを押すことで半分開いて止めたり、そこから開いたり、または閉じたりと、感覚的に操作できるようになります。
【GOD PARTS 9】ユニバーサルステップ
トヨタのおもてなし精神を体現
スライドドアを開けると、自動でステップがせり出してきます。自然と一歩目の足の高さが低くなるので、お年寄りや子どもでも乗り降りしやすくなります。このあたりもトヨタのおもてなしの精神が感じられます。
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