コーヒーといえば、どこの国を思い浮かべますか? 米国農務省の統計結果によると、世界で最もコーヒーの生産量が多いのはブラジル。2位がベトナム、3位がコロンビアです。ただ、日本ではエメラルドマウンテンのCMが多いので、コロンビアがコーヒーで有名な国のイメージもありますよね。
筆者は、その世界第3位のコーヒー生産国であるコロンビアに住んでいます。コロンビアではコーヒー文化が日本と大違い! おそらく、コーヒー好きなら本場のコーヒー事情が気になるはず。そこで、コロンビアにおけるコーヒーの存在は日本と比べて、どう異なるのかをご紹介したいと思います。
コロンビアに日本のような缶コーヒーはほとんどない!
まず、日本でコーヒーといえば、自動販売機で購入する缶コーヒーがポピュラーですよね。しかし、コロンビアの街中では自動販売機を見かけることはほとんどありません。
また、日本なら都市部に行けば、スターバックス、タリーズコーヒー、コメダ珈琲などのコーヒーチェーン店がたくさんありますが、コロンビアは都市部でも一部のエリアを除いてカフェはあまり見かけません。
それでは、コロンビア人は一体どこでどんなコーヒーを飲んでいると思いますか?
答えは、パン屋や売店(日本の駄菓子屋のようなお店)。大体50mに一店舗はパン屋や売店があるので、コロンビアではそういったお店でコーヒーを買って飲むのが当たり前の文化となっているのです!
そして、そのパン屋や売店には必ずといっていいほど、コーヒーマシーンが置いてあります。蛇口が2個ついていて、片方からホットコーヒー、片方からホットミルクが出るようになっているマシーンです。
パン屋で店員さんに「Tinto(ブラックコーヒー)ください」というと、片方だけ蛇口をひねってブラックコーヒーを、「Con leche(ミルクが入ったコーヒー)ください」というと、両方の蛇口をひねってミルク入りのコーヒーを渡してくれます。
日本人の感覚だと、手軽なコーヒーはむしろ自動販売機やチェーン店。最近コンビニでもコーヒーは買えるようになりましたが、パン屋や個人経営の小さいお店で自家製コーヒーを買うなんて滅多にありません。
しかし、筆者のいきつけのお店で店員さんに質問してみたところ、大きなコーヒーマシーンでも1日に5回以上はコーヒーを淹れているそうで、大勢のコロンビア人がコーヒーを飲んでいると教えていただきました。
もちろん、コーヒーを外では飲まずに自宅で淹れて飲むコロンビア人も多いです。スーパーに行くと、コロンビアの国内ブランドのコーヒー豆がズラッと並んでいます。
ただ、国外のメーカーはあまりコーヒー豆の市場には参入できていない状況。ここは、コーヒー大国のコロンビアならではの光景でしょう。
コロンビアの高級住宅街でオシャレなカフェは増えている
とはいえコーヒーは小さいお店だけのもの、というわけでもありません。あまり見かけないだけで、ちゃんとコロンビアにもカフェは存在します。
日本や欧米のように街中にたくさんある状態ではなく、高級住宅街やビジネス街を中心に店舗が増えつつある状況です。そのため、最近コロンビアでもコーヒーをオシャレなカフェで飲むという文化が広がりつつあります。
コーヒー豆は輸出しているのに、カフェ文化を輸入しているなんて、面白いと思いませんか? これは、近年のコロンビアの順調な経済発展により、金銭的な余裕のある人が多く出現したのが理由でしょう。
ちなみにスターバックスは、2014年にコロンビアの首都ボゴタに出店。コロンビアのコーヒー小売大手プロカフェコル社はフアン・バルデスというコーヒーチェーンを2002年頃からコロンビア国内ではじめています。
世界有数のコーヒー産地コロンビアではコーヒーをパン屋や売店で気軽に飲まれているものの、経済発展に伴いカフェが多く出現し始めているというのは、ちょっと意外な事実ではないでしょうか。今後コロンビアのコーヒーを飲む際は、ぜひこういった事情を思い出してみてください。