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2018/12/15 18:30

オシッコからレンガを作る!? 持続可能な社会に向けた「尿」の錬金術

尿からレンガを作る――。海外ではそんなバイオレンガの研究が行われていますが、今年10月、南アフリカの研究チームがヒトの尿を原料として使用したレンガ開発に世界で初めて成功しました。身体の老廃物を排出する尿。そこからどうやってレンガを作るのか? 臭いはしないのか? 持続可能な社会づくりに貢献するこの研究成果についてご紹介しましょう。

 

尿素×ウレアーゼ+砂=レンガ

© University of Cape Town

 

人間の尿を原料にしたレンガ作りを行ったのは、ケープタウン大学の研究チーム。合成尿を使った研究は数年前からアメリカで行われていたのですが、ついに南アフリカのチームはヒト(男性)の本物の尿を使い、バイオレンガ制作に望みました。

 

このバイオレンガ作りの鍵となるのが、「ウレアーゼ」という酵素。ウレアーゼは、尿に含まれる尿素と反応して砂と結合すると、セメントのような化合物を生成します。その性質を利用して、ウレアーゼを産生するバクテリアと砂を型にいれておくと、レンガのように固まってくるのだそう。しっかり乾燥させると、見た目は白っぽい石灰岩のようで、とても尿からできているとは思えないレンガが完成します。

 

尿から作ったバイオレンガの特徴

© University of Cape Town

 

従来のレンガは、1400度という高温での釜焼きの工程が必要ですが、このバイオレンガなら常温で固めることが可能。そのため、余計な温室ガスの排出も抑えられて環境に優しいという特徴があります。

 

強度については、現在一般的に使用されているレンガと同様とのこと。バクテリアの反応時間を長くすればレンガもより固くなるため、使用目的にあわせて強度の調整ができます。さらに、このバイオレンガの生成工程で、副産物として化学肥料に利用できる窒素とカリウムもできます。そして、気になる臭いについては、制作工程で乾燥させれば消えていくのだそうです。

様々な環境問題が露呈している現代。限りある地球資源を大切に使うために、排出物でしかなかったヒトの尿を資源に変える開発が世界で進められています。環境にやさしいレンガでできた建築物が街中にお目見えする日も、そう遠くないかもしれません。今回の研究チームのスーパーバイザーは「化学的に尿は金の液体である」と述べていますが、本当にそうみたいですね。