人には言えない秘密は小さいものから大きいものまで、誰もが1つや2つ抱えているもの。そんな秘密のうち、「恥ずかしいと感じる秘密」と「罪の意識を感じる秘密」では、どちらのほうが私たちを悩ますものなのでしょうか?
そんな調査を行ったのが、米コロンビア大学などの学者たち。1000人以上に行われた実験が明かす、人間の心理面での興味深い動きについてご紹介しましょう。
「恥ずかしい秘密」は繰り返し考えてしまう傾向
2月にアメリカ心理学会が発表した調査では、自分が抱えている秘密をどのくらい恥ずかしいと感じているか、被験者に対して「自分は価値がないと感じる」「私はちっぽけと感じる」などの質問で調査。同様に、「良心の呵責を感じる」「自分がやったことを後悔している」などの質問で、罪の意識がどのくらいあるのかも調べました。さらに、1か月間にわたり毎日、その秘密のことを考えたり隠したりした回数を聞き取りました。
その結果、自分の秘密について恥ずかしいと思っている人は、罪の意識を持っている人や、恥ずかしいとも罪とも感じていない人と比べても、その秘密のことを気にして何度も考える傾向にあることが判明したんです。
研究者は、心理的に大きな傷となる経験や外見に伴う悲しい経験によって、「恥ずかしい」感情が増幅されていると指摘。また他人を傷つけたり、嘘をついたり、人の信頼を裏切ったりすることが、罪の意識を増加させていると言います。
この調査から分かったのは、もし自分で自分の秘密を恥ずかしいと感じているなら、一日に何度もそのことを繰り返し考えてしまい、その結果、心身の健康に少なからず影響を与えてしまうということです。
秘密を負担に感じたとき
では、誰にも言えない秘密を抱えて何度もそのことを考えてしまい、心理的な負担を感じる場合はどうしたらいいでしょうか?
この調査を行った研究者は、「秘密に対して自分に辛く当たるべきではない。もし秘密を負担に感じるのなら、一人で抱え込まず、自分の行動と向き合って自分を変えればいい」と、論文で述べています。罪の意識は「今後自分はどうすればいいか」という前向きな意識につながるため、恥ずかしいと感じている秘密は、自責の念などを感じる方向へ考え方をシフトすることがおすすめ。そうすることで、秘密と上手に付き合いながら前に進むことができると研究者は説明しています。
ちなみに、秘密を隠そうとする行為は、「恥ずかしい」「罪を感じる」といった感情とは別で、秘密を知られたくない人物と頻繁に会話をすることによってより引き起こされるものだそう。
自分が抱えている秘密について自分がどう感じているのか考えてみると、その秘密とどう付き合っていくべきかが見えてくるかもしれませんね。