ワールド
2019/6/11 21:00

も〜っと長かった! 人類とテクノロジーの歴史に新発見

これまでの研究では、人類が石をヤリやナイフなどの道具として使っていたのは、255万年~258万年前のことだとされていました。しかし最近、エチオピアの古代遺跡で石器が発見され、258万年より前から人類は石を利用して道具を作っていたことが分かったのです。

 

【ムー恐竜壁画の謎】アルゼンチノサウルスと人類が共存していた!?

 

ヒントは地磁気逆転

このエチオピアの遺跡(2013年にヒト属の最古の化石が見つかった所)辺りで研究を行っていたのは、ジョージワシントン大学とマックス・プランク進化人類学研究所の考古学者や人類学者が率いるグループ。この遺跡の近くで人工遺物が最初に発見されたとき、学者たちは、それがどのような堆積物から出て来たのか分からなかったそうです。しかし、泥岩から掘り起こしてみると、それが2つの石器だったことが判明したのです。

 

多数の石のかけらや動物の骨がある土の層を手で丁寧に掘り起こしていくのに、数年もの時間がかかったそうですが、堆積物を顕微鏡で確認したところ、この遺跡は水源の近くにあり、人類が石器をその水源の近くで落とし、そのまま長いこと埋没していたとのこと。

 

この堆積物がいつの時代のものかを調べるため、プロジェクトに参加している地質学者たちは地質の分析を行いました。地球の歴史を振り返ると、N極とS極が逆転する「地磁気の逆転」がこれまでに複数回起こっており、258万年前にも起こっていることがわかっています。そして、この地層では地磁気の向きは従来通りだったことから、この遺跡は258万年よりもさらに古いものだと判明したのです。

 

つまり、今回の発見は、従来考えられていた時期よりもはるかに前から、人類が様々な方法で様々なモノを作っていたことを示唆しているのです。

 

約260万年前に何が起きたのか?

最近、ケニアで発見された遺跡によって、330万年前に人類がハンマーのような石の道具を使っていたことも明らかとなっています。ただし、このときの石の使い方は、チンパンジーやサルが木の実や貝を石で打ちつけるような方法だったと見られています。そのため、人類が大きな石から尖がった石器を作り出すようになるために、何かしらの変化が約260万年前に起きたはずだと考えられるわけですね。

 

今回の遺跡発見に携わった人類学者は、石器が人類の行動の進化にどのようにつながっていったかさらに研究を深めていきたいと考えています。