野菜中心の食生活を送りたいと考える方にとって、一番高いハードルのひとつは、焼肉やステーキなどの肉食への抑えきれない食欲に打ち勝つことかもしれません。そんな肉を欲する衝動を肌に貼るだけで沈めてくれる「肉パッチ」がアイルランドで開発されました。
肉パッチのアイデアはニコチンパッチと似ています。ニコチンパッチは皮膚から低濃度のニコチンを吸収させることで、禁断症状を緩和して、ニコチン摂取量を徐々に少なくしていき、やがて禁煙できるようになるというもの。それと同じようなことを肉に応用したのが、アイルランドやイギリス、アメリカで植物由来食品の開発を行うStrong Roots社です。
この開発にあたって同社がタッグを組んだのが、知覚心理学者であるオックスフォード大学のチャールズ・スペンス教授。彼は2008年にイグノーベル賞を受賞した人物で、このとき受賞した研究内容は、ポテトチップスを食べている人にポテトチップスの「パリパリッ」という音を聴かせると、実際に食べているポテトチップスが新鮮であるように感じられるというものでした。
人間が食べ物と向き合うときの心理を知覚からアプローチする第一人者のスペンス教授とStrong Roots社が共同で開発した肉パッチは、ニコチンパッチや一般的な湿布のように身体に貼り付けるものです。パッチはベーコンのうえに禁止マークが描かれていますが、ポイントはパッチから焼いたベーコンの香ばしい匂いが漂うこと。匂いは食べ物への渇望を減らすとスペンス教授は述べています。パッチを貼った人はベーコンを食べているように空想して、それだけで満足できるようになるのだそう。
この肉パッチの広告でモデルを務めているのが、イギリスのプロボクサーであるトミー・ヒューリー(下の画像)。彼は肉好きを公言しているものの、インスタグラムで「今年は肉を減らす努力をして、もっとヘルシーなものを食べたい」と述べている有名人。そんな彼も肉パッチを腕に貼って、“肉断ち”にチャレンジしようと述べています。
この肉パッチは、まずロンドンやリバプールなどの都市で数量限定で販売し、将来的に販売を広げていく予定。肉食欲を世界中でノックアウトするかもしれません。