イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機コンコルドが初飛行してからおよそ50年。現在、新たな超音速旅客機として注目を集めているのが、日本航空が出資するアメリカのブーム・テクノロジー社が開発を進めている「オーバーチュア」です。この実現に前進すべく、同社は新たにロールスロイスと提携しました。過去に挫折も経験している超音速旅客機が夢に向かって再び挑戦しています。
NY〜ロンドンを3時間15分で飛行
世界最速の超音波旅客機の実現を目指して2014年に創業したブーム・テクノロジーが開発しているオーバーチュアは、座席数がおよそ55席で、最高速度がマッハ2.2(時速約2300㎞)の超音速旅客機です。開発が成功すれば、ニューヨーク〜ロンドン間を3時間15分で結ぶと言われています。ブーム・テクノロジーには日本航空も出資しており、すでに日本航空はオーバーチュアを20機、ヴァージン・グループは10機仮受注していると報じられています。
ロールスロイスと提携
そんなオーバーチュアの開発に向けて、ブーム・テクノロジーはロールスロイスと提携したことを7月末に発表しました。ロールスロイスというと世界屈指の高級車ブランドですが、航空機用エンジンの分野でも100年以上の長い歴史がある老舗メーカーです。現在では大型ジェットやビジネスジェットなど、30種類以上の機体にロールスロイス製のエンジンが採用されており、ワイドボディ旅客機向けエンジンでは50%以上のマーケットを占めているそう。
これまでにもロールスロイスはブーム・テクノロジーと協力してきたことがあり、今回の提携では既存のエンジンが超音速飛行に対応できるのかを調査することで、オーバーチュアのエンジン開発に協力するようです。ブーム・テクノロジーでは、オーバーチュアのテスト飛行は2020年中ごろを、商業利用の開始は2030年までの予定と発表していますが、航空機用エンジン開発の大手と手を組んだことで、オーバーチュアの開発スピードが上がるかどうかはわかりませんが、開発スケジュールは予定通りに進むことが期待されます。