人口約290万人が暮らすカナダ最大の都市トロントで、2021年春より無人走行のシャトルバスが導入されることが発表されました。8人乗りのコンパクトなシャトルバスは、これから新しい交通手段の1つになるかもしれません。
コンパクトなシャトルバス
トロント市は10月、米自動車メーカーのローカル・モーターズと提携したことを発表。同社が手がける自動運転バス「Olli(オリ)」の実証実験をトロント市内で2021年春から開始することを明らかにしました。
Olliは無人運行の電気自動車で、航続距離は最大60km、時速は最大40km。大きさは長さ3.9m×横幅2.05m×高さ2.5mと、やや大きめのゴンドラ程度のようです。運転席はなく、8人まで乗車することが可能(車いすで利用することもできます)。車内アナウンスは音声や映像を使って流れます。
安全面については、前方と後方、左右両側に合計5つのレーダーと6つのカメラを搭載しており、360度すべての周囲を確認可能。これにより、障害物を自動でよけたり、ルート変更したりできるそうです。さらに遠隔でもモニターされて、万が一の場合に備えているのだとか。
トロント市では、このOlliの実証実験を6~12か月実施する予定です。期間中は、カナダでバスの運行サービスを行っているパシフィック・ウエスタン・トランスポーテーション社やトロント交通局(TTC)の職員2人が乗車し、安全な運行をサポートするとのこと。実験はウェスト・ルージュ周辺と鉄道のルージュヒル駅周辺のエリアで行われ、鉄道利用者を駅まで乗せたり、駅から自宅に帰る人が利用したりするケースが見込まれるようです。
世界各地で導入が進む
Olliはトロント以外でも世界各地で導入が進んでいます。例えば、アメリカではワシントンDCやフロリダ、サクラメント。ほかの国ではオーストラリアやベルギーなどで利用されている実績があります。
しかも専用アプリを使えば、事前登録や予約、支払いもすべて簡単に行うことができるので、あとは近くの停留所でOlliを待っていればいいだけ。二酸化炭素の排出もなく、スムーズでキャッシュレスな乗り物とあって、導入された都市では好意的に受け止められているようです。
東京のような大都市圏では、8人乗りのバスは小型すぎるかもしれませんが、都心からやや離れた地方都市などには、このような無人走行バスのほうが向いているのかもしれません。近年、無人走行シャトルバスは日本を含む世界各地で実験されていますが、競争は激しくなりそうです。