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2021/4/30 6:00

米国で大人気の「STEM教育おもちゃ」が子どものスマホ時間をチャンスに変える!

育児をする多くの親にとって最大の関心事のひとつが、子どもの教育。近年の日本では、英語の早期教育が盛り上がっていますが、同様に大きな注目を集めているのが「STEM(ステム)教育」です。「論理的思考やプログラミングなどを子どもが早いうちから身につけるためには、どうすればよいのか?」と頭を悩ませているママ・パパも少なくないでしょう。そこでオススメは、最近アメリカで大人気の「Osmo(オズモ)」です。

↑ロボット作りだって、余裕しゃくしゃくになるかも

 

オズモは、スタンフォード大学出身の元Googleのエンジニアたちによって開発された、まったく新しい「STEM教育」ツールです。学習者がアプリの画面の中だけでなく、タイルやペン、紙、ブロック、おもちゃなども使って、STEM教育を楽しく身体で覚えるのが特徴。すでに全米では3万以上のクラスと250万以上の家庭で使用されています。

 

アメリカでは2009年ごろから、科学技術に優れた人材を育成するための取り組みとして、「STEM教育」が本格的に学校教育へ取り入れられてきました。STEM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字からなり、子どものうちからパソコンやタブレットを使って学習したり、プログラミングやコーディングについて学んだりとIT社会を生き抜く人材を育てることに注力しています。

 

研究チームによると、オズモはこのSTEM教育を軸に据え、「子どもは体験型学習を通じて、より多く学ぶことができる」という長年の独自研究結果をもとに、ブロックなどリアルな玩具とデジタルを融合させて作られました。STEM教育を反映した新たなデジタル技術を盛り込んでおり、「Reflective Artificial Intelligence」と呼ばれる独自のAI技術を活用した体験型学習ができるようになっています。

 

オズモの基本スターターキット「ジーニアスキット」は1万2980円(税込/iPad別売)で販売中。日本でも購入可能で、日本語にも対応しています。英単語や算数、パズル、お絵描きなどを学ぶことができるうえ、プログラミングなどの専用キットを追加で購入すれば、さらに学びの幅が広がります。

 

「ジーニアスキット」には、ナンバーズ(算数)、マスターピース(お絵描き)、ニュートン(理科)、ワード(英単語)、タングラム(パズル)の5つのアプリが搭載されており、小学生(6歳〜10歳)向けのラインナップになっています。例えば、ワードは、デバイスから聞こえてくる音と写真をもとにして、ABCのパネルを選ぶというゲームで、1000以上の英単語を学ぶことができます。複数人数での対戦モードなどもあり、1つのアプリでさまざまな楽しみ方ができます。

 

これに加えて、オズモにはプログラミングの基礎を学ぶ「コーディング」(税込1万2980円/iPad別売)や、経営の基礎を学ぶ「ピザカンパニー」(税込6050円/iPad別売)などもあります。前者では、実際にコーディングブロックをくっつけたり並べたりしながら、コードの書き方を学ぶ一方、後者では、トッピングやお金のタイルを使って、ピザを作ったり、お釣りを素早く計算したりします。

 

これらは一問一答形式ではなく、「自分には何が必要か?」とか「売上目標を達成するためには何をすればよいか?」のような論理的思考力や問題解決能力を養うように設計されているうえ、協力性や根気を育てる要素も含まれています。

↑ピザカンパニーで遊ぶ子ども

 

コロナ禍により、ステイホームを余儀なくされた子どもたちは、スマートフォンやiPadなどのタブレットの画面を見るスクリーンタイムが格段に増えました。あるアンケートの調査結果によると、そのような時間は通常時に比べて5倍も増大したそう。このような背景から、オズモは学習の遅れやスクリーンタイムの増加を懸念した親たちからも注目されるようになり、最先端の知育玩具として人気を集めています。

 

オズモを採用した学校の教師によれば、アプリと物理的な要素を組み合わせることで、子どもたちは課題に取り組む際、より忍耐強く考えることができるようになったそう。一般的なアプリでは、最初は集中していても次第に当てずっぽうになり、最後はできるだけ速くタップするだけになってしまう傾向が多く見られますが、オズモの場合はパネルやブロックなど、実際に手を使って問題を解くため、より深く考えるようです。

 

また、ブロックを使えば、複数人で学習することができるので、コミュニケーション能力やチームでの問題解決能力も促進されます。プログラミングを学ぶコーディングでは、回答が1つではないため、子どもたちが一緒に模索しながら、いくつもの答えを考え出します。このプロセスが論理的思考の構築に役立っている模様。

 

筆者の6歳になる息子の場合、学校のリーディングのトレーニングがワードアプリと合っているようで、意欲的に取り組んでいます。しかし、2歳の娘をもつ友人は、親が手伝っても、子どもが自主的に遊ぶようになるのは少し難しいと思ったとのこと。オズモに適しているのは、ある程度タブレットを使いこなせるようになる3歳以降の子どもかもしれません。なお、保護者は親専用のアプリを使うと、子どもが夢中になっているアプリに加えて、プレー時間や問題解答数などを確認することができます。

 

実際に手を動かすことによって、デジタルの世界がリアルに体験できることが、オズモの最大の魅力。コロナ禍で子どものスクリーンタイムは確実に伸びていますが、一様に利用を制限するよりも、それを逆手に取り、子どもの興味を学びにつなげてみてはいかがでしょうか?