醤油かけごはんとサンデーパフェは栄養価が同じくらい低い——。そんな身近な食べ物の栄養についてチェックできる新しい栄養評価システムが最近、誕生しました。8000以上の食べ物と飲み物を対象にしたこのシステムにはどのような特徴があるのでしょうか? 実際の評価結果と合わせて見てみましょう。
食べ物の栄養を評価する既存のシステムの多くが、食べ物のマイナス部分にのみフォーカスしていました。でも私たちが普段口にする食べ物には、悪い面もあれば良い面もあるもの。そこで8032の食べ物と飲み物をもとに、栄養面のプラスとマイナスの影響を総合的に判断するシステム「フードコンパス(Food Compass)」を作ったのが、米国・タフツ大学の研究チームです。
この研究チームでは、食材の栄養素のほか、加工方法や添加物などの情報も考慮。肥満や糖尿病、がんなどの健康に関する項目も含め、全部で54のチェック項目について、栄養比率、ビタミン、ミネラル、添加物、加工などの9つのカテゴリーに分類。それぞれにスコアをつけて総合スコアで評価するシステムを、約3年かけて開発しました。
最高スコア100点、最低スコア1点で評価されるこのシステム。主なメニューのスコアは以下の通りです。
ラズベリー:100
人参ジュース:100
アーモンド:91
ベジタブルカレー:90
アーモンドチョコレート:78
コーヒー・カプチーノ(低脂肪乳使用):73
チキン胸肉のグリル(皮なし):61
ターキーまたはチキンバーガー(全粒粉のバンズ):50
チェダーチーズサンドイッチ(全粒粉のパン):32
ピザ(薄い生地タイプ):25
シリアル:19
醤油かけご飯:10
アイスクリームサンデー:10
チーズバーガー(ファーストフード):8
カップ麺:1
チョコレートバー、エナジードリンク:1
平均スコアは43.2点。分類ごとの平均は、野菜が69.1点、果物は73.9点(生の果物はほぼすべて100点)、豆類・ナッツ類は78.6点、魚介類は67点、牛肉は24.9点、鶏肉は42.67点、菓子類は16.4点でした。
同じ飲み物でも、人参ジュースは100点なのにエナジードリンクは1点。同じお菓子でも、アーモンドチョコレートは78点に対して、チョコレートバーは1点という具合に、何を選ぶかによって、スコアが大きく変わることがわかります。
面白いのは、醤油をかけただけのご飯は、アイスクリームサンデーと同じく10点であること。これは、白米はアイスクリームの糖分と似た炭水化物だけの摂取となり、繊維質やほかの栄養分が少ないことが理由として考えられます。
身体に良いとされるシリアルでさえも19点、カップ麺はエナジードリンクと同じく最低スコアの1点でした。
このシステムを開発した研究チームは、奨励する食べ物と飲み物のスコアは70点以上として、31~69点の食品は適度の摂取にし、30点以下のものは最小限に抑えるよう勧めています。
【出典】Mozaffarian, D., El-Abbadi, N.H., O’Hearn, M. et al. Food Compass is a nutrient profiling system using expanded characteristics for assessing healthfulness of foods. Nat Food 2, 809–818 (2021). https://doi.org/10.1038/s43016-021-00381-y