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2022/6/17 21:15

バリスタはロボット! カナダで急増中の「無人店舗」の背景と反応

日本は自動販売機において世界トップクラスであると言われていますが、カナダでも新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、自販機を含む小売店の無人化が急速に進んでいます。街中では、おいしい飲み物やスナックを提供する無人店舗があちこちに出現。完全自動化したコンビニエンスストアも登場し、人手不足に一役買っている模様です。カナダで拡大する無人店舗と人々の反応を現地からレポートします。

 

バリスタ自販機

↑カナダ初のロボカフェ

 

日本の自販機で販売されている商品の多くは飲み物ですが、カナダのトロントでは本格的なコーヒーやスライスケーキ、ピザなどを販売する自販機が増えてきました。実は、これまでカナダの自販機といえばホッケーアリーナや学校の庭に設置されているものが多く、コーヒーカップが汚い、古いデザートが販売されているなどあまりよいイメージはありませんでした。しかし、今回取り上げた自販機には従来の悪いイメージを変える力があるかもしれません。

 

2020年にオープンしたカナダ初の無人ロボットカフェ(通称「ロボカフェ」)は、ロボットが「バリスタ」というユニークさ。メニューもコーヒーだけでなく、エスプレッソやチャイラテなどさまざまで、カフェインフリーコーヒーや植物性オーツミルクへの変更も可能。注文は店頭のタッチパネルや専用アプリで行い、購入者は目の前のプレキシガラスを通して、実際にロボットが注文商品を作る過程を一通り見ることができます。

 

また、スライスケーキを販売する「ケーキATM」もカナダの無人店舗化を象徴する自販機の1つ。アメリカで有名な「カルロズベーカリー」の商品を取り扱うこのケーキATMは、キャロットケーキやクッキーアンドクリームなど6種類のケーキを販売しています。自販機内の温度と在庫量がきちんと管理されており、ケーキはいつも新鮮。このATMは現在のところショッピングモール内を中心に約30か所に存在しており、子ども連れの家族や若者の間で人気を博しています。

 

「スライスタイプでもサイズが大きいので、誰かとシェアするにはちょうどいい。知名度が高いケーキを自販機で手軽に買える体験は価値があるし、面白かった」と、ある利用者は述べています。

↑レンガ模様が目を引くケーキATM

 

一方、カナダにはピザの自販機も存在。トロントに拠点を置き、カナダで30軒以上の店舗を構えるPizza Forno社がこの自販機を運営しており、カナダ国内のみならずアメリカにも進出しています。キャッチコピーは「オーダーからわずか3分でフレッシュな焼きたてピザを味わえる」。シェフが作った生地をストックしておき、オーダーが入ったら自動的にマシンが調理して提供するという仕組みが特徴です。毎日24時間いつでも利用可能。ピザを購入した人の中には、「当初は味に期待していなかったが、実際に食べてみて、自販機ピザの概念が変わりました」と話す人もいます。

 

自営業者に時間の余裕を

トロントの自販機で売られているのは、飲料や食料品だけではありません。新型コロナウイルスの影響で、地下鉄駅構内にはマスクや消毒用ジェルなどを買える自販機も設置されています。

 

iPodやポータブル充電器、ヘッドフォンなど旅行に必要な電化製品の自販機も、トロントのピアソン空港などに置かれています。この自販機を展開しているSignifi Solution社のシャミラ・ジャファーCEOは、「自販機のあり方が変わり始めている」と語ります。自販機で扱う商品は次第に高級志向になっており、利用者の中には、1200カナダドル(約12万6600円※)の電化製品を空港で買う人もいるそうです。

※1カナダドル=約105.5円で換算(2022年6月7日現在)

 

消費者と無人店舗をつなぐ架け橋のような体験を提供したいと語るのは、完全キャッシュレス&スタッフレスのコンビニエンスストアを展開するAisle24社のジョン・ドゥアンCEO。

 

毎日14時間営業という個人経営の食料品店を営んでいたドゥアン氏の両親は従業員を雇う余裕もなく、休みを取りたい時は店を閉めなければならかったそうです。「自分のような店舗オーナーに時間の余裕を持ってもらうために最新技術を導入したい」と思ったのをきっかけに、完全自動化のコンビニエンスストア事業に乗り出しました。

 

来店者はアプリを利用してチェックインし、自動精算機を使ってチェックアウト。誰とも接することなく、食料品や調理された食品を購入できます。人手不足が深刻な小売業界において、完全自動化は労働力をカバーしワークライフバランスなどの課題を解決する重要な施策であると言えるでしょう。

 

このように、カナダではハイクオリティで便利な自販機や完全無人化店舗が増えており、自販機——ひいては無人化——のイメージは変わりつつあります。面白いものや新しいものが好きなカナダ人にとって、IT技術を活用した無人接客は、日常生活にワクワク感をもたらす新しい体験。これから自販機がカナダでどのように発展していくのか、期待しながら見守りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

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