皮膚炎になる可能性は他の犬の38倍!「イングリッシュブルドッグ」の飼育を英国が警鐘

ink_pen 2022/8/19
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皮膚炎になる可能性は他の犬の38倍!「イングリッシュブルドッグ」の飼育を英国が警鐘
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

短い脚と顔の垂れた皮膚が特徴的なイングリッシュブルドッグ。“ブサかわ”犬として人気ですが、健康上の問題から、将来は飼育が禁止されるかもしれません。

イングリッシュブルドッグは交配によって生まれた犬種で、体高が低く短足。顔の皮膚は重く垂れ下がり、たくさんのシワができています。強面な見ためとは裏腹に、温和で飼い主に誠実な性格もあり、ここ10年ほどでイギリスを中心に人気が上がっています。

 

そんなイングリッシュブルドッグの健康状態について、イギリスの王立獣医学校(ロイヤル・ベタリナリー大学)の研究者が調べました。2016年にイギリスで獣医師から治療を受けた犬90万5544匹から、イングリッシュブルドッグ2662匹とイングリッシュブルドッグではない犬2万2039匹を無作為に選び、診療記録からそれぞれの犬の健康を調査。

 

その結果、イングリッシュブルドッグは他の犬種と比べて、約2倍病気にかかりやすいことが判明しました。次のように、さまざまな病気にかかるリスクがずっと高いのです。

 

  • 皮膚炎: 約38倍
  • チェリーアイ(目の病気): 約27倍
  • 突顎(下顎が突き出る): 約24倍
  • 呼吸障害を引き起こす閉塞性気道: 約20倍

 

さらに、今回の調査の対象となったイングリッシュブルドッグのうち、8歳以上だったのは9.7%。一方、他の犬種のうち8歳以上は25.4%でした。これはイングリッシュブルドッグは長生きしづらく、若いときから健康上の問題を抱えているものが多いことを示しています。イングリッシュブルドッグの平均寿命が8〜10年と短いこととも関係があるでしょう。

 

繁殖を制限する国も

この調査結果を受けて王立獣医学校の研究者は、イングリッシュブルドッグの健康状態は、他の犬種に比べてずっと悪いと指摘。特に皮膚炎や呼吸障害など、人間の交配によってできた身体的特徴が直接関連していることが問題だと警鐘を鳴らしました。

 

このような健康上の懸念から、オランダ、ノルウェーなど、イングリッシュブルドッグの繁殖を制限する国も出てきています。王立獣医科大学の研究者は、イングッシュブルドッグはもっと皮膚にしわがない健康的な身体になったほうが良いと考えており、「イングリッシュブルドッグを飼う前に一度立ち止まって考えてほしい」と呼びかけています。

 

【出典】O’Neill, D.G., Skipper, A., Packer, R.M.A. et al. English Bulldogs in the UK: a VetCompass study of their disorder predispositions and protections. Canine Med Genet 9, 5 (2022). https://doi.org/10.1186/s40575-022-00118-5

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