新しい恋愛スタイルの「trouple(トロウプル)」が、いまフランスで話題になっています。この言葉は3人組カップルのことを指し、まさに自由な恋愛先進国フランスの価値観を象徴しているとも言われます。不倫や浮気で社会的制裁を受ける日本とは、恋愛感に大きな差異があるようですが、一体どんなものなのでしょうか?
トロウプルは「trio (3人)」と 「couple(カップル) 」を縮めた言葉に由来し、一緒に暮らす(過ごす)ことを前提とした3人組の恋愛グループを指します。
特に10代〜20代前半の若者の間で支持されていて、「女×女×男」「男×男×男」など、構成される性別は無関係。3人の関係が平等であり、決めたルールを守り、愛し合っていることが重要とされています。
このように、日本であればひんしゅくを買ってしまう「二股」「浮気」という形が、フランスの若者の間では公認の新たな恋愛スタイルとして受け入れられているのです。
新時代の個人主義の影響
トロウプルが生まれた背景として、3つの社会的な要因が考えられます。
1つ目は、個人主義社会であるフランスの恋愛観。既婚者の場合は浮気や不倫が離婚の原因となり、場合によっては裁判になるものの、日本のように集団バッシングといった社会的制裁が発生するということは考えられません。
2つ目の要因は、新しい考え方が広がっていること。現在フランスではフェミニズムやジェンダーフリーへの関心が非常に高まり、「男性・女性の枠組みを超えた人間としての個を尊重すべき」という価値観が、10代〜20代の若い世代を中心に支持されています。
3つ目の要因として、フランスで同性婚が定着したことが挙げられます。養子を迎え入れる同性カップルも増えており、「女性×男性」というカップル以外の形が既に定着しつつあります。
このような背景の中で生まれたトロウブル。フランスにおいても新しい概念ですが、自由度のある恋愛スタイルを模索している一部のフランス人の間では大注目されています。フランス人の全てが恋愛に奔放な気質ではないものの、「それぞれの価値観の中で自らの恋愛スタイルを貫く」という考え方は、日本よりだいぶ進んでいるようです。
執筆/Mayumi Folio