フランスでは冷たい飲料水を無料で飲める給水機が至る所に設置されていますが、パリの街角には炭酸水が出る水飲み場もあります。炭酸水が好きな人にとってはうらやましくなる公共サービスですが、一体どんな背景があるのでしょうか?
パリに1200か所ある公共の無料飲料水機のうち13か所の給水機では、水だけでなく炭酸水を飲むことができます。容器を持参すれば自宅に持ち帰ることも可能で、フランスでは食事時など日常的に無味無糖の炭酸水を飲む習慣があるため、多くの人が利用しています。
「ラ・ペティラント」と呼ばれるフランス初の炭酸水給水機は2010年に設置が始まりました。炭酸水給水機が導入された1つ目の理由は、ペットボトルのごみを削減するためです。販売されている炭酸水には、緑や赤など着色されたペットボトルが使用されています。透明なものよりリサイクルコストがかかるので、回収しても焼却ごみとして廃棄せざるを得ません。無料の炭酸水給水機を設置すれば、色付きペットボトルの削減にもつながります。
2つ目の理由として、健康意識の向上が挙げられます。炭酸水は糖分やカロリーを含まないため、特に健康志向の人たちの間で人気があります。彼らが集まる公園やランニングスポットに設置することでニーズを満たすと同時に、市民の健康意識をより高める狙いがあります。
さらに、ラ・ペティラントの特徴として、水質の安全性と泡立ちの良さも挙げておかなくてはなりません。パリの地下帯水層から汲み上げる水の品質は極めて高く、品質を保証するために年間を通じて検査が行われています。炭酸水は、冷却システムで7度まで冷やした水に一気に二酸化炭素を加えることで繊細な泡が発生し、常に強い泡立ちが楽しめる仕組みです。
環境保護と市民の健康志向に応えるために設置が始まったラ・ペティラント。美食家で炭酸水好きなパリ市民にすっかり受け入れられていて、さらなる増設が期待されています。
執筆/Mayumi Folio