アップルは6月の世界開発者会議WWDCで、開発者がほとんど手間をかけずにWindows用ゲームをMacに移植できる「Game Porting Tool」を発表していました。このツールはまだベータ版ですが、先週に初めてアップデートが配信され、『エルデンリング』や『サイバーパンク2077』などの人気タイトルがMac上で快適に動くようになりました。
本来、Game Porting Toolは開発者向けですが、Mac上でWindowsゲームを動かすためだけにも使うことができます。それが最新のアップデート(ベータ版1.02)により、さらなる進化を遂げました。
YouTuberのAndrew Tsai氏は最新版でいくつかのテストを行い、ほとんどのゲームが以前より高いフレームレートで動いていると述べています。
まず、M1 Maxチップを搭載したMacで『エルデンリング』を実行したところ、以前の26fps(fps=1秒間に表示されるフレーム数)から32fpsに向上。また、M2 Ultra搭載Macで『サイバーパンク2077』を実行した場合、平均8fpsから18fpsに改善しています。
興味深いのは、最上位のはずのM1 Ultra/M2 Ultraチップがいまひとつ性能が出ていないことでしょう。これはUltraチップがUltraFusion技術で2つのMaxチップを1つにつないでいるため、まだGame Porting Toolが対応し切れていないのかもしれません。
実際、M1 Max搭載Macでは『サイバーパンク2077』は40fpsで動作し、Ultraチップより速度が出ています。さらに『Horizon Zero Dawn』や『バイオハザード2』など、以前は対応していなかったゲームも最新版では問題なく動いています。
もう一つ興味深いのは、Game Porting Toolの新バージョンが古い32ビットソフトウェアに対応したこと。もっとも、今のところパフォーマンスはかなり悪いようです。
このツールは開発者向けではありますが、アップルの開発者向けサイトでApple IDさえあれば入手できるため、誰もがMac上で試すことができます。とはいえ、その前に最新のmacOS Sonomaベータ版が動くAppleシリコン(独自開発チップ)搭載のMacを用意する必要があります。
このGame Porting Toolを試した場合、Macに何かが起こっても、完全に自己責任となります。それを承知したうえであれば、ゲーミングPCを買わずにMacだけでWindowsゲームを楽しむ手段の1つとなりそうです。
Source:Andrew Tsai(YouTube)
via:9to5Mac