低糖質な「ダイズライス」白米と比べて実際どう?専用モード搭載の三菱電機「本炭釜」新モデルでチェック!

ink_pen 2025/8/15
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低糖質な「ダイズライス」白米と比べて実際どう?専用モード搭載の三菱電機「本炭釜」新モデルでチェック!
倉本 春
くらもとはる
倉本 春

テクニカル・フリーランスライターとして、家電製品の紹介と解説を中心に執筆。PC誌編集経験を生かし、テクニカル面からの製品紹介を得意とするほか、カフェのオーナーシェフの経験を生かした調理家電の使いこなし術やレシピ提案も得意とする。

米の価格が高騰している今「ご飯を美味しく炊ける」ことがますます重要になっています。そんな中、三菱電機の2025年炊飯器の最上位モデルとして登場したのが「本炭釜 紬(つむぎ) NJ-BW10H」です。本炭釜シリーズといえば、本物の炭を使った内釜で「白いご飯の美味しさ」にこだわった炊飯器。新製品はさらに「健康」に着目し、低糖質・高タンパクな「ダイズライス」が美味しく炊けるモードを搭載しました。

実売価格は13万3810円という本製品の魅力はどこにあるのか? そして新モードのダイズライスとはどんな味? 製品体験会にて実機をチェックしてきました。

↑三菱電機の本炭釜 紬(つむぎ) NJ-BW10H。同社最上位モデルの5.5合モデルです。本体サイズは幅261×奥行315×高さ257㎜。重量は約5.7kg。カラーラインナップは白真珠(左)と炭漆黒(右)の2色です。

白いご飯が美味しいのは当たり前、古古米だって美味しく炊ける

三菱電機の本炭釜といえば、2006年より続く人気炊飯器シリーズ。そして、10万円以上する「高級炊飯器」を世に広めた最初の一台でもあります。

この製品の特徴は、名前にもなっている純度99.9%の「炭」でつくられた内釜。IH炊飯器は内釜に磁力を通すことで「内釜そのものを発熱させる」仕組みなのですが、一般的な金属は磁力を通しても表面の浅い部分しか発熱しません。一方、炭は磁力が1cm以上深い場所まで入り込み発熱します。つまり、釜全体が釜内側まで一気に発熱して高火力を確保できるのです。

↑新製品の本炭釜。強度と密度を確保するために何度も焼き固めてから削り出すため、ひとつを完成させるのに約100日もかかります。
↑異なる素材の鍋をIHで同時間加熱したところ。炭素材のみ鍋全体が高温になっています。しかも、炭釜は普通の金属釜より遠赤外線放射量も約1.2倍多いのだそう。

内釜全体が一気に発熱するメリットには「効率的な浸水ができる」点もあげられます。いまの高機能炊飯器は炊飯モードのなかに浸水(炊飯前にお米に水を吸わせる)工程が含まれていますが、本製品は水温を60℃前後に素早くムラなくあたためることで、水が米に浸透しやすくするのです。

三菱電機ホーム機器の飯田慎一氏によると「今話題の古米や古古米などは、水分量が少ないので、美味しく炊くためには通常よりも長い浸水が必要」とのことですが、本炭釜なら効率的に浸水をするので普通に炊いても美味しく炊飯ができるそう。

↑新製品について解説する三菱電機ホーム機器の飯田慎一氏。

気になる新モード「ダイズライス」の味はどうなのか?

ここまでの「白いごはんを美味しく炊く」機能は従来までのモデルにも搭載されていました。2025年の新モデルでは「ダイズライス」や「玄米冷凍」といったヘルシーメニューを追加しています。

↑三菱電機の本炭釜 紬 NJ-BW10H(左)とフジッコのダイズライス「Beanus」(右)のパッケージ。

なかでも注目なのがダイズライスモード。ダイズライスというのは、豆製品で知られるフジッコが開発した大豆を原料とした米の代替食材です。米と比較すると低糖質で高タンパクというヘルシーさが特徴。米とダイズライスを1:1で炊いた場合、糖質は約43%カット、タンパク質は約218%アップするそうです。

↑お米と同じくらいのサイズに加工されたダイズライス「Beanus(ビーナス)」。大豆粉が主原料でショートパスタのような見た目です。

とはいえ、いくらヘルシーでも続けられなければ意味がありません。そこで三菱電機はダイズライスが美味しく食べられる炊飯モードを開発。米とダイズライスを1:1で炊いたときにもっとも美味しくなる火加減と蒸らし時間で炊き上げるよう制御プログラムを調整しました。

体験会では実際にダイズライスモードで炊いたおにぎりも提供されました。実際に食べてみると、豆の香りはあまり感じません。ただし、普通のおにぎりより粘りが少なく、ポロポロと崩れやすいと感じます。また、かみしめるとかすかに繊維感があり、後味にほんのりと豆の風味を感じました。とはいえ、思った以上に「ごはんに近い」という印象。人によっては、このサッパリした食感がクセになるという人がいるかもしれません。

↑新製品のかまど炊きモードで炊いたコシヒカリ(左)と、ダイズライスとコシヒカリを1:1で炊いたおにぎり(右)。
↑試食では新製品の低温調理機能で作ったカレーも提供されました。カレーのような味の強いおかずと一緒に食べると、ほぼダイズライスだとはわかりません。

低温調理や玄米など「健康」がキーワードの機能も

ちなみに、ダイズライスの試食で提供されたキーマカレーは、2024年モデルより搭載された低温調理モードで調理したもの。本シリーズは昨年より炊飯器と調理器を兼ねた「2in1」仕様になったことで、これまで以上に使い道の幅が広がっています。

↑低温調理では温度と加熱時間を設定するだけ。

調理方法は食材をチャック付きポリ袋などの耐熱袋に入れて低温調理モードを選ぶだけ。65〜85℃の範囲で加熱できるため、柔らかなサバの味噌煮から、しっとりジューシーなサラダチキンまで手軽に調理可能。加熱中はつきっきりで火加減を見張る必要もなく、調理後は袋ごと処理できるので洗い物も最小限で済みます。そのうえ、袋調理なので調味料や油も最小限で済むため、ヘルシー志向のメニューとも相性抜群です。

↑実際に新製品で調理したジューシーなサラダチキン。鶏胸肉は失敗するとパサパサになりますが、低温調理なら火加減の失敗がないのがうれしいところ。

また、2025年モデルでは「玄米冷凍」モードも新たに搭載されました。冷凍玄米はパサつきやすいのが難点ですが、新モードでは冷凍しても炊きたてのような味を再現できるとのこと。時間がある週末にごはんをまとめ炊きして平日はご飯を解凍するだけとし、おかずは低温調理モードで手軽に無理なく調理することで、健康ごはん生活が続けられそうです。

「白米の美味しさ」だけではない、現代的な高級炊飯器のあり方

「白米を美味しく炊く」という炊飯器本来の価値を突き詰めてきた三菱電機の本炭釜シリーズ。今回の2025年モデル「本炭釜 紬(NJ-BW10H)」は、その伝統を守りつつ、新たに「健康」や「手軽さ」といった現代的なキーワードにも対応した一台へと進化しました。

今回はダイズライスに注目が集まった体験会で、実際に試食してみると「この味で健康的なら続けたい」と素直に感じる仕上がりでした。とはいえ、ダイズライスは現時点だとネット通販限定で、800gあたり3300円という価格設定。日常的に主食をすべて置き換えるには、ややハードルが高いと感じる人も多いでしょう。それでも「今日は体を気づかいたい」「糖質を控えたい」と思ったときに、選択肢として取り入れられることは大きなメリットです。

炊飯器の本体価格も13万円台と高額ですが、それに見合うだけの「ごはんの美味しさ」+「健康的な調理のしやすさ」が詰まっています。美味しいご飯が炊ける炊飯器を求める人はもちろん、日常に寄り添う調理家電としての価値を求める人にも、ぜひチェックしてほしい一台です。

↑フジッコのダイズライス「Beanus」800gのパッケージ。炊き上がると約3倍の量になります。

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