各社ともに有機ELテレビの新作が出揃い、市場はにわかに活気づいてきました。国内メーカーにとっての“第2世代”は、いずれも12月開始の「新4K8K衛星放送」を意識した進化を遂げています。今回はAV評論家の藤原陽祐さんが、近日発売の製品も含めた最新モデルの「期待度」を評価します。
※各モデルアイコンの「4K VOD対応数」はYouTubeを含むサービス数。テレビのサイズ/質量はスタンド含む数値
4K本放送を堪能できるチューナー内蔵モデルが登場
5月上旬に各社からほぼ一斉に発表された新型の有機ELテレビは、いずれもパネルやエンジン、音響などが進化しています。なかでも最大のトピックは、「BS/CS 4Kチューナー」を唯一内蔵するレグザ X920の登場。
今年12月1日に「新4k8K衛星放送」がスタートしますが、従来機では別売チューナー(発売時期未定)を接続しなければ視聴できません。しかし内蔵モデルでは、チップを本体に装着し、対応BSアンテナにつなぐだけで視聴が可能。そのアドバンテージは大きいです。
その1.BS/CS 4K放送を単体で視聴できる唯一の有機ELテレビ
東芝
実売予想価格48万5870円(7月下旬発売)
他社に先駆け、BS/CS 4Kチューナーを内蔵。BSアンテナとつなげば、本機だけで4K本放送を視聴できます。また、「新世代有機ELパネル」や「レグザエンジン Evolution PRO」など最新の高画質技術を投入。4Kの映像美を最大限に引き出します。
【BS/CS 4Kチューナー:内蔵】
【チューナー:地デジ×9、BS/110度CS×3】
【4K VOD対応数:5】
【音声実用最大出力:46W】
SPEC●画面サイズ:55V型(65V型もあり)●スカパー!プレミアムサービス(4K):対応●接続端子:HDMI×4、USB×4ほか●サイズ/質量:W1226×H722×D251mm/未定
【“買い”の理由】
地デジの“全録”に加え4K放送もHDDに録画できる
「タイムシフトマシン」を搭載し、外付けHDDをつなげば地デジの全録が可能。4K放送の番組も録画できます。
【藤原’s impression】
<期待度A+>
地デジから4Kまで究極の高画質で楽しめる
「元々レグザは信号処理に定評がありますが、新エンジンにより地デジのノイズ感などがさらに改善されました。現状、4K本放送の視聴・録画に対応する唯一のモデルという点も高く評価。市場をリードする存在になりそうです」
その2.画質・音質の強化に加えAIを駆使することで使い勝手が著しく向上
LGエレクトロニクス
実売価格45万5550円
自社グループで開発したパネルの性能を最大限に引き出す高画質回路「α9 Intelligent Processor」を搭載し、卓越した映像美を実現。また高度なAI機能を備え、音声による番組検索やアプリ起動などが直感的な操作で行えます。音が立体的に広がる「Dolby Atmos」に対応。
【BS/CS 4Kチューナー:非内蔵】
【チューナー:地デジ/BS/110度CS×3】
【4K VOD対応数:6】
【音声実用最大出力:60W】
SPEC●画面サイズ:55V型(65V型もあり)●スカパー!プレミアムサービス(4K):非対応●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか●サイズ/質量:W1228×H784×D222mm/23.8㎏
【“買い”の理由】
浮遊感のあるデザインで映像の没入度はピカイチ
パネル周りにガラスを配して画面だけが宙に浮いて見えるデザインを採用。映像世界への没入感が高まります。
【藤原’s impression】
<期待度B+>
有機EL専用の新エンジン搭載で画質が向上
「これまでLGはあまりエンジンを訴求してきませんでした。新世代では、有機EL用に開発した「α9 Intelligent Processor」を搭載し、高画質化をアピール。ノイズ除去や色再現の精度が向上し、倍速の処理性能も高まりました」
その3.4K映像のリアリティを高音質スピーカーがさらに高めてくれる
パナソニック
ビエラ TaxH-55FZ1000
実売予想価格48万5870円
進化した3次元カラーマネジメント回路「ダイナミック3D-LUT」を搭載。シーンの明るさに応じてリアルタイムで補正量を変化させ、明るい映像でも階調や色を忠実に再現します。また、スピーカー部のウーファーユニットなどを大型化し、迫力ある低音を実現。
【BS/CS 4Kチューナー:非内蔵】
【チューナー:地デジ/BS/110度CS×3】
【4K VOD対応数:7】
【音声実用最大出力:80W】
SPEC●画面サイズ:55V型(65V型もあり)●スカパー!プレミアムサービス(4K):非対応●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか●サイズ/質量:W1228×H785×D330mm/約29.0㎏
【“買い”の理由】
明暗の表現がアップし映画鑑賞を堪能できる
暗部の表現力に加え、明るいシーンの色/階調表現も向上。映画鑑賞に最適の、上質な映像に仕上げられました。
【藤原’s impression】
<期待度A>
極上の画に相応しいサウンドに進化
「とにかくサウンドの進化が著しいことに驚き! スピーカーは新設計で、低音の量感や声の艶っぽさが非常に魅力的です。画質に関しては先代からかなり完成度が高かったのですが、本機ではより明るさがアップしました」
その4.画面から音が出るシステムを踏襲しつつよりスリムな佇まいに
ソニー
実売予想価格37万7870円
昨年から継続するA1同様、画面を振動させることで音を出すシステム「アコースティック サーフェス」を採用。サブウーファーを背面に搭載しながら、スタンド幅を極小化することでスリムなシルエットを実現しました。テーブルトップ設置のほか、壁掛けスタイルにも対応。
【BS/CS 4Kチューナー:非内蔵】
【チューナー:地デジ/BS/110度CS×2】
【4K VOD対応数:9】
【音声実用最大出力:50W】
SPEC●画面サイズ:55V型(65V型もあり)●スカパー!プレミアムサービス(4K):非対応●接続端子:HDMI×4、USB×3ほか●サイズ/質量:W1226×H717×D255mm/約22.2㎏
【“買い”の理由】
映像と音が融合する感動を手ごろに味わえる
「画面から音が出る」革新性を、A1より手ごろな価格で体感。映像と音が融合する感動を味わえる一台です。
【藤原’s impression】
<期待度B+>
ソニーならではの“嫌みのない化粧”が見事
「“化粧は濃いが、嫌みがない”という同社伝統の画作りを踏襲。メリハリのある色や画のインパクトは、他社と一線を画します。音質の好みは分かれますが、画面から音が出るシステムは劇場の感覚に近く、映像に没入できます」
サイフに優しい!高コスパな有機ELテレビ
最新ハイエンドモデルは魅力的ですが、予算がない……という人は、ひと世代前のモデルが狙い目。有機ELならではの色彩豊かな高画質映像を、リーズナブルに堪能できます。
その1.独自の高画質技術で色彩や輝度を忠実に再現
パナソニック
ビエラ
実売価格34万8472円
有機ELパネルに合わせて進化した高画質技術「ヘキサクロマドライブ プラス」を搭載。色彩も輝度も忠実に再現します。●サイズ/質量:W1230×H766×D280mm/約18.5㎏
その2.最新のHDR規格に対応し4Kの映像美を堪能できる
LGエレクトロニクス
実売価格20万7550円
「Dolby Vision」や「HDR10」などのHDR規格に対応。有機ELならではのハイコントラスト&色彩美を楽しめます。●サイズ/質量:W1230×H750×D217mm/19.2㎏
その3.上質な画と音だけでなく最大6chの全録機能も魅力
東芝
実売価格41万270円
純度の高い黒ときらめきを実現。地デジを最大6chまるごと録画できる「タイムシフトマシン」を搭載するのも魅力です。●サイズ/質量:W1229×H728×D170mm/24.9㎏
【チェックした人】
AV評論家/藤原陽祐さん
新聞記者、専門誌編集を経て独立。本誌AV記事のご意見番として、的確な評価が好評を博しています。
協力:楽天市場