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2019/11/7 21:30

キヤノンの高級コンパクトデジカメを総まとめ! 「PowerShot G」シリーズの歴史と現行ラインナップを解説

キヤノンのコンパクトデジタルカメラ「PowerShot(パワーショット)」のハイエンドとして、高画質、高機能を追求したのが「PowerShot G」シリーズだ。2019年11月現在では、主にG1 X Mark III、G5 X Mark II、G7 X Mark II、G7 X Mark III、G9 X Mark IIの5モデルを中心に展開されている。今回は、その歴史や現行ラインナップ機の特徴について解説する。

 

常に進化を続けるキヤノン「PowerShot G」シリーズ

「作品が撮れるコンパクトカメラ」として注目を集める

初代となるPowerShot G1が登場したのが2000年。334万画素の1/1.8型CCDを搭載し、34-102mm相当でF2.0-2.5の大口径レンズやRAWモードなど、作品が撮れるコンパクトとして注目された。またホットシューを持ち、EOSと共通のスピードライトが装着できるのも特徴だった。

↑PowerShot G1/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

2001年になると後継機のPowerShot G2が登場。画素数は400万画素になった。さらに2002年にはPowerShot G3にモデルチェンジ。G2の基本機能は踏襲しながらNDフィルターの内蔵やEOSでお馴染みの電子ダイヤルを装備するなど、デジタル一眼レフのサブ機としても満足できる仕様となった。

↑PowerShot G2/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G3/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

500万画素になった2003年のG5、2004年のG6を経て、2006年のG7でついに1000万画素CCDが搭載された。また映像エンジン「DIGIC III」や、Gシリーズ初となる手ブレ補正機構を採用した35-210mm相当の光学6倍ズームレンズなど、大きくスペックアップしている。カメラらしい操作が楽しめるコントローラーホイールを装備したのもG7が初だ。

↑PowerShot G5/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G6/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G7/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

2007年のG9は1210万画素CCDやフェイスキャッチテクノロジーにより人物を高精細に撮影できる。そして2008年のG10はCCDが1470万画素。光学5倍ズームレンズは広角側が28mm相当になり、より扱いやすくなった。2009年のG11は画素数こそ1000万画素だが、高感度に強く、映像エンジンDIGIC 4との組み合わせで暗所でも美しい写真が撮れる。2010年のG12はG11の基本機能を継承しながら、より操作性や機能をアップしたモデルだ。

↑PowerShot G9/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G10/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G11/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

大型センサー搭載のPowerShot GのXシリーズが始まる

2012年、これまでの1/1.8型や1/1.7型の撮像素子から、1430万画素の1.5型という大きなCMOSセンサーを搭載したPowerShot G1 Xが登場。ここから大型センサーを持つPowerShot GのXシリーズが始まる。DIGIC 5の採用で最高感度はISO12800。UAレンズや14bit信号処理のRAWデータ記録など、一眼レフのEOSに匹敵するスペックを誇るようになった。また従来のGシリーズは、2012年にG15が登場。高速AFや10コマ/秒の高速連写に加え、1/1.7型の新CMOSセンサーとDIGIC 5による「HS SYSTEM」で優れた高感度性能を発揮する。翌2013年のG16はより高速化したAFやDIGIC 6による高感度性能の向上、Wi-Fi機能を搭載した。

↑PowerShot G1 X/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G15/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G16/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

2014になると、G1 Xは後継機G1 X Mark IIにモデルチェンジ。光学ファインダーは省略され、EVFが装着できる仕様になった。これにより1.5型ながら小型になり、携帯性が向上。デザインもシンプルでPowerShot Gシリーズの新たな流れが誕生した。さらに同年、1.0型のCMOSセンサーを持つPowerShot G7 Xも登場。携帯性に優れ、レンズは24-100mm相当のF1.8-2.8。手軽に高画質の作品が撮影できるカメラだ。

↑PowerShot G1 X Mark II/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G7 X/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

2015年はPowerShot Gシリーズ初の超望遠600mm相当をカバーするG3 Xが登場。2020万画素の1.0型CMOSセンサーと24-600mm相当の光学25倍ズームレンズを搭載。しかも防塵・防滴構造により悪天候にも強い仕様だった。同年には一眼レフライクなG5 Xと質量わずか209gのG9 Xも発売される。G5 XはGシリーズでは初めてとなるEVFを内蔵。明るい場所でも視認性が高く、カメラをしっかり構えて撮影できる。G9 Xは小型軽量ながら1.0型CMOSセンサーやタッチパネル、コントローラーリングを装備し、優れた画質と快適な操作性を実現している。

↑PowerShot G3 X/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G5 X/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

↑PowerShot G9 X/画像出展:キヤノンカメラミュージアム(https://global.canon/ja/c-museum/index.html)

 

G7 Xは2016年にG7 X Mark IIへ、G9 Xは2017年にG9 X Mark IIへとそれぞれ進化。また2017年はG1 Xも3世代目のG1 X Mark IIIにモデルチェンジ。撮像素子はこれまでの1.5型からさらに大きくなり、Gシリーズ初のAPS-Cサイズになった。G5 Xのデザインを踏襲するEVF内蔵型で、本格的な撮影にも対応する。さらに2019年、G5 X Mark IIとG7 X Mark IIIが登場。どちらも1.0型の積層型CMOSセンサーを採用し、優れた画質と小型化を実現。これら5モデルが現行機の中心となっている。

 

現行5モデルの特徴

【G1 X Mark III】唯一APS-Cサイズセンサーを搭載したプレミアムモデル

G1 X Mark III

実売価格:13万1450円

その他の現行PowerShot Gシリーズが1.0型センサーを搭載しているのに対し、G1 X Mark IIIはさらに大きな約2420万画素のAPS-Cサイズセンサーを搭載。フラグシップモデルにふさわしい高い解像感、広いダイナミックレンジ、豊かな階調表現などを実現している。レンズは24-70mm相当F2.8-5.6を装備。現行ラインナップで唯一、バリアングル式のモニターを採用しているのも特徴だ。電子ビューファインダー(EVF)も備え、一眼カメラライクなデザインとなっている。

 

【G5 X Mark II】ポップアップ式ファインダー&5倍ズーム搭載の本格派モデル

G5 X Mark II

実売価格:11万5500円

2019年8月に発売されたばかりのシリーズ最新モデル。最新世代の映像エンジン(DIGIC 8)を搭載している。ファインダーをポップアップ式とすることで、従来モデル(G5 X)から小型軽量化を実現。レンズは現行ラインナップで最高の5倍ズーム(35mm判換算で24-120mm相当F1.8-2.8)を装備。また、メカシャッターで最高20コマ/秒(AF固定。AF追従時は最高8コマ/秒)、電子シャッターを使用したRAWバーストモード時では最高約30コマ/秒の高速連写に対応するなど、シリーズ屈指の高速性能を誇る。

 

【G7 X Mark II】コスパに優れたバランス型モデル

G7 X Mark II

実売価格:7万6450円

2019年8月に後継となるG7 X Mark IIIが登場したものの、従来機であるこちらも根強い人気。価格差は2~3万円。映像エンジンは一世代前(DIGIC 7)になるものの、画素数やレンズスペック(24-100mm相当F1.8-2.8)は同等なので、コストパフォーマンス重視ならこちらの選択もあり。ファインダーは非搭載。

 

【G7 X Mark III】機能の底上げを図りつつライブ配信機能など動画機能も強化

G7 X Mark III

実売価格:10万1750円

G7 X Mark IIの後継機で、G5 X Mark IIと同じく最新世代の映像エンジン(DIGIC 8)を搭載。高感度時の低ノイズ化や高速性能の強化が図られている。4K動画記録やWi-Fi接続によるYouTubeへのライブ配信機能など、動画機能が強化されているのも特徴だ。EVFは非搭載だが、そのぶん同時発売のG5 X Mark IIより約36g軽量で軽快に撮影できる。

 

【G9 X Mark II】わずか約206gの小型・軽量ボディで持ち運びラクラク

G9 X Mark II

実売価格:5万7750円

約206gという圧倒的な軽量ボディを実現したコンパクトモデル。広角端が28mm相当からになるなどレンズスペックがやや控えめな点(28-84mm相当F2.0-4.9)、モニターが固定式な点など割り切っている部分もあるが、胸ポケットにすら入るこのサイズ感は大きな魅力だ。十字キーが省かれ、タッチ操作中心の操作系となっている。発売から3年弱が経ち、実売5万円台と価格が落ち着いてきているのも見逃せない。

 

<スペック比較表>

G1 X Mark III以外の4モデルはセンサーサイズは同じだが、G7 X Mark IIとG9 X Mark IIが裏面照射型であるのに対し、2019年発売のG5 X Mark II、G7 X Mark IIIは積層型を採用し、限られたセンサーサイズのなかで、高画質化と高機能化を図っている。

 

モニターについては、全モデルがタッチパネルを採用。スマホとの連携に関しては、Wi-fiは全モデル、BluetoothはG7 X Mark II以外の4モデルが対応。さらに、G5 X Mark II、G7 X Mark IIIの2モデルは撮影時の自動送信にも対応する。

 

このように現在のGシリーズはそれぞれに特色あるモデルをラインナップ。やや大柄でも高画質を追求したモデルから高画質と小型軽量を両立させたモデルまで、自分の撮影スタイルに合った機種が選択できる。