これからの季節、街中のイルミネーションが点灯しはじめ、夜景の撮影機会は多くなりますよね。しかし、夜景撮影はカメラの性能がダイレクトに反映される部分も多く、撮影そのものも難しいといわれるシチュエーション。そのため、スマホでもイメージ通りの夜景写真が撮れる、という方はなかなかいないのではないでしょうか。そこで今回は、暗所撮影に強く、夜景やイルミネーションを色鮮やかにハッキリと写せるデジタル一眼カメラをプロカメラマンの吉森信哉さんが推薦! 特にオススメの3モデルを厳選し、その性能を実際に使って検証してもらいました。
【今回のガイド】
カメラマン
吉森信哉さん
風景や寺社仏閣撮影をライフワークとするプロカメラマン。カメラの新製品レビューや評価の経験も豊富。
【3項目CHECK】
夜景撮影用カメラで重要になる3項目をチェックしました。
①ノイズ
暗所撮影は、ISO感度(センサーの光に対する感度)を上げての撮影が基本となりますが、気になるのは感度を上げるとでてくる「ノイズ」。最近のカメラは画像処理が発達し、明らかなノイズは出にくいと言われています。そこで、各製品ごとにノイズ処理の上手さや自然さをチェックしました。
②色調変化
ISO感度を上げると、影響がでてきてしまうのが、被写体の色調。色が変化して不自然な仕上がりになってしまうこともあるのです。そのため、色調変化が少なく、自然な写りになっているかを評価しました。
③解像感
ノイズの処理が強力に行われると、画像細部の解像感が低下しやすくなるという特質があります。そこで、撮影した画像の細部がぼやけていないか、各モデルで確認しました。
高速レスポンスと高性能センサーで快適な撮影を実現する一台
富士フイルム
FUJIFILM X-T2
実売価格21万6640円(18-55mmレンズキット)
高解像・高感度に定評のある、X-Trans CMOSⅢセンサーを採用するモデル。シャッタータイムラグが約0.045秒であることなど、レスポンスの速さが大きな特徴で、4K動画撮影にも対応しています。「フィルムシミュレーション」機能を使うことで、好ましい色再現が得られます。
○SPEC
●有効画素数:2430万画素 ●撮像素子:APS-C型 ●ISO:100-51200 ●連写:約8コマ/秒
↑液晶は上下チルトに加え、右側にもチルトできる独自の3方向チルト式。縦位置でも自由なアングルで撮影できるのが特徴です。
【3項目CHECK】
①ノイズ ★★★★
薄暗い部分に多少ザラツキが感じられます。無理なノイズ処理はしていないため、写りが自然にまとまるので安心です。
②色調変化 ★★★★★
わずかに赤味が強まるが、不自然さはほぼないといえます。ややコントラストが高めで、メリハリがある描写です。
③解像感 ★★★★★
大きく拡大すると多少ノイズ処理の跡が確認できますが、ディテールはつぶれず解像感は高めな仕上がりになっています。
【作例】
機動力にすぐれたフルサイズセンサー搭載機
ニコン
D750
実売価格26万4400円(24-120VRレンズキット)
フルサイズセンサーを搭載する大型モデルながら約840gと軽量なのが魅力です。グリップが深く取り回しは良好で、可動式液晶を備えるなど機動力に優れた一台といえます。
○SPEC
●有効画素数:2432万画素 ●撮像素子:フルサイズ ●ISO:100-12800 ●連写:約6.5コマ/秒
↑フルサイズ一眼では数少ない内蔵フラッシュ搭載モデル。記念写真や夜景ポートレート撮影などで活躍します。
【3項目CHECK】
①ノイズ ★★★★
わずかにザラツキが残るが、目立つ程ではないといえます。自然な描写で超高感度ながら破綻が少ないのが特徴です。
②色調変化 ★★★★
やや緑色に偏る傾向が見受けられました。しかし、全体の写りをみれば目立たないレベルので、あまり気にする必要はないでしょう。
③解像感 ★★★
像がわずかにぼやけていますがが、しっかりディテールが残っています。ISO6400時ではで目立たない程度でした。
【作例】
高い操作性とハイコスパが魅力のフルサイズ入門機
キヤノン
EOS 6D
実売価格21万8700円(EF24-105mmレンズキット)
低価格も魅力のフルサイズ一眼の入門機的存在。搭載する光学ファインダーがクリアで見やすく、操作性も快適です。Wi-Fiを内蔵するので、画像管理もラクラク行えるのが魅力。
○SPEC
●有効画素数:2020万画素 ●撮像素子:フルサイズ ●ISO:100-25600 ●連写:約4.5コマ/秒
センサーの画素数が控えめなぶん、1画素あたりの面積が広いので高感度に強い性質を持ちます。常用ISO感度はISO25600まで対応。
【3項目CHECK】
①ノイズ ★★★★★
ザラツキが少なく、多少ノイズ処理の跡が残る程度です。高感度ながら満足できる自然な写りといえます。
②色調変化 ★★★★
感度による色調変化はほとんどなく、安定した色再現。階調も十分保たれ、違和感なく撮れるモデルです。
③解像感 ★★★★
ノイズ処理でぼやけた感がありますが、ディテールは残っています。十分許容範囲といえる仕上がりです。
【作例】
夜景撮影が得意な3モデルを紹介しました。ノイズ処理・色調変化・解像感ともにどのモデルも優れていますが、検証してわかったように、モデルごとに写りに差が出てくるのも事実です。それぞれのカメラの特性を把握することで、最適なモデルを選び、思い出に残る夜景をバッチリ記録しましょう!