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2022/2/28 19:15

成功の秘訣は? コロナ以降の新しい働き方「副業」の安全な始め方と注意点

コロナ禍に突入して以来、暮らし方はもちろん、働き方も大きく変化しました。収入が減ったり、職場のあり方が変わったりしたことで不安を感じている人や、自由に出歩けなくなり時間を持て余している人もいるかもしれません。そんななか、副業を始めることで将来への不安に備えたり、充実した時間を手に入れたり、以前とは違った暮らし方をしている人が増えてきています。

 

とはいえ、何から始めたらいい? 確定申告は必要? 本業とどうバランスをとればいい? と不安や疑問はたくさん。そこで、副業アカデミーの学長を務める小林昌裕さんに、副業の安全な始め方と注意点などを教えていただきました。

 

コロナ禍で変わった、副業の仕方

「副業」とは、本業とは別に、空いた時間で異なる仕事を行うことを言います。コロナ禍以前にも副業をもっている人はいましたが、コロナ禍になってからはとくに増え、また、副業のあり方にも変化が生まれているそうです。

 

「もともとコロナ禍になる前から、将来のための貯蓄や年金問題、医療費の負担が上がることなどへの心配を、多くの方が抱えていましたよね。老後までに自助努力で2000万円の貯蓄が必要という、いわゆる“老後2000万円問題”も世間を賑わせました。そんななかでコロナショックが起き、今やローンを払うことさえできず、2000万円の貯蓄どころではなくなった方もいるでしょう。給付金はもらえても一時的なものに過ぎませんし、リストラや会社の倒産、店舗経営の難しさなどから、経済的な不安はどんどん大きくなってきています。国としても、借金を重ねて給付金をばら撒いている状態なので円安が進み、今後お金の価値が大きく変わっていく可能性があります。そうなると、老後に2000万円あっても、それだけでは全然足りなくなってしまうんです」(副業アカデミー学長・小林昌裕さん、以下同)

 

そんなお金の不安を解消するためにも、今こそ副業をはじめることをおすすめしたい、と小林さんは話します。

 

「コロナ禍になってからは、在宅で働くことも多くなりましたよね。通勤時間や会食、飲み会なども減ったぶん、その余った時間を副業に充てることができるようになりました。また、Zoomなどリモート環境が整ったことから、オンラインでのレッスンやイベントも急速に普及しました。これまでのように外出して副業するのではなく、家にいながら働くことができる可能性が高くなったため、誰もが隙間時間で副業をはじめやすくなったと言えます。お金のためだけでなく、スキルを磨いたり暮らしを見直したりするために副業を始めている人もいるんですよ」

 

自分の好きなことで稼げる!? 注目の副業とは

副業というと、もっともイメージしやすいのは「Uber Eats」などのフードデリバリー。空いた時間にパッとでき、初期投資もさほどかからないので、誰もが始めやすい仕事です。

 

「デリバリーはかなり需要がありますし、体を動かしたい人にはおすすめです。平日は本業で、休日は気分転換も兼ねてデリバリーするというのもいいですよね。同じようなジャンルでは、ペットのお散歩代行や家事代行などがあります。続いて多いのは、webライターや動画編集などの在宅ワークです。パソコンや専用のソフトが必要ですが、未経験の方でも少し勉強すればできるようになります。また、自分が得意なことをオンラインで人に教える“レッスン副業”は、楽しみながら収入が得られますよね。Zoomを使ったヨガ教室や英会話、占い、ウェビナーの司会代行などの仕事もかなり増えています」

 

【関連記事】Uber Eats、Wolt……従来の“出前”から変わるフードデリバリーの最新事情と活用法

 

なにが得? 副業のメリット

副業を始めるメリットは、なんといっても収入が増えること。本業だけで生活が賄えている場合、副業での収入はすべて貯蓄や娯楽に回すことができるので、将来への不安を軽減したり、好きなことにお金を使えたりするでしょう。収入が増えることも含め、副業にはどのようなメリットがあるのか、小林さんに聞きました。

 

1.収入が増える

「毎月副業だけで40~50万円稼ぐ人もいますが、多くの方は副業でだいたい3~5万円くらいが手に入ればいいかな、と考えていらっしゃるようです。ちょっとしたお小遣い程度の額でも、気持ちにゆとりが出ますよね。5万円くらいなら、どんな人でも時間を有効活用すればすぐに稼げるようになります」

 

2.別の業界・分野に触れられる

「のちに詳しく説明しますが、本業と同じ業界や分野で副業をすることは危険が伴うので、副業では、本業とは違う分野の仕事に関わることになるんです。すると、そこで人脈や視野が広がったり、これまで知らなかった情報や新しい価値観に触れたりすることができるチャンスが生まれます。自分を高めるきっかけにもなります」

 

3.低リスクで始められる

「本業で生計が成り立っている人は、副業を辞めても元の生活に戻るだけなので、困らないですよね。たとえ失敗しても、起業するよりリスクは低いといえます。何かやってみたいな、と思ったら、まず副業で始めることをおすすめしたいです。フリーランスになるための足掛かりにしている人もいますよ」

 

4.在宅でできる

「こんなご時世ですから家を出たくない方もいるでしょうし、本業で疲れているのにそこからまた外で働くのは大変、という方もいるでしょう。在宅での副業は、リラックスした環境でできるのがよいところです。また、空いた時間を使ってできることもあるので、日々の予定が変動する人にもできます」

 

始める前にチェックは必須! 副業のデメリット

副業の最大のデメリットは、やはり時間を使うこと。楽をしてお金を得たい、片手間にちょっとやるだけで収入を増やしたい、と思っていると、続かなかったり希望額に達しなかったりすることが多いと、小林さんは指摘します。せっかく始めた副業をきちんと続けていくにはどうしたらいいのか、注意点とともに教えていただきました。

 

1.時間を使う

「希望の収入額にもよりますが、どんなに少なくても一日に30分は副業のために時間を使います。疲れて帰ってきているのだからゆっくりしたいとか、テレビが見たい、という欲求を抑えて副業に時間を使うのは大変だと思いますが、片手間ではなくきちんと取り組んだ人ほど成果が出ているのが事実です。副業といえど、しっかり向き合って仕事に臨むことで成功できますよ」

 

2.やりすぎると過剰労働に

「特別なスキルなく誰でもできる単純作業の副業は、単価が低く、時間と収入が比例している仕事が多いので、働き過ぎてしまう可能性があるんです。始めるリスクが低いぶん収入も低いので、たくさん働かないと希望額に達しない、ということもあります。睡眠時間を削るなど、体を壊すことにつながるようでは元も子もありませんから、注意しましょう」

 

3.批判されることもある

「副業には、あまりいいイメージを持っていない人もいます。怪しいとか本業に差し障るのではと言ってくる人も。周りに打ち明けたときに批判されたり、嫌な言葉を投げかけられたりすることもあるでしょう。何か言われたとき、人間関係に摩擦が起こることもありますよね。そういう言葉がやる気を損なってしまうことがあるので、誰にも言わずに黙々とできる人の方が成功していますね」

 

副業はいったいどこまで許される?

さて、いざ副業したい! と思っても、気になるのが本業との兼ね合いです。そもそも副業は、会社に許してもらえるものなのでしょうか?

 

「実は、副業を禁止する法律というのはありません。インサイダーなど本業への支障がなければ、法律的には禁止できないんです。ただし、社内規定に副業禁止と書くことは認められていますので、その場合は働き方を考えてみましょう。まず、副業OKの会社であれば何も問題はありませんよね。次に、できそうにない場合は、副業ではく資産運用をしてみてはいかがでしょうか。実は株式投資や不動産、FXなどは副業には当たらないんです。ほかで働くことはできなくても収入を増やすという意味では同じことなので、その方向で考えてみてください」

 

副業収入が年額20万円を超えたら確定申告が必要

副業を始めると、気になるのは確定申告しなくてはならないことですよね。どのようにすればいいのでしょうか?

 

「確定申告は、年間で20万円以上収入がある場合に行う必要があります。その際、“普通徴収”で申告します“特別徴収”で申告すると本業の会社で合算されてしまうので、副業の収入を本業の会社に知られてしまうことになります」

【関連記事】税理士が解説。実はサラリーマンもすべき「確定申告」とその手続き

 

副業を始めるときに心がけること

副業を始めるときに気をつけたいポイントを伺いました。リスクを回避して、楽しく副業を始めましょう。

 

1.本業に迷惑をかけない

もっとも気をつけなくてはならないのは、本業に迷惑がかからないようにすることです。インサイダー取引はもちろん、本業の情報漏洩にも注意が必要です。

 

「当然のことですが、本業で知り得たことを副業で活かすことは絶対にしてはいけません。副業OKの会社であっても、それは裏切り行為になり、解雇されても仕方のないことです。同じ業界内で働くと、本業での知り合いに出会ってしまう可能性もあります。同じ業界や分野で働くことは絶対にやめましょう」

 

2.低リスクの副業からはじめる

初期投資にお金がかかるようなものではなく、まずはリスクの低い副業をスタートさせてみましょう。

 

「本業以外の時間に働くとどういう生活になるのかな? ということを体験してみる、というくらいのつもりで、まずはリスクの低いものからスタートしてみてください。損したり失敗して何かを失ったりする仕事ではなく、いつ辞めても問題がなく、その時間働けば確実に収入になるものがいいでしょう。まずはやった分だけ稼ぐ、という基本的なことを体験してから、そこを元手に投資を始めたり、クリエイティブの勉強に時間を使ったりするとうまく続きますよ」

 

副業成功のコツは?「目標設定」「モチベーション維持」「時間の棚卸し」

最後に、せっかく始めた副業を成功させるためのコツを教えていただきました。

 

1.目標を設定する

「まずは目標設定することです。毎月いくら収入を得たいとか、そのお金で何がしたい、という具体的なことを書いて壁や冷蔵庫など、いつも目にできるところに貼っておきます。本業の他に副業もするというのは大変だし面倒なことなので、気持ちがブレないように目標をしっかり日々確認できると、がんばれるんですよね。失敗する多くの人は、疲れてしまったり目標を見失ったり、飽きてしまったりして、続けられずに辞めてしまうんです。ですから、こうなりたいという思いをきちんと持って臨んでほしいです。

 

また、最初から高い目標設定にするのではなく、ちょっとがんばればできそうな目標を掲げておくのも大切です。高すぎる目標だと、先が遠くて疲れてしまうんですね。最初は、月に5万円の収入を得たところで、何も変わらないと思うかもしれません。でも、それが年間で60万円の貯金になったとき、その60万円を元手に別のことを始めて貯蓄を増やしてみようとか、そのお金でスキルアップできる習い事を始めてみようとか、新しいことを考えられるようになるんですよ」

 

2.時間を棚卸ししてみること

「副業に充てられる空いた時間、というのがいったいいつどのくらいあるのか考えてみます。無駄にしている時間って一日の中で意外と多いんですよ。通勤電車の中でゲームをしていた時間を副業のための勉強に使ったり、家に帰ってきていつもはお酒を飲んでいる時間を副業に充てたり、うまい時間の使い方を考えてみてください。時間を有効に使うことができれば、その時間がすべて収入につながっていきますよ」

 

3.モチベーションを維持する

「本来ならば趣味や余暇に使える時間で副業するので、『面倒くさいなあ』とか『疲れたから今日はやりたくないな』という自分に勝っていかないと、副業は続きません。自分の中で副業への優先順位を上げて、危機感を持ってやれるようなモチベーションづくりをしてください。目標設定をしたら、それを叶えたらどういう未来が待っているのか想像してみるのもいいでしょう。漠然とした老後への不安や、なんとなく貯金しておきたいという気持ちでは続かないので、いくら貯まったら何に使う、いつまでにいくら貯めるたらこういう将来が待っている、という具体的なものを掲げてモチベーションを上げていきます」

 

副業を始めたことで、だらだらと過ごすことがなくなり、生活にメリハリがつく人もいるのだそう。そこでの出会いや、新しい自分の可能性を見つけることができたら、人生にハリも出るはず。まずは自分の生活の中でどのくらいの時間を副業に充てられるか、考えることから始めてみましょう。

 

【プロフィール】

副業アカデミー 学長 / 小林昌裕

明治大学リバティアカデミー「金融マネジメント入門」講師。2009 年にサラリーマンをし ながら不動産賃貸経営をはじめ、区分マンション・都内シェアハウス・地方一棟マンションなどを保有し年間の家賃収入が 3000万円を突破。不動産賃貸経営以外にも 20余りの副業を実践し、年間収益が1億円を超え、2014 年にサラリーマンを卒業。現在は副業を教える学校「副業アカデミー」の運営をしながら、さまざまな大学・企業・団体での講演などを通じて、あらゆる人の収入の柱を増やすために幅広い活動をしている。副業アカデミーは開校から 34年で受講生数 はのべ 2500名を突破した。

 

『お金のなる木を育てなさい』(朝日新聞出版)
副業だけでなく、投資や不動産運用など、労働時間が短くても収入を得られるようになる仕事の仕方について、詳しく説明しています。