日本にはさまざまな“記念日”が制定されていますが、11月1日は「紅茶の日」なのをご存じですか? これは日本紅茶協会が1983年に制定したもので、意外と知られていないかもしれませんね。
普段紅茶にあまり馴染みがない人にも、「キリン 午後の紅茶」なら大半の人が一度は口にしていると思います。午後の紅茶、通称「午後ティー」は、1986年に発売を開始し、今年で31年目を迎えるロングセラー商品です。
そんな午後の紅茶が紅茶の日を記念して、11月1日、帝国ホテル東京にて「帝国ホテルで楽しむ午後のティーパーティ」を開催しました。このイベントの目玉は、午後の紅茶の商品アドバイザーでもある紅茶研究科の磯淵 猛氏による、おいしい紅茶の淹れ方講座。いったい、どうすれば誰でもおいしい紅茶が淹れられるのでしょうか?
どうして11月1日が「紅茶の日」なのか?
紅茶の日が11月1日に制定されたのには、きちんと理由があります。それは、1781年、伊勢から帆船で出航した大黒屋光太夫という船主が大きなカギを握っているんです。
彼は嵐に遭遇して8か月間漂流し、ロシアに漂着します。彼と2名の船員は、ロシアに10年間滞在することを余儀なくされるのですが、故郷の日本に帰ろうと、女帝エカテリーナ2世に謁見を申し込み、帰国の許可を得ようとするのです。許可を得るまでの間に光太夫はエカテリーナ2世に気に入られ、1791年11月には茶会にも招かれたとされています。
その際に出てきたのが、紅茶だったのです。光太夫は日本人で最初に外国での正式な茶会で紅茶を飲んだ人となったことから、茶会のあった11月を紅茶の日と制定したのです。
ちなみに、ロシアはいまでも紅茶の消費量は多く、甘いジャムと一緒にいただく「ロシアンティー」が有名です。紅茶を飲むと、3~5分以内に体温が0.8~1℃上がるといわれており、極寒の地であるロシアの生活では欠かせないものだったのかもしれません。
食事に合わせるミルクティーには低温殺菌牛乳がおすすめ
午後の紅茶は「ストレートティー」「レモンティー」「ミルクティー」などさまざまな商品を展開していますが、実は「ストレートティー」」「ミルクティー」と海外で言っても通じません。ストレートティーは「ブラックティー」、ミルクティーは「ティーウィズミルク」と呼ばれているんです。
イギリス人は多くの人がティーウィズミルクを飲むそうで、ミルクには低温殺菌牛乳を使用します。日本で一般的な牛乳は、高温殺菌牛乳なので、これでミルクティーを作ると濃厚になり、口のなかに牛乳が残りがちです。それに対し、低温殺菌牛乳を使うと、紅茶の香りが活きたままで、さらりとしたミルクティーが楽しめるそうです。
なぜ、イギリス人がさらりとしたミルクティーを好むのかといえば、アフタヌーンティーを嗜む習慣があるから。かつてのイギリスでは昼食をとる習慣がなかったので、朝食と夕食の間にサンドウィッチやスコーンと一緒にティーウィズミルクを飲んでいました。
その際、低温殺菌牛乳を使ったティーウィズミルクであれば、紅茶に含まれるカテキンが食べ物の油分を分解し、口の中がすっきりすることでよりおいしく食事が楽しめたのです。
紅茶のおいしさの決め手は「ジャンピング」
おいしい紅茶を淹れるにはどうすればいいのか。それは。ずばり「ジャンピング」を意識することです。ジャンピングとは、一定の条件が整ったときにティーポット内で起こる上下運動のこと。ティーポット内できちんと茶葉が上限運動しないことには、味、色、香りともにパーフェクトな紅茶はできません。
まずは1リットル以上のお湯を沸かします。このとき、強火で短時間で沸かすのがポイント。温度は95~98℃で、表面が波立ってきたら火を止めます。また、ティーポットは熱湯であらかじめ温めておかなければなりません。できるだけ、お湯の温度を下げないようにする工夫が必要なのです。
茶葉はティーカップ2杯半(350ml)に対して、ティースプーン2杯。「人数プラス1杯分」と覚えておきましょう。これより多くても少なくてもベストな紅茶にはなりません。あとは、熱湯をティーポット内の茶葉に当たるように勢いよく注ぎます。すると、茶葉が細かい泡とともに上に浮かんでくるんです! 浮いた茶葉はティーポット内のお湯の対流でゆっくり上下運動を繰り返すので、これによって抽出されます。すべての茶葉が底に沈んだら完成です。
ちなみに、紅茶が濃いときにティーポット側にお湯を加えるのはNG。その場合はティーカップにお湯を加えて、好みの濃さに調整しましょう。ティーポットにお湯を加えてしまうと、茶葉から渋みが出てきてしまうのでおいしくないそうです。
ミルクティーを作るには、ティーカップの3分の1くらいまで冷たい牛乳を入れ、そこに紅茶を注ぎます。ティーカップの9分目くらいまで紅茶を入れることで、牛乳がきちんと温まります。
紅茶の飲み方は食事とのペアリングが重要
実際に完成したミルクティーを飲んでみると、これまで自分で作っていたミルクティーとはまったく違います! 牛乳を加えていてもさらりとしていて、紅茶自体の香りもしっかり感じられます。
今回、用意されたアフタヌーンティーのフードは、サンドウィッチ、チーズ、ケーキなど、乳製品が多め。そう、ミルクティーは乳製品と一緒に食べたときに、口のなかを本当にさっぱりさせてくれるんです。
また、から揚げや餃子、脂が多い焼き魚などは、無糖の紅茶と合わせるのがいいそう。キリンでいえば「午後の紅茶 おいしい無糖」がそれにあたります。あくまでも単品で楽しむのではなく、食べ物とのペアリングを考えられて作られた紅茶だそうです。
私たちの1日の生活のなかで、さまざまなシーンにフィットする紅茶。「キリン 午後の紅茶」も食事やそのときの気分に合わせて選べば、これまでとはひと味違った楽しみ方ができそうですね!
キリン 午後の紅茶 http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/gogo/