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2018/3/20 10:45

戦国時代を迎えた「果実系チューハイ」の違いはどこにある? アサヒ/キリン/サントリーの3社を飲み比べした

お酒の市場で絶好調なのがRTD(Ready To Drink=開栓してすぐ飲める缶やボトル入りのチューハイやカクテルなど)。このカテゴリーから、3月20日に「アサヒ贅沢搾り」が新発売となります。最大のウリは“圧倒的な果実感”とのことですが、RTDにはすでに高い果汁量が特徴の「果実系チューハイ」が存在。ただ、後発だからこそ独自性を磨いた設計になっているはず。そこで各メーカーの商品を集め、それぞれの魅力を解明していきたいと思います!

 

そもそも「果実系チューハイ」って何?

個人的には贅沢搾りの登場で、果実系チューハイの役者がそろったと思います。でも、そもそもこのジャンル自体を知らないという人もいるはず。まずは特徴を解説するとともに、各社の商品を紹介します。

 

↑左から、アサヒの贅沢搾り、キリンの本搾り、サントリーのこくしぼり。ほかの缶チューハイに比べて高い果汁量になっている点が特徴です

 

缶チューハイ自体の歴史を簡潔に解説すると、1984年に登場した「タカラcanチューハイ」が元祖。これはいまも人気のロングセラーで、長年ほぼ一強といえる状況でしたが、2001年にキリンから「氷結」が誕生して市場を盛り上げます。

 

↑果汁が多く、沈殿しがち。でも炭酸入りなので振れないため、開栓前に逆さにするのがベター。これも果実系チューハイの特徴です

 

その後嗜好の多様化などで、缶チューハイにも“高アルコール”“低アルコール”“ビター系”“ゼロ”“プレミアム”などが続々登場。その途上で、メルシャンが2003年に発売した「本搾りチューハイ」が、果実系チューハイのパイオニアです。やがて2007年にメルシャンはキリンの傘下となり、改めて2008年に「キリン 本搾りチューハイ」が発売されました。その後、2015年にサントリーから「こくしぼり」が。そして今回「アサヒ贅沢搾り」の新発売で、いよいよ果実系チューハイは戦国時代を迎えたのです。

↑贅沢搾りの裏側。1/2個以上の果実を使っていることが表記されています

 

イメージとしては、果実系チューハイは居酒屋などで生の果物と一緒に提供される生搾りサワーのような立ち位置。ということで、いよいよ各商品を飲み比べて魅力をチェックしていきます。

 

 

【比較01】レモン編

まずは缶チューハイの定番フレーバーであるレモン。サントリーのこくしぼりにはレモン単体がなくレモン&ライムとなりますが、同商品の特徴である「果実浸漬酒」に使われている果実はレモンのみです(上位ラインの「こくしぼりプレミアム」には「贅沢レモン」というフレーバーがあり)。

↑色のにごり方は、本搾りが最も濃い印象

 

 

次に味の感想を。贅沢搾りは、アルコール度数が4%と最も低いこともあって酔いやすい人向け。ほんのりと甘みもあって、グイグイと飲みやすい印象です。

 

本搾りは最も甘さが控えめ。また、レモンの皮っぽい苦みが本格的なニュアンスを醸し出しています。ドライでキレもあり、辛口なお酒が好きな人向けですね。

 

こくしぼりは、青々しい余韻があってやさしい酸味も。ライムエキスによるものかもしれません。また、すっきりした清涼感があるので、スパイシーな料理に合いそうです。

 

 

【比較02】グレープフルーツ編

レモンと双璧をなすチューハイの王道といえば、グレープフルーツ。次はこのフレーバーを飲み比べてみました。

↑贅沢搾りは、赤みがかった色が特徴。これは、パッケージからもわかるようにピンクグレープフルーツを使っているからでしょう

 

贅沢搾りは、41%という抜群の果汁量。それもあってか、香りが豊かで味わいもジューシー。“贅沢”というブランド名にも納得です。レモン同様に自然な甘みがあって、低めのアルコールなのでこれも飲みやすい印象ですね。

 

本搾りも前述のレモンと同じく、すっきりとした甘さやビターなニュアンスが印象的。同社の「ビターズ」という苦みに特化したシリーズほどではないですが、辛口でキリっとした味わいです。6%という高めのアルコール度数で、お酒としての飲みごたえも十分。

 

こくしぼりは前者2つの中間の甘さで、アルコールも中間の5%。炭酸の強さは最もやわらかい感じで、特に食事に合いそうな気がします。嗜好によっては、3本のなかでこれが一番飲みやすいという人もいるのではないでしょうか。

 

 

【比較03】桃編

次の比較は桃。とはいえ、比較対象となる商品が贅沢搾りとこくしぼりプレミアムしか現行ではなかったので、価格差も加味した形で飲み比べてみました。

↑果汁は贅沢搾りの方がやや多い31%。ただ、にごりはこくしぼりプレミアムのほうが強く出ています

 

贅沢搾りは、開栓した瞬間にあふれる桃のフレッシュな香りに驚きました。飲み口も爽やかで、みずみずしい印象です。ライトなタッチで、パッケージのデザインもそうですが若い女性にウケそうな味わいです。

 

たとえば贅沢搾りが20~30代なら、こくしぼりプレミアムは30代以上の人にオススメしたい大人感。時間帯でも前者は昼~夕~夜で、後者は夜~深夜。甘さは控えめですが、フルーティで濃醇ですね。にごりに由来しているのか、またはブランデー仕立てによるものなのか、テクスチャーにも少しだけとろみがあってリッチです。

 

 

【まとめ】

今回、3社の各商品を飲み比べてわかったこと。それは同じ果実系チューハイであっても、それぞれ個性が違うということです。

 

あくまでも個人的な感想ですが、アサヒの贅沢搾りは低アルコールで自然な甘さ。高果汁タイプが好きだけど、もっと低アルコールで飲みたかったという人には待望といえるでしょう。そしてキリンの本搾りは、高果汁が好きな一方で甘さよりも苦みやキレを重視する人。そしてサントリーのこくしぼりは、甘さや苦みは適度でいいというバランス重視型の人向け。プレミアムに関しては、深夜にまったりと缶チューハイを楽しみたい人向けといえるかもしれません。3月20日の贅沢搾りが発売されるタイミングで、実際に飲み比べをしてみてはいかがでしょうか!