グルメ
2019/3/7 11:15

伝説の家政婦 タサン志麻さんに教わる“肩の荷が下りる”フランス家庭料理の極意

前半では、家で作るのは難しいと思っていたフランスの家庭料理が、実は簡単だということを教えてくれた志麻さん。後半は、家政婦としてお仕事をする際の時短テクニックやレシピのアイデアを教えてもらいましょう。この「鶏もも肉のマスタード焼き」は混ぜて焼くだけ、ほとんどの時間は放っておくだけだから、時間を有効に使える料理だとか。子どもにも人気の鶏肉メニューとは、楽しみですね。

 

志麻さん流・短時間でおいしい料理を作るコツとは?

━━━志麻さんは、テレビ番組で訪れたお宅で、3時間の間に10品以上の料理を作っていたりしますよね。あれだけの料理をどうやって短時間で仕上げているんですか?

 


志麻さん「料理を作る順番が重要なんです。煮込んだり、オーブンで焼いたりする料理から作り始め、火を通している間に他の調理に取り掛かると時間を有効に使えます。私は調理をしながら、次のレシピを考えることが多いですね。家政婦としてお仕事をする時は、限られた時間で行わなければならないので、常にキッチンを片付けながら調理することもポイントなんです」

 

━━━とくに平日のごはん作りは時間との戦いだから、調理の順番は参考になります。

 


志麻さん「そうですよね。それから、食材の切り方もポイント。たとえばパセリをみじん切りにする際、まな板の上で何度も包丁をあてる方が多いですが、そうするとパセリの汁がまな板に染みたり、せっかくのいい香りも飛んだりしてしまいます。パセリはひとまとめにしたら手で押さえながら、小口切りのように切るといいんです」

 

 

━━━そのテクニックは、すぐに実践できそうですね。 また、お客様の家で料理を作るときに、 心がけていることはありますか?  その家庭によって冷蔵庫にある食材がバラバラだから、大変そうですよね……。

 


志麻さん「和洋中、バリエーション豊かな料理を作るように心がけています。お客様のご家庭にある食材で作らなくてはいけないので、時にはオリジナルレシピとは異なった材料で代用することも。意外とオリジナルレシピよりおいしくなることもあります(笑)。あと、日持ちの良さを意識して作り置き料理を作っています」

 

━━━依頼主のご家庭は、家族構成などもさまざまだと思いますが、レシピはどうやって決めているんですか?

 


志麻さん「私は事前のヒアリングをしっかりして、家族構成はもちろん、体調やライフスタイルなど細かくうかがったうえでメニューを考えます。小さなお子さんがいるならハンバーグとか、体調が優れないなら滋養がつくものなど、お客さんに合った料理を作るようにしています」

 

━━━なんだか、志麻さんが“伝説の家政婦”と呼ばれるようになった理由がわかるような気がしますね。それは、料理人時代から学んだことなんでしょうか?

 


志麻さん「私がフレンチレストランで働いていたころ、レストランにいらっしゃるお客さんは緊張していたり、神妙な雰囲気だったりと、心から食事を楽しんでいないような気がしていました。でも、今はお客様の希望を汲みとって、そのご家族に合った家庭料理を作り、喜んでもらえる。最近では、メディアで紹介してもらえる機会も増え、フランスの家庭料理を皆さんに知ってもらえるようになりました。“私がやりたかったことって、これだったんだ!”と、とても充実しています」

 

━━━志麻さんのおかげで、フランスの家庭料理の魅力の一端を知ることができた気がします。ではここで、旬の野菜で作れる料理を教えてください。

 


志麻さん「大根、白菜などの冬野菜をベーコンと一緒にコンソメで煮るだけで、ポトフのような野菜スープになります。“大根は和の食材!”と思い込まず、発想を柔軟にすることで、新しいレシピが生まれますよ」

 

 

━━━思い込みは捨てた方がいいんですね! では、今回教えていただく「鶏もも肉のマスタード焼き」とは、どんな料理なのでしょうか?

 


志麻さん「鶏もも肉をマスタードでマリネしたグリル料理です。フランスではウサギ肉を使うのですが、鶏もも肉でもおいしいんです! マスタードを使っていますが、オーブンで焼くことで辛味がなくなり、お子さんでもおいしく食べられる料理なんですよ」

 

━━━おいしそうですね! でも、家にマスタードってあったかな……。

 


志麻さん「マスタードの代わりに和からしを使えば和風の仕上がりになります。もし、家にレシピの材料がなければ、ぜひ他の食材で代用してみてください。意外と良い組み合わせが見つかるかもしれませんよ」

 

こんがりジューシーな「鶏もも肉のマスタード焼き」

【材料(3~4人前)】

鶏もも肉…2枚(約600g)
塩・コショウ…各適量
にんにく…大1かけ分
パセリ…適量

<A>
マスタード…大さじ4
オリーブ油…適量

 

【作り方】


①にんにく、パセリをみじん切りに。

 


②下記の<A>の材料をすべて混ぜてマリネソースを作る。

 


③②と一口大に切って塩・コショウをした鶏もも肉をよくもみ込み、30分以上漬ける。

 


④オーブンの天板にクッキングシートを敷き③を並べ、オリーブ油をまんべんなくかける。200℃のオーブンで15分焼き、中まで火が通ったら出来上がり。

 

【後半のまとめ】

シンプルな材料と、シンプルな調理法で作れる鶏もも肉のマスタード焼きは、噛むほどに、鶏肉のジューシーさとマスタードの香りが楽しめるメニュー。鶏肉を漬け込む時間と焼いている時間に、他の作業もできるから助かります。パーティーのときは、骨付き肉を使うと豪華になりそうです。

 

【書籍情報】

『志麻さんのプレミアムな作りおき』(ダイヤモンド社)

家庭の冷蔵庫にある食材が、贅沢レシピに変身! 今回紹介した「アッシ・パルマンティエ」や「鶏もも肉のマスタード焼き」も掲載。

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