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2019/12/31 19:00

2019年、美酒の取材を重ねたフードライターが振り返る「いま飲むべき酒」5選

ビール、ウイスキー、日本酒、焼酎、ワインなどなど、2019年も様々なジャンルのお酒を取材してきた筆者。そのなかからトレンドや個人的オススメをふまえ、「これはいま飲むべき」という銘柄や、そのお酒カテゴリーを該当記事とともに振り返りたいと思います!

 

その1:スパイス料理向けカクテル

トップバッターは、王道のビールやウイスキーではなく、あえてカクテルの話からはじめます。しかも、これも定番カクテルではなくスパイス料理向けというジャンルです。なぜか――それは、フードトレンドを考えるとスパイスがこれからもっと身近になると思うからです。

 

↑写真は、スパイス香る「ルーローハン」や「フムス」に、桃のリキュール「ピーチツリー」カクテルのペアリング。カレー好きの女子を中心に、オリエンタルフレーバーのお酒が流行る予感

 

「スパイスカレー」のトレンドをきっかけに、香辛料やハーブを駆使したエスニックなテイストの料理が今後ますます増えるはず。そして、これらの料理に合うお酒は?と考えると、それはやっぱりスパイスやハーブを使ったアルコールだと思うのです。

 

では、スパイス料理向けカクテルとは? ポピュラーなところでいえば、「ジュニパーベリー」というスパイスが味のキーとなる「ジン」を使ったカクテル。多彩なハーブ由来の上品な苦みがある、「カンパリ」のカクテルもいいと思います。

 

「カンパリ」の記事はこちら

 

また、お酒自体にスパイスやハーブ感がなくても、オリエンタルなニュアンスをもったリキュールのカクテルもスパイス料理にオススメです。たとえば前記の「ピーチツリー」をソーダで割った「ピーチツリーサワー」。桃は柑橘やベリー系にはない妖艶でまろやかな甘味があって、カレーはもちろん、山椒の刺激が香る麻婆豆腐、八角の効いた角煮などにもよく合います。

 

また、牛乳で割るとヨーグルト的なマイルドな酸味をもつ、アンズのリキュールで有名な「杏露酒」もスパイス料理にマッチすることを発見しました。これはカレーにマンゴーラッシーが合うロジックと似ています。

 

「杏露酒」の記事はこちら

 

「カレーやスパイス料理は好きだけど、お酒はまだ苦手」という若い世代にも、「ピーチツリー」や「杏露酒」はなじみやすいはず。いずれにせよ、スパイス料理にこれらのお酒をぜひ合わせてみてほしいです。

 

その2:日本原産ホップ「ソラチエース」のビール

ビール類のなかで、元気なカテゴリーといえばクラフトビールです。その特徴は個性的な味わいですが、これを生み出すポイントは大きくふたつ。ホップと発酵だと思っています。そして、2019年に日本で本質的な全国デビューを果たしたのが「ソラチエース」というホップ。

 

↑本質的な全国デビューの立役者は、ブルックリンブルワリーの「ブルックリン ソラチエース」(左)とサッポロビールの「Innovative Brewer SORACHI1984」(右)。ふだんはライバル関係にある二社が、協力して企画したイベントも話題となりました

 

「ソラチエース」は、繊細になりがちな日本原産ホップでありながら、アヴァンギャルドな海外原産ホップに勝るとも劣らない強烈な個性があること。しかもそれが約35年前に生まれ、海を渡って人気に火が付き、満を持して日本に凱旋してきたというストーリーも感動的です。

 

詳細は、その両社の担当者インタビューで深掘りしているので、あわせてご覧いただけたら。

 

「ブルックリン ソラチエース」の記事はこちら

「Innovative Brewer SORACHI1984」の記事はこちら

 

その3:新世代焼酎

ダウントレンドと思われがちながら、飲食店では人気のお酒が焼酎。約15年前の「焼酎ブーム」当時に比べれば市場は落ち着きましたが、いまでも飲食店ではビールに次いで飲まれています。そのうえでいま、新世代焼酎といえる革新的な味わいを持ったブランドがデビューしているのもまた事実。

 

↑「海童」などで知られる老舗「濵田酒造」の150周年記念として開発された本格芋焼酎「だいやめ」。熟成法で香気を引き出した「香熟芋」による、ライチを思わせる甘やかな香りが魅惑的

 

「だいやめ」のほか、香りに着目して躍進しているのが、サントリーが開発した「大隅」です。サントリーは洋酒のジャンルで日本にイノベーションを起こし続けているメーカー。伝家の宝刀であるウイスキー開発で培った知見を生かした「香り厳選蒸溜」と呼ばれる独自の新製法で、芋本来のおいしい部分だけを抽出したのが「大隅」です。

 

「大隅」の記事はこちら

 

「大隅」の詳しい製法や味わいについては、過去記事をぜひ一読ください。また、リニューアルして飲みやすさに拍車がかかった、「混和焼酎」の売り上げNo.1ブランド「かのか」も新世代のデイリー焼酎として要チェックです。

 

「かのか」の記事はこちら

 

その4:自宅でまったり楽しむウイスキー

筆者はウイスキーの聖地・秩父育ちなのですが、2019年のウイスキートピックでうなったのが、秩父が誇る銘酒「イチローズモルト」のニュース。特に希少な「カードシリーズ」の54本が、日本産ウイスキーの落札額では過去最高となる、約1億円で落札されたというものです。

 

↑「イチローズモルト」の「カードシリーズ」

 

「イチローズモルト」の限定品は希少なため高価になりがちである一方、「ホワイトラベル」と呼ばれる市販の定番品でも抜群においしく、同社ならではの重厚感あふれるテイストを実感できます。ただ「ホワイトラベル」もまた人気で、最も入手しやすいとはいえどこでも手軽に買えるとはいえません。

 

そこで注目していただきたいのが、「ブラックニッカ」の限定ボトル。同ブランドは味の方向性によってクリア、ディープブレンド、リッチブレンドがあり、時折発売される限定ボトルも秀逸なのです。

 

シーンに合わせた飲み方提案をしているのもユニークな特徴です。2019年の初夏に発売された「ブラックニッカ ディープブレンド ナイトクルーズ」も、秋に登場した「ブラックニッカ リッチブレンド コンフォートアロマ」も、テーマは“自宅でのくつろぎ時間”。

 

どちらもリッチなテイストながら、参考価格が税抜2000円とお値打ちなのもポイントです。後者は比較的まだ入手しやすいので、気になる人は過去の記事とあわせてぜひチェックを!

 

「ブラックニッカ ディープブレンド ナイトクルーズ」の記事はこちら

「ブラックニッカ リッチブレンド コンフォートアロマ」の記事はこちら

 

その5:イノベーティブ日本酒

本稿その3の「新世代焼酎」で、革新的な味わいの銘柄が誕生していることに触れましたが、日本酒でも近しいムーブメントが起こっています。しかも日本酒の場合はより若手の活躍が目立ち、蔵元の世代交代やスタートアップの登場などでイノベーティブな商品やブランドが次々と誕生しています。

 

↑日本酒発祥の地ともいわれる奈良の老舗、今西酒造の定番「みむろ杉」の、いまでや銀座限定ラベル。蔵元は1983年生まれの14代目で、斬新な企画や商品を続々展開。この純米大吟醸も、ラムネを思わせる甘やかな爽快感で美味でした

 

スタートアップは特に個性派ぞろい。ラグジュアリーブランドとして海外シーンを切り開く「SAKE100」、“日本酒をもっとシンプルに”をテーマに、商品名を時刻にして展開する「HINEMOS」、“日本酒を世界酒に”をビジョンに三軒茶屋で生まれ、パリに醸造所を開設した「WAKAZE」など非常にユニークです。

 

GetNavi webでは、こういった日本酒のプロジェクトを強く応援するクラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」の取り組みなども紹介してきました。ぜひ読んで、飲んでいただけたらと思います。

 

「SAKE100」の記事はこちら

「HINEMOS」の記事はこちら

「Makuake」の記事はこちら

  

ということで、2019年も首都圏から地方まで、様々なお酒の最前線を取材させてもらいました。2020年も様々な美酒との出合いがあることを期待して、都度発信できたらと思います。おいしいお酒とともに、よいお年を!

 

【フォトギャラリー(GetNavi webにてご覧になれます)】