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2020/9/19 21:00

世界初の設備が生んだパワフルなウイスキーを試飲。北陸唯一の小さな蒸留所の挑戦がアツい

パワフルでスモーキーな、限定生産のウイスキー原酒

そんな「ZEMON」で蒸留されたのが「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」です。ピートを強く焚き込んだヘビリーピーテッド麦芽で仕込まれていて、スモーキーかつヘビーなウイスキー造りを信条とする三郎丸蒸留所らしさが感じられます。

 

↑「三郎丸」と「ZEMON」の文字が目を引くラベル

 

これは熟成や調整を施す前の、蒸留したてのウイスキーの原液「ニューポット」(ニューメイク)というもので、琥珀色のウイスキーとは異なりますが、お酒としての個性は十分楽しめます。

 

↑ウイスキー酵母に加えてエール酵母が使用されています。アルコール度数は60度

 

↑原酒であることを表す「NEW POT」の印字。樽で熟成させる前の状態です

 

フタを開けてみて驚きましたが、まず香りからしてパワフル。商品名にもなっている「52PPM」はダテじゃありません。

 

PPMとはピートの強さを表す数値(フェノール値)で、いわゆる“スモーキーさ”の度合いのことを指します。ピートが強いことで知られるスコットランド・アイラ島のスコッチにおいて「アイラモルトの王者」と呼ばれる銘酒「ラフロイグ」でも40~45PPMなので、今回の52PPMというのはかなりスモーキー。ちなみに筆者はアイラモルトが大好きなので、このヘビリースモーキーフレーバーはうれしい限りです。

 

↑グラスに注ぐと、スモーキーな香りが立ちます

 

そして何も割らずにそのまま飲んでみると、豊かな甘味とやわらかなタッチを感じます。ニューポットは荒々しい味わいになりがちですが、こちらはカドがなくてむしろスムース。ミドルの味はふわっとした印象で、余韻はサッと引きながら奥に染み込んでいく感じです。

 

この甘味は独特で、鮮烈なスモーキーフレーバーと調和し、無邪気なスイートテイストを醸し出しています。アルコール度数も60度と高めながら、ストレートでクイッといけてしまう魔性のおいしさを秘めています。

 

↑本当に60度もあるのか、というくらいスムースに入ってきます

 

加水してみると、甘やかなニュアンスがより前に出てきて、これもナイス。さらに飲みやすくなるので、オススメの飲み方です。

 

ハイボールも試してみました。やはり甘味とピートの香りがしっかりしていて、飲みごたえのあるハイボールになりました。ストレートでもそうですが、熟成されていない分、キレがあって、香りは強めながら味としてはシャープな印象です。

 

↑香りもキレも一味違うハイボールに

 

今回は料理とのペアリングは試していませんが、ソーセージやベーコン、いぶりがっこやスモークチーズなど、燻製の料理が抜群に合うと思います。アウトドアにも最高でしょう。

 

三郎丸蒸留所からは今後もさまざまなニューポットがリリースされそうですし、熟成されたウイスキーもいずれ発売されるでしょう。今後も要注目の造り手です。「三郎丸蒸留所 ニューポット 2020 ヘビリーピーテッド 52PPM」は9月12日に発売されたばかりですが、2000本の数量限定なので、気になる方はお早めのチェックを。

 

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