デジタル
2016/2/15 8:00

【西田宗千佳連載】VRで生まれる「再発見」と「新発見」

「週刊GetNavi」Vol.39-4

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VRは、写実性とは違う意味でのリアリティ、「そこにいる感覚」「そこで体験できる感覚」が重要になる。VRはゲームと紐づけられることが多いし、実際最初に立ち上がるのはゲーム向けだ。だが、そこでヒットするのは単純に「今までのゲームをHMD対応にして、没入感を高めた」ものではないだろう。

 

むしろ、最初にヒットするのは、シューティングやレースのようなジャンルではあるまい。むしろ、驚くほど単純なゲームが起爆剤になる可能性がある。

 

例えば、パズルゲーム。「テトリス」に似たいわゆる「落ちもの」パズルも、VRになると別の価値が出る。ブロックの立体構造を自分で「首を動かして確認しながら遊ぶ」ものになれば、いままでの感覚は通用しない。ブロックを合わせることに加え、形状把握という行為が楽しさにつながるからだ。ゲームに「身体感覚」を追加することで、ヒットが生まれる可能性がある。任天堂の「Wii」の登場で「体感ゲーム」がブームになったが、それがもう少し違った形で再現するかもしれない。

 

もう一つは「キャラクターゲーム」だ。画面の中のキャラクターは、アニメ絵であろうがリアルなCGであろうが「画面の向こうの存在」だったが、VRでは奇妙なまでの実在感が生まれる。キャラクターと「目が合う」と、それが人間ではないとわかっているのに妙に照れるし、近づきすぎると、パーソナルスペースに入ってこられたようで、時には不快感すら覚える。

 

キャラクターが「画面の向こうの存在ではなくなる」ことが、VRのひとつの可能性だ。ゲームの物語上のキャラクターを思い浮かべる人がいるだろうが、それはエンターテインメントとしての可能性に過ぎない。「ビデオ会議」「テレビ電話」が苦手な人は、結構いるのではないだろうか? 実は筆者もその一人。結局実際に会うこととは似て非なるものなので「音声だけでいい」と思ってしまう。だが、VRの特性を生かせば、本当に「そこにいる」ようなコミュニケーションが可能となる。まるでSFの世界の話のようではないか。

 

Oculusは、2014年にFacebookに買収され、彼らの傘下企業となった。買収額は20億ドル。「まだ商品を出していない企業への買収額としては大きすぎる」「なぜゲーム企業でもないFacebookが」と言われたが、コミュニケーションにおける可能性を考えると、まったく的外れな買収ではないのである。

 

 

●Vol.40-1は「ゲットナビ」4月号(2月24日発売)に掲載予定です。

 

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