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2019/2/8 20:03

ブロックチェーンスマホ「FINNEY」とは何者なのか?

2019年1月下旬に、ある一つの面白いスマートフォンが登場しました。端末の名前は「FINNEY(フィニー)」。最大の特徴はブロックチェーン技術を活用していることです。しかし、「ブロックチェーンでスマホって、一体何なの?」と首をかしげる人も多いことでしょう。万人ウケする製品ではないものの、理屈がわかるとなかなか興味深い端末なので、その概要をご紹介しましょう。

 

↑スイスのSIRIN LABSが日本でも展開するスマートフォン「FINNEY」。手に持つと結構大きい。もちろん技適あり

 

そもそも「ブロックチェーン」とは?

多くの人が首をかしげる原因は、おそらく「ブロックチェーン」という言葉にあるのでしょう。最初にここをざっくりと噛み砕いておきたいと思います。ご存知の方は読み飛ばしていただいて結構です。

 

ブロックチェーンとは、「分散台帳」を実現するための技術の一つです。分散台帳では、データの記録(台帳)をその名の通り分散して管理します。

 

↑ブロックチェーンを活用した分散台帳では、右のようにデータを管理する。クライアント・サーバ型の中央集権型のネットワーク(左)と、P2Pネットワーク(右)のイメージ

 

これを説明するのに、銀行の例え話がよく登場します。銀行に預けるお金は、銀行の帳簿システムで管理されます。「銀行」自身が信頼できる管理者として、信頼性を保っているのです。銀行Aのデータベースは銀行Aが所有していて、当たり前ですが銀行Bは所有していません。

 

一方、分散台帳という仕組みでは、上記の例ではデータベースにあるべきデータの一部がユーザー同士で共有されます。A社のデータの記録が、B社も、C社も参加しているネットワーク上に記録されるのです。噛み砕いて表現するならば、「全員が同じデータを保有し、お互いに見張ることで信頼性が担保される」とでもいいましょうか。誰かがサーバをダウンさせてもシステム全体には影響しません。また、ネットワーク上でのデータは、暗号化され鎖状に繋がった状態(ブロックチェーン)になるので、改ざんなどは実質的に不可能になります。

 

そして、「ビットコイン」などの仮想通貨は、後者の仕組みを導入しています。それゆえに「仮想通貨」「分散台帳技術」「ブロックチェーン」といった言葉は、同じ文脈で語られることが多いのです。

 

仮想通貨用のおサイフがスマホに付いた

さて、ブロックチェーンスマホ「FINNEY」の話に戻りましょう。ブロックチェーン技術が使われているスマホと紹介しましたが、FINNEYの場合「仮想通貨用のおサイフがスマホにくっついている」と考えるのが分かりやすいです。

 

仮想通貨を管理するおサイフのことを「ウォレット」といいます。おサイフといっても通貨のデータそのものが入っているわけではなく、暗号化されたデータにアクセスするための「鍵」みたいなものです。

 

このウォレットは、大きく2種類に分けられます。インターネットに接続した環境で保管する「ホットウォレット」と、接続されていない環境で保管する「コールドウォレット」です。そして、一般的にハッキングに関しては後者の方がリスクを抑えられると言われています。FINNEYにはこの「コールドウォレット」が備わっているのです。

 

↑端末背面上部にあるスライダを動かすと、モノクロのタッチディスプレイが起動する。この部分がコールドウォレットであり、Androidベースで作られた「SIRIN OS」で駆動するスマホ本体とは切り離されいる。入金・送金などの際に、QRコードを表示したり、パスワードを入力する操作などはこちらのディスプレイを使用。有線でスマホ本体と接続する

 

ただし、「コールドウォレットならセキュア」という単純な話ではなく、紛失や故障など別のリスクは存在します。個人利用するならば「利便性の良いホットウォレットと、ハッキングリスクの低いコールドウォレットのそれぞれで資産を分けて管理しましょう」というのが、折衷案になるのでしょうか。実際、ブロックチェーンを利用したスマホとしては、HTCは「Exodus 1」という端末を開発していますが、こちらにはホットウォレットを採用しています。

 

↑SIRIN LABSのFounder & Co-CEOのMoshe Hogeg氏によると、最近のハッキング手口として多いのは「タイピングしたコードを分析してパスワードを盗む方法」と「スクリーンショットで画面の情報を盗む方法」だという。スマホから分離されたコールドウォレットではこうしたハッキングの被害を受けにくいメリットがある

 

なお、仮想通貨といえば、まず最初に有名な「Bitcoin(ビットコイン)」を想像されると思いますが、ほかにも多様な銘柄が存在します。実はこのFINNEYを発表したスイスの企業「SIRIN LABS(シリン・ラボ)」も、「SIRIN LABS Token(SLN)」という仮想通貨を展開しているのです。FINNEYの登場により、こちらの注目度も高まることでしょう。

 

なお、FINNEYのユーザーガイドを見る限り、コールドウォレットの初期設定を終えると、デフォルトで「Bitcoin」「Ethereum」「SIRIN LABS Token」のアカウントを持つウォレットが作成されるとありました。SRNだけに対応している訳ではありません。

 

ブロックチェーン対応アプリのストアにも注目

もう一つ注目しておきたいのが、ブロックチェーンの技術を活用したアプリの存在。これは「DApps」(※dapps、Dappsと表記されることもある)と呼ばれます。分散型アプリケーションを意味する「Decentralized Applications」の略語です。

 

例えば、「CryptoKitties」という仔猫を育てるゲームでは、仔猫を仮想通貨「Ethereum」を使って取引することができます。現実の世界でいうトレーディングカードの売買みたいなことができるわけです。

 

↑FINNEYのホーム画面にある「dCENTER」を起動し、「D-Apps」のタブを選択した画面

 

FINNEYでは「dCENTER」というアプリから、こうしたDAppsにアプローチしやすくなっています。また、同アプリには、ビデオを視聴すると仮想通貨をゲットできる広告モデルも用意されていました。現時点でこの仕組みをどう評価すべきかは悩ましいところですが、少なくともDAppsのプラットフォームがスマホにプリインストールされていることはユニーク。コールドウォレットを備えるブロックチェーンスマホならではの特徴です。

 

↑Moshe Hogeg氏はブロックチェーン対応のデバイスを開発した理由について、「裏側で何が起こっているか理解しなくても使えるのが重要。クルマならアクセルを踏めば、エンジンの仕組みがわからなくても進んでいく。しかしブロックチェーンの場合は、一般の人にはまだ浸透していない。その技術について、その利点は理解されていても、実際では多くの人が使っていない。(中略)単なるバブルで終わらせないために、ブロックチェーンの技術を一般市場で生かすための方法を我々は考えた」との旨を述べている

 

普通のスマホと同じ、手の届く価格設定

SIRIN LABSといえば、2016年にセキュリティの高さを売りにした100万円越えのスマートフォン「SORALINS(ソラリン)」を発売した企業。となるとFINNEYの価格も心配になるところですが、意外にもFINNEYの価格は999ドル(2月末までは899ドル)、執筆時のレートで11万円弱(9万9000円弱)となっています。通常のハイエンドスマートフォンと同じくらいで一般人でも手の届く価格です。仮想通貨取引をモバイル環境から継続して利用していきたい人にとっては、興味深いデバイスに仕上がっていると感じました。

 

なお、同機の販路はメーカー直販サイトがメイン。また、今後オープン予定の実店舗やAmazonでも取り扱われる予定です。

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