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2019/5/30 17:30

カルト的人気の「REALFORCE」、製造元に聞いた異次元のこだわり

長時間パソコンに向かい、キーボードをカチカチやっていると、手から腕、腕から肩、肩から首へと硬直し、だんだん体に不調をきたします。良い姿勢でのタイピングを心がけていても、デスクワークがメインだと、なかなか改善できません。

 

「せめて打ちやすいキーボードがあると良いんだけど……」と、ネットで調べてみると、あちこちで「REALFORCEというキーボードがヤバい!」という高評価を目にしました。調べると、そのメーカーは自動車部品の製造をメインとする東プレ。さらに、価格は高い物で3万円もすると言います。

 

うーん、なかなか謎めいています、このREALFORCE。どういった開発経緯があり、どういった点が使いやすく、またこの高額の理由は何かといった疑問の数々を、東プレ営業部・山根英宣さんに聞いてみました。

 

東プレ営業部・山根英宣さん。REALFORCEの性能はもちろん、ユーザーの意見なども常時チェックされているそうです

 

 

PCキーボードの98%以上が日本製ではない!

――東プレは元々は自動車部品メーカーとして知られていますが、PCキーボードを始め、他の事業もやられているのですか?

 

山根英宣さん(以下、山根) 確かに全体の売り上げの60~70%は自動車関連部品です。自動車のフレームなどのプレス部品なのですが、それに加えて冷凍庫、空調機器なども作っています。そしてもう一つの事業が電子機器です。PCキーボードがメインなのですが、事業の歴史は結構長くて、1983年からやっています。

 

――それまで自動車部品の製造で培われた技術がPCキーボードにも活かされたということですか?

 

山根 いえ、実は全く絡んでいないんです。メインの自動車部品製造とは別に、産業用キーボードを作ろうと立ち上げた事業で、当初はOEMでの供給が多かったものです。

 

産業用は、一般用の商品と異なるためまず品質第一優先です。そのクオリティを知った一部の一般消費者の方が「これはすごいんじゃないか」とご支持をいただき、2002年より、一般向けにもREALFORCEというブランド名で製造を始めたという流れです。

 

そもそもPCキーボードは、市場に出回っている98~99%がMade In Japanではないんです。ほとんどは中国製、台湾製なのですが、日本製にこだわっているのは弊社と数社のみです。絶滅危惧種とも言われていますが(笑)、数少ないMade In JapanのPCキーボードが弊社のREALFORCEなのです。

 

REALFORCEの標準的なテンキーレスモデル、R2TLSA-JP4-IV。一見シンプルなPCキーボードですが、その中身には秘密がありました

 

 

 

買うと後悔するPCキーボード!?

――一般的なPCキーボードとの違いを教えてください。

 

山根 一番はキータッチですね。キーを押し下げる際の感触は、他社製のPCキーボードよりも遥かに滑らかでスムーズなんですよ。

 

粗悪なPCキーボードだと、カクカクとした感触で、特に長時間打ち続ける方は指や体に掛かる負担が増え、ダメージを受け腱鞘炎になることもあります。本当に多く打つ人は、1日に何万字も打つわけですからね。そういったことを軽減させている点が、ユーザーの方から支持をいただいている大きな特徴だと思います。

 

――どのような構造で、滑らかなキータッチを実現しているのですか?

 

山根 一般的なPCキーボードのキーは、1つのキーが55g以上のものが多いのですが、対して弊社では30g、45g、55gと3種類のキーを使った商品があります。

 

開発・試作した際、社内で試し打ちをすると「押した感覚がなくて、ちょっと気持ち悪い」なんていう意見もありましたが、前述のような1日に何万字も打ったり、早打ちをするような人が、使い慣れると、REALFORCEじゃないと重過ぎて使えなくなるそうです。そういったことから「中毒性のあるキーボード」とも言われていて、「買うと後悔する。戻れなくなるから」という意見もあるようです(笑)。

 

キーの印字は、キーそのものにインクを浸透させる昇華印刷という技術が採用され、どれだけ使っても文字が剥げないそうです

 

 

キーストロークのどこで「入力」とするかをユーザーが設定できる

――ただ、一般的なPCキーボードに比べると、遥かに高額ですね。

 

山根 はい。一番高いもので3万円くらいです。

 

でも、これは仕方がないんです。前述のキーの組み合わせもそうですが、PCキーボード自体が安定したわまないように鉄板を使用したり、ネジ止めの数を多くし剛性を高めたり、電子部品も信頼性の高い有名メーカーのものを使っています。

 

さらにスイッチにも工夫があって無接点静電容量方式の技術を駆使し、自分の好きな位置でキーが入力されるような仕組みを採用しています。

 

――ちょっと難しいですね。どういったことですか?

 

山根 例えば、キーを押した際に4ミリのストロークがあったとします。「そのうちの、どこで入力と判断させるか」というのは、他社製品はスイッチに接点があり一律で、つまりユーザーの方が機械に合わせなければいけません。しかし、弊社のREALFORCEは、その「4ミリのストロークのうち、どこで入力と判断させるか」を、3段階(1.5ミリ、2.2ミリ、3ミリ)から自分で設定できる構造を採用しています。これもREALFORCEのユニークな点の一つですね。

 

特に最近はeスポーツが話題になっていますが、eスポーツをやられる方は、例えば0.何秒早くゲームのキャラクターを操作し、何発玉を飛ばせるか……といったことを競い合います。そういった際、ユーザーの方の最大限の技術を介入させられるといった点でもREALFORCEは評価していただいています。

速いキータッチにも対応しているREALFORCE。誤って複数のキーを同時に押したとしても、全てが表示されるという構造です

 

 

待望のMac用は、Windows配列に変換できる機能も

――ただ、REALFORCEと言っても、実に数多くの商品がありますね。どんなことを基準に選べば良いのでしょうか。

 

山根 まず前述のキーの重さから選ばれると良いと思います。45gのキー重量のREALFORCEは不評が少ないですが、使われる方によっては30gでは軽過ぎるといったご意見もあります。ですので、まずユーザーの方がどんなキータッチを好まれるかご判断いただき、吟味してお選びいただくのが良いと思います。

 

――この春からはMac用も発売されました。

 

山根 MacとWindowsではキー配列が違いますが、モードを変えればどちらの配列でも打てるようにするなどの工夫をしています。

 

これまでMac用の良質なPCキーボードってあまり出ていなかったのですが、そういったご不満があった方にこそREALFORCEを是非お使いいただきたいですね。

 

この春に発売されたMac対応のREALFORCE。普段の筆者はMacユーザーですが、Apple純正のPCキーボードよりも遥かにタッチが滑らかに感じました

 

 

タイピング日本一は1分間に1200文字以上を打ち込む

――素朴な疑問ですが、タイピングが早い人って1分間にどれくらいの文字を打つのでしょうか?

 

山根 弊社でeスポーツの一環として「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP」というタイピングの速さを競い合う大会を主催しているのですが、1位の人だと1分間に1200文字くらい打たれます。

 

――1200文字! 会話するより打つほうが速そうですね。

 

山根 そういう次元の方にも対応できるPCキーボードです。我々が売りたいがために、宣伝的に言っているわけではなく、本当に良い製品です。

 

ユーザーの方がよくブログなどでREALFORCEを取り上げてくださっていますけど、客観的な意見も多いので、ご購入される前は是非参考されるのも良いと思います。

 

確かに高い製品で3万円もする高額なPCキーボードですが、耐久性があるため10年使えれば1年あたり3千円です。普段よくキーを押す方にはお勧めですよ(製品保証は1年となっております)。

 

ユーザーの意見を大切にしながら、REALFORCEの性能を語ってくださった山根さん(ありがとうございました)

 

実際にキーを押させていただきましたが、「キーが軽い」という単純な表現はできない印象でした。適度にタッチ感があり滑らかで、これなら長時間のタイピングでも体の負担は軽減されそうです。このREALFORCEの真価のほど、是非あなたも一度お試しください!

 

 

撮影:我妻慶一

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