デジタル
2016/7/5 13:00

中国マーケット拡大や5G通信など「MWC上海2016」から見える世界のモバイルトレンド

6月29日から7月1日の3日間、上海でMWC(モバイル・ワールド・コングレス)上海2016が開催されました。前回、前々回と会場で展示されていた一般消費者向けの製品について紹介しましたが、今回はMWC上海の概要と、出展内容から占う今後のモバイルトレンドについて解説します。

 

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そもそも「モバイル・ワールド・コングレス」とは何か

MWCとは、GSM方式のモバイル通信システムを採用する企業が中心となって構成する団体「GSMアソシエーション(GSMA)」が主催する、世界最大規模のモバイル関連イベント。世界中の通信キャリア、携帯電話製造メーカー、周辺機器メーカー、コンテンツ制作会社、スタートアップ企業などが集まり、新商品や次期コンセプトモデルを披露します。また、世界中の大手企業のトップが出席するカンファレンスという側面も持っており、モバイル業界のグローバルな動きを知る上で欠かせないイベントとなっています。本家のMWCは、毎年スペインのバルセロナで開催されており、今年は2月に実施されました。

↑MWC2016の会場の様子
↑MWC2016の会場の様子

 

今回筆者が取材してきた「MWC上海」は、中国の上海で開催されるアジア市場向けのイベント。いうなれば、MWCのアジア版です。中国市場で販売される携帯電話を中心に、VRやドローンなどの先端技術、4.5G・5Gなどの通信規格についても展示が行われます。以前は「Mobile Asia Expo」という名称で開催されていましたが、数年前から「MWC」という呼び方に統一されました。今回の「MWC上海2016」については、会場の規模は前回よりも2倍近く大きくなっているとのこと。年々規模が拡大されています。なお、日本企業としては、NTTドコモやKDDIがキーノートセッションに参加していました。

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↑今年のトレンドであるVRの体験コーナー

 

↑ドローンも多く見られました
↑ドローンも多く見られました

 

MWC上海も、商業イベントという側面を持っています。展示会場で説明員にインタビューをしていると「What do you do?(ご職業は何ですか?)」とたびたび尋ねられました。会場には、メディアのレポーターのほか、ジャーナリスト、メーカーの調査員、バイヤーなどがそこかしこで歩いています。なお、展示会場の一部には、VIP専用のブースなどもあり、うっかり通行しようとして警備員に止められるといったこともありました。

 

メインは巨大なマーケットである中国市場

展示会場では、「中国移動」などアジア圏で活躍する企業のブースが目立ちます。台湾メーカーや、イギリスやアメリカに本社を置く企業もちらほらと見えますが、やはり中心は中国企業。日本企業の出展も「ONKYO」など、ごく一部のメーカーに限られていました。マーケットの規模を考えると当然のことですが、やや中国国内向けのイベントになりつつある印象。筆者としては、日本企業ももっと頑張って欲しいな、と思う次第です。

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↑展示されているスマホの大部分は中国向けの端末

 

中国市場の向けのスマートフォンも多く展示されていました。トレンドは「VoLTE」に対応する機種が多く見られたことでしょう。一部のキャリアでは、ビデオ通話機能に対応している端末もありました。なお、通信方式としては「TD−LTE」が採用されています。

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↑会期中(7月1日)に発表されたVIVOの新端末「X7・X7 Plus」

 

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↑自撮り(セルフィー)機能の訴求はもはや当たり前に

 

なお、各メーカーのブースにいる説明員で英語を理解できる人は、3分の1もいません(もちろん、大企業や外資のメーカーなどのブースには、英語を理解できる人が多いのですが)。今後、出展や取材を考える場合には、英語だけでなく中国語対応の準備が重要になるでしょう。

 

次世代のキーワードは「5G」

5月末に日本で開催された「ワイヤレスジャパン2016」でもそうでしたが、通信業界のトレンドとなるキーワードは「5G」です。2020年を目処に実用化を目指している新通信規格ですので、MWC上海でも多くの通信事業者が5G関連技術の展示を行っていました。

↑通信キャリア各社が掲げるキーワードは「5G」

↑通信キャリア各社が掲げるキーワードは「5G」

 

以前より、国内向けにNTTドコモが掲げていた5Gの構想には、具体的に3つのポイントがありました。それは「スライシング」、「エッジコンピューティング」、「スモールセル化」です。ざっくりと噛み砕いて表現すると、「スライシング」はネットワークを仮想化して使い分ける概念。これにより、通信回線にできた余白をIoTデバイスに活用します。「エッジコンピューティング」は、デバイスではなく、ネットワーク側のサーバーに計算機能を搭載して、スマホやIoTデバイスの負荷を軽減するという構想。そして、「スモールセル化」は繁華街など、人が混雑する場所にミリ波の回線を設置して、局地的な回線混雑を解消しようという概念です。

 

↑5G関連の技術を解説するファーウェイのパネル
↑5G関連の技術を解説するファーウェイのパネル

 

MWC上海で展示されていた中国企業の5G戦略についても、上記と同様の構想を示すキーワードが見受けられました。もちろん、完全に同様とするには語弊があるとは思いますが、各国のキャリアで軸が共通する部分は多いようです。5Gの恩恵として、具体的に提案されていたのは、遅延が解消されることにより映像配信やロボットコントロールが滑らかになるだろうということ。モバイル回線が5Gへと移行するについて、「IoT(モノのインターネット化)」が一層普及し、より実用的な商品も登場していくのでしょう。

 

世界のモバイル市場において、年々存在感を増しているMWC上海。今後もその動向に注目が集まりそうです。

 

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