アップル、故障が多かったMacキーボード訴訟に70億円の和解金を支払い。無償修理プログラムも提供中

ink_pen 2022/7/20
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アップル、故障が多かったMacキーボード訴訟に70億円の和解金を支払い。無償修理プログラムも提供中
多根 清史
たねきよし
多根 清史

IT / ゲーム / アニメライター。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)がある。

アップルは、MacBookの旧モデルに付いていたバタフライキーボードの欠陥に関する集団訴訟につき、5000万ドル(約70億円)を支払って和解することに同意したと報じられています。

↑View Butterfly Keyboards/Shutterstock

 

問題のバタフライキーボードは、2015年の12インチMacBookで初採用され、2016年以降のMacBook ProやMacBook Airにも数年にわたって搭載されていました。それ以前のキー懸架(けんか)機構からアップルが「バタフライ構造」と称した機構となり、非常にキーストロークが薄くなっています。

 

おかげでMacBookの筐体は薄くなったものの、特定のキーが効かなくなる、文字が勝手に反復入力される、押したキーがスムーズに返ってこないなどの苦情が相次ぎました。一応は毎年のモデルで改良された跡はありましたがトラブルは絶えず、2018年には初の集団訴訟が起こされています

 

最近のモデルでは2019年のMacBook ProやMacBook Airが該当しており、アップルも無償修理プログラムを提供しています。この不具合の影響を受けたMacのリストは和解案の最初のページに書き連ねられていますが、基本的には「2015年から2019年までのMacBookシリーズ、ほぼ全て」(2019年発売の16インチMacBook Proを除く)です。

 

まだ裁判官が和解案を承認する手続きが残っていますが、バタフライキーボードで悪戦苦闘した人々にとっては、ようやくトンネルの出口が見えてきたようです。アップルも16インチMacBook Pro(2019)以降ではシザー式、つまり以前の懸架機構(の改良版)に戻しており、これ以上のトラブルはご免だと思っていたのかもしれません。

 

和解金を受け取れるのは米カリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州、イリノイ州、ニュージャージー州、ワシントン州、またはミシガン州に住んでいるユーザーに限られます。それ以外の米国の州や国々の人々は、この和解の対象となる「集団」には含まれません。

 

支払い予定額は「最大50ドル~395ドル」とされていますが、実際の取り分は和解に参加する人の数によって(頭割りで)変わります。また、5000万ドルのうち最大30%が弁護士費用に充てられ、その他の雑費もさっ引かれた残りが各ユーザーに割り振られます。

 

直接に日本在住ユーザーに関係ない和解ではありますが、上記のキーボード修理プログラムは国境を超えて受けられます。すでに有償でキーボードを交換していた場合でも(おそらくハードウェア設計によるため、「同じ部品」を交換しても問題は解決しない可能性が高いのですが)こちらから問い合わせて返金を受けられるかもしれません。また、無償修理は対象となるモデルを買ってから4年間に限られます。

 

Source:Reuters
via:The Verge

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