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2016/11/19 20:27

あの「PC-98」シリーズも生まれた! NECレノボの拠点工場に潜入

これまでNEC製品の修理を担ってきた「NECパーソナルコンピュータ群馬事業場」が、今後、グループ企業でもあるレノボ製品の修理も開始するとのことで、その様子を見学できるプレスツアーが開催されました。工場大好き人間である筆者も大ハシャギで参加してきましたのでレポートします。

 

NECパーソナルコンピュータ群馬事業場って?

今回、見学することになった「NECパーソナルコンピュータ群馬事業場」について簡単に説明しておきましょう。

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NECパーソナルコンピュータ群馬事業場はNECのパソコン開発・生産拠点「NEC群馬」として1984年より事業を開始しました。同社の代名詞ともいうべき「PC-98」シリーズもこの事業場で開発・生産されました。その後、2002年には開発・生産から保守サポートに事業を転換。2011年にNECレノボになってからは、NECパーソナルコンピューター群馬事業場となりました。

 

群馬事業場はその名の通り、群馬県の太田市にあります。東京ドーム約2個分の広大な敷地面積で、約550人の従業員が働いています。

 

今回のプレスツアーの主旨は、これまでNEC製品とレノボ製のタブレットのみ修理を担っていた同事業場が、今年の7月からレノボ製のパソコンも修理するから見に来てよ! ということで各メディア勢が集結した次第です。

 

レノボ製のパソコンも修理すると何かイイことあるの?

NECの修理工場でレノボ製のパソコンの修理をすることで、どんなメリットがあるのでしょうか? 主なメリットは下記の通り。

・修理にかかる時間を短縮できる

・修理のノウハウを2ブランド間で共有できる

・修理や物流にかかるコストを削減できる

などなど、良いことづくめというワケです。グループ会社なので、拠点をまとめるのは極めて合理的ということですね。

 

 

NECレノボの修理拠点へ、いざ出陣!

それでは、早速工場見学のレポートをしてみたいと思います。目指す場所はもちろん群馬県にある事業場。しかし、案内された集合場所は、なぜか埼玉県北部にある酷暑で有名な熊谷駅。熊谷駅には新幹線が停車するので、東京方面からのアクセスがよいとの理由で集合場所に選ばれたとのこと。

 

熊谷駅からバスで約30分。緑豊かな広大な敷地のなかに、群馬事業所はあります。

↑立派な主屋にもNECの文字。大きな期待に胸が膨らみます!
↑立派な主屋にもNECの文字。大きな期待に胸が膨らみます!

 

工場内部に案内され長い廊下を歩いていると、パソコン工場特有の「匂い」が漂います。例えるなら、新品のパソコンを開封した時、もしくは初めて電源を投入した時の何ともいえない匂いです。途中には、NECの歴史を語るうえで欠かせない16ビットパーソナルコンピューター「PC-9801」が展示されていました。

↑さすが生誕の地ということで、PC-9801の展示もありました
↑さすが生誕の地ということで、PC-9801の展示もありました

 

いよいよ工場の中枢へ!

パソコンの修理といっても、様々な工程があります。届いた要修理品の受付や、修理完了後の出荷、修理箇所の診断、部品交換など多様です。

 

特に筆者が注目したのがマザーボード修理エリア。なぜマザーボードだけほかの修理エリアから独立しているのかというと、マザーボードはパソコンの心臓部ともいえる複雑な基板で、故障箇所を見つけて修理していたのでは、ユーザーに返却するまでに膨大な時間がかかってしまいます。

↑↑広大な構内に広がるマザーボードの修理エリア。天井から下がっているパイプは排気ダクトで、ハンダ付けの際に発生する煙を排出するためのもの
↑広大な構内に広がるマザーボードの修理エリア。天井から下がっているパイプは排気ダクトで、ハンダ付けの際に発生する煙を排出するためのもの

 

そこで、マザーボードが故障していると診断されたパソコンは、取り急ぎマザーボードを正常なものに交換し、ユーザーへ返却。その後、故障したマザーボードは、じっくりと故障の原因をつきとめて、データとして蓄積し、今後の生産などにフィードバックすることが出来るのです。

 

自分のパソコンが故障して、数か月も戻ってこないとなれば目も当てられないですからね。即時マザーボード交換は、実に合理的といえます。

↑熟練のスタッフが修理にあたります
↑熟練のスタッフが修理にあたります

 

↑↑レノボ製パソコンの代表モデル「ThinkPad」がズラリ。本当にレノボパソコンの修理も開始されていました
↑レノボ製パソコンの代表モデル「ThinkPad」がズラリと並んでいました

ツアー終盤には粋なイベントが開催された!

修理工程などをひと通り見学し、ツアーも終盤にさしかかったところで、参加者に対して挑戦状が突きつけられるというイベントが催されました。その内容は、「デスクトップPC」「ノートPC」「タブレット」の3機種の中から1つを選んで、2人ひと組で分解・組み立てをし、事業所のスタッフとスピードと正確さを競うというもの。事業場からは熟練のスタッフが参加し、3機種を全て1人で分解・組立をすることでハンデを与えるという余裕ぶり。これは負けるわけにはいきません。

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↑工場の一画に設けられたイベント会場。周辺で働いていたスタッフの方も集結して、盛り上げてくれます

 

筆者も参加させて頂くことになり、相方には某メディアの若き編集者を選びました。筆者は「ThinkPadder」を自称しており、過去にThinkPadの分解は何度も経験があるため自信満々。一方、相方もThinkPadオタクで、今回分解するモデルを自分でも所有していると豪語しています。

 

タッグを組んだところで、優勝者には豪華賞品が与えられるとの発表が。「こ、これはもしや、レノボの最新ヒット商品である『YOGA BOOK』がもらえるかも!?」と奮起しつつ、分解するターゲットとしてノートPC(ThinkPad)を選択しました。

↑いざ、作業開始! 老眼に苦労しつつも手順書など見ずにサクサクと分解する筆者
↑いざ、作業開始! 老眼に苦労しつつも手順書など見ずにサクサクと分解する筆者

 

少々手間取りながらもトップで分解を完了し、相方にバトンタッチしたところで問題が発生! あれだけ余裕を見せていた相方が予想外に頼りにならず、組み立て作業が捗りません。そうこうしているうちに、ほかのチームが次々と作業を完了させ、我々は最下位に転落。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」(※)と、どこかの先生の教えを守ったにも関わらず、結果は惨敗となりました。ちなみに刺客として差し向けられたスタッフは、我々よりも後にフィニッシュし、疲れた表情を見せていました……お疲れさまです!

※マンガ「スラムダンク」より引用

 

イベントに負けたこともそうですが、YOGA BOOKを逃したことに落胆しているところで、優勝賞品の発表がありました。

 

「優勝賞品はモバイルバッテリーです!」

 

一瞬、頭が真っ白になりましたが、YOGA BOOKじゃなくてよかった……と安堵のため息をつくゲスな筆者なのでした。

↑最下位でフィニッシュした我々に授与された参加賞は、Lenovoのロゴが輝く木製ボールペンでした。ありがとうございます!
↑最下位でフィニッシュした我々に授与された参加賞は、Lenovoのロゴが輝く木製ボールペン。ありがとうございます!

 

ということで、大ハシャギで参加した工場見学ですが、笑いあり涙ありのイベントとなりました。

 

実際に、NECやレノボのPCを修理に出すと、驚異の速度で修理完了し返却されてくると、ユーザーの声も上がっているようで、同事業場のさらなる向上をThinkPadderとして願うばかりです。